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涼しい風吹く夕方

「何かモヤモヤする、どうしたらいいんだろう……」


 ここ最近、私は悩みごとで頭を抱えていた。


「お散歩に行くのは、どう?」


 困っている私を見かねて、母が声をかける。


「でも……」

「ほら、難しく考えないで。散歩すると気持ちいいよ」


 積極的に母が勧めてくるので、近所へ一人で散歩に行くことにした。


「……それじゃあ、行く」


 早速、身支度を済ませて家を出た。夕方の涼しい風が肌に触れる。


 しばらく道をまっすぐ進んでいると、子どもたちの声が聞こえてくる。すぐ近くに公園があるのだ。公園にはカラフルな色合いの滑り台やブランコなどがあり、木もたくさん生えている。


 私は無意識に、幼い頃のことを思い出した。ここの砂場で泥団子やお城を作ったりバドミントンをしたりして遊んだことがあるのだ。プール場もあるので夏には水遊びをして、秋にはどんぐり拾いもした。どれもこれも、私にとってとても素敵な思い出だ。


 公園の中を歩いていると、今度は道路の向こうに小さな幼稚園が見えた。昔 通っていた幼稚園だ。あの時は友達と遊んだり、先生と歌を歌ったり、喧嘩して泣いたり笑ったりした。幼稚園で過ごした日々も、とても素敵な思い出だ。


 公園を出てすぐには、団地のスーパーが。物心ついた頃から現在まで、母と買い物に行くときは、いつもこの店を利用している。買い物をするたび、毎回大好きなアイスクリームも買っている。


「今日もまたアイスを買おうかな」


 なんて考えていると、今度は謎の塔みたいな建造物を見つけた。コンクリートの細長い四角い建物で、壁の真ん中には水色の縦線が入っている。幼い頃からずっと気になっていたので、近づいては建造物の周りを一周してみた。壁に貼られたラベルから、どうやら水道に関係する施設らしい。幼い頃からずっと気になっていたことが解決して、すっきりした。


 そこら中を歩き回ったあとは、公園のベンチに座って一休み。やっぱり夕方は、風が涼しくて気持ちいい。


 私は、ふと空を見上げる。なんてきれいだろう。赤く染まった夕空には、金色の三日月がぽつりと浮かんでいる。


「今日はいろいろ あって、楽しかったな」


 さっきまで悩んでいたことなど、もうすっかり忘れていた。



おわり

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