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作者: ひじき

私は、平々凡々なただの学生……だと思っていた。


2001年生まれの私は、2022年の現在とある大学で大学2年生の生活を謳歌していた。一浪している、ということで多少の引け目はあったものの、周りにも意外と浪人生は多く、また優しい人が多くてすぐに馴染むことが出来た。

そんな生活に不満はなかったものの、中二病も卒業し、自分が極平凡な人間であるということをはっきりと自覚しつつあったのも事実だった。


小さい頃は、自分が特別な人間であることを信じて疑わなかった。みんなにできないことが出来る、みんなに必要とされる、そんなことを信じていた。だから、みんなのスーパーヒーローとして振舞った。


高校に入ってから、中二病を発症した。多分、自分がそんなに出来た存在では無い、ということに薄々と気がつきかけていたのだろう。勉強もできない、かと言って運動がすごい得意という訳でもない。そんな自分を認めたくなくて、誰も知らないことに気がついている自分、というものに憧れた。

中二病はその結果だった。丁度その頃、自分の周りでライトノベルを読む人が増えたというのもあるだろう。確実に影響を受けていた。


そして、大学に進学した。特にいい大学、という訳でもなく、特に何かを目的として入った訳でも無く、なんとなくの進学だった。

二年に進学するまでは、それこそ平凡な大学生活を送っていた。


二年に進学した四月。だいぶ一人暮らしや、バイトにも慣れてきた頃。人間に擬態したなにものか、の存在が顕になった。それが擬態している状態では、特に人間との大きな違いがある訳ではない。ただ、血がある条件下では真っ黒に変化するのだ。

人間に擬態したなにものかの存在は、人間の社会に大きな衝撃をもたらした。特に何か害をもたらされたということが分かった訳でもなく。


ただ、異常なものが紛れているのが嫌だったのだ。


かといって、一般の人に擬態を破る方法がある訳でもなかった。互いに疑念を向け合う、混乱と疑惑が世の中を覆っていた。

皆、自分に対する疑惑を晴らすために、高い金を払って検査をしていた。

自分もその1人だった。


結果は、陽性。


私は今、檻の中で一人閉じ込められている。人が会いに来ることは無い。会いに来てもかけられる言葉は冷たいものばかり。

こんな特別なら、要らなかった。

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