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宿屋をやりたかったが、精霊になってた。  作者: 佐の輔
本編 第一部~精霊の宿
69/103

 ストロー・オブ・ザ・マリッジ④

短くて申し訳ない(^_^;)

最近チョコチョコ書き貯めてたのを誤って消してしまったので、筆者の復活に丸3日掛かりますた(笑)

◤ストロー◢


 なんということでしょう。


 前段階の木造宿からややビルディング風な建物と様変わりし、前よりも大きく立派で分厚くなった玄関の扉を開くとそこにあったのは大きなエントランス・ロビーと奥には立派なフロントがあるではないか。その両端に恐らく最上階である4階と階下である2階へと続く階段の踊り場が見える。そうとも、ここは実は建物の3階なのだ。宿泊部屋4階から2階、食堂が大穴の広場への裏口がある1階部分にあたる。なかなかに立地を生かしたデザインだ。

 そして、何と言っても天井が高い…!余裕で10メートル以上はあるぞ? 本当に外と中では空間の差は確かに大きかったが、ここまで凄いとは俺も驚くぞ。


「「ふあああぁぁ~~~~~」」


 玄関に立つ者達が感嘆の声を上げる。俺もその中に混じっているのだが。


「なんで旦那様まで呆けてるんだよ」


 速攻でウリイにバレた。しかし、仕方ないだろう? このスキルによるグレードアップは、ほぼほぼ俺の無意識下で行われているだからな。俺だってビックリだよ。


「み、見ろよ…床が全部フカフカになってるぜ!?」

「俺…靴脱いどこうかな」

「お、俺も」


 何故か大半の者が床のカーペットに委縮して靴を脱ぎ始めた。そも獣人で裸足だったものは必死に布で拭き始めた。


「イヤイヤ大丈夫だぞ。中へ入ろうぜ」


 俺が先導しながら宿の中へと皆が歩を進める。中央には前の倍くらいのソファーセットが左右対称に観葉植物と共に設置されている。ふむ…質自体もかなり良くなっているな。

 フロントへ向かって速足で向かっていると、中央から左右の通路への入り口が見えた。どうやら通路の先には階段。そこまでに部屋が並んでいるようだった。


(:現在のスキル使用状況では以下の機能が使用可能です。………設備………宿泊設備全般。宿泊者鑑定。プライベートルーム及びキッチン及び訓練場・子供部屋。………行動及び効果………悪質な来訪者の締め出し。宿泊者の全快。※建造物の中に最低1台以上のベッドの設置と利用料の徴収が必要です。:現在のスキルレベルはLV3。1階はダイニング・バー・テラス(外部での飲食可能)。2階の部屋数ダブル20。3階はロビー部屋数シングル12・ゲストルーム2。4階はスイート3・現在、建物LV3が設置済みです。フリースペース(小)2棟が設置可能。※特殊条件下により支配領域拡張が可能になりました。次のレベルまで、宿泊利用者0000/2000。)


 なるほど。3階はシングルの部屋なのか、一応確認しとこう。

 ん? 今更気付いたが、次のレベル条件が"宿泊利用者"になってるな。しかも…2千!? まあ驚いてみたがさもありなん。ここまで凄い事になればそれくらいの条件へと変化するだろう。というか次の宿の形態が少し怖い。まさか8階建てか?もしかしたら倍々の16…?


「あのぅ…旦那様、難しい顔してますけどぉ大丈夫ですかあ?」

「ああ大丈夫だ。それと悪いけど鍵を持つのを手伝ってくれないか」

「は、はぁい!」

「あ。ボクも!」


 俺達はカウンターの中へと回り各部屋1種類ずつ鍵を持った。


「あれ4階にもお部屋があるんだよね? 鍵がないけど…」

「なんでだろうな? 4階は後回しにしよう。どうせ少し特別な部屋だろうしな」


 俺は特に何も考えずにそう切り出した。そもスイートってどんな部屋なんだ? 要は高い部屋ってことだろう。どうせなら欲を出して1泊ばかし金貨1枚とかにしてみるか? まあ、それは部屋を確認した後でまた考えよう。


 先ずは皆を引き連れて3階の通路へとゾロゾロと入っていく。ふむ。片方でシングルが6部屋とゲストルームが1部屋だな。ゲストルームってなんだろうな?


 取り敢えず一番近い部屋番を鍵を使って開ける。というかマスターキー持ってくれば良かったな。


「「おおっ…!」」


 安心してくれ。俺の声もちゃんと混じっている。

 シングルの部屋は前の宿屋よりも広くなっていた? 何故に疑問かというとだ、ドアを開けるとまたドアがあったのだ。右手に逆L字型の通路があり、その先が部屋だった。ベッドも調度品、照明もそこまで前と変化はない。問題は2枚目のドアの先だった。


「ん? なんだコレは。鏡だ!」

「凄いな!各部屋に噴水が付いてるなんてよお!? でも、奥にあるあの大きな石の棺桶みたいなのは何だろうな…?」

「湯気? え、中に張ってあるのはまさか煮え湯か!」


 それが俺とダムダとウリイ以外の反応だった。噴水とは言わばシャワー洗浄式トイレだ。そもそもトイレという言葉がなかったこの世界の住民にはコレで定着してしまったのだ。そいて、もうひとつが、そう風呂だ。新しい宿の部屋には各部屋に洗面台とトイレと風呂…つまるところの3点ユニットが備わったのだ!もはやコレは俺の生前でも立派に通用する近代ホテルと遜色ないものだ。


「凄いね旦那様! コレならボク達の暮らす奥の空間とあまり変わらないんじゃあないの?」


 ウリイの言う通りだ。これならば利用者の満足度がより上がるに違いないな!


 俺達は3点ユニットに関しての説明をその場に居た者達に告げると、やはり一番の反応は風呂だった。この世界の入浴はとても贅沢なものである為だ。本来であれば桶一杯のお湯ですらそこそこの金を取られるとその場にいた冒険者が唸っていたしな。


 ゲストルームはシングルの倍以上は広かった。ベッドが4つに大きなソファーがある。そもそもこの部屋は急な来賓用とかで利用者を基本あてがう部屋の類ではないのだろう。


 その後、俺達はまたゾロゾロと階段を降りて2階へ。ここはフロア全体が宿泊部屋になっており、かなり生前のホテルの雰囲気に近かった。ダブルは半数がいわゆる2台のベッドが置かれたツインになった以外、シングルとさして変化はないようだ。


 さて、お待ちかねの1階…つまり食堂だ。


「「おおお~~~~!!」」


 理由は分らんでもないが、今日一番に皆のリアクションが大きい。


「素敵ですぅ」

「これは今日から大変な事になりそうだね」


 俺の両隣の二人も嬉しそうだった。

 フロア全体が食堂と言うよりはダイニングか。中央奥にはバーカウンターらしきものがある。なかなかいい艶色のカウンターだな。棚には見た事も無い酒瓶が並んでいるが…残念だが俺の宿にバーテンダーはまだいない。近い内に雇わなければならないな。前にあった長く大きなテーブルは左右にあり、その近くに2ヶ所…恐らくはPゾーンの厨房へと続く開き戸がある。メインには小洒落たテーブルクロスの掛かった正方形のテーブルに椅子が4脚のセットが20は置かれている。外を伺えばテラス席まであるのだ二人掛けのテーブルで席数は10人分くらいだろうか。俺達は裏口から出てそれらを確認すると中へと戻る。


「さて…約束通り、今夜は奢りだ。好きなだけ飲んで喰ってけよ!」

「「うおおおおぉぉおおぉ!!」」


 フロア中に怒声にも似た野郎どもの歓喜が爆発する。しかし、この人数…ほぼ村の住民全部か。こりゃあ手が足りんかもしれんなぁ~。


「…っと言ったが如何せん配膳の手が足りんなあ。悪いがメレン達も少し手を貸してくれないか?」

「水臭いことは言いっこなしだよ若旦那!好きに使っておくれ!」



 ありがたい。俺はウリイとダムダを連れて早速厨房へと向かう。


 …さて、宿のスキルレベルも上がったことだし、なにか面白いものが増えていればいいんだがな。

 


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