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宿屋をやりたかったが、精霊になってた。  作者: 佐の輔
本編 第一部~精霊の宿
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 ストロー・ミーツ・ルナー

そろそろ話題に区切りがついたらアイロス編も更新したいです。


ちうか、男が逆●イプされるって多少拗らせて時には憧れもありましたが…

実際にマウントとられてやられたら、ボッコボコにされて泣かされる姿しか思いつかないので(笑)

やっぱり筆者は止めときます。(そんな機会など末永く無い)

◤ストロー◢


 ……どうしてこうなった?



 今日はあのブラックトロール達…まあ、正体はもう判ってるんだがな。そいつらを俺の宿屋に泊める為にマリアードに頼んで宿の周りの人払いを頼んだ。要らぬ問題が起きないように宿を貸し切り状態にする為だ。…朝になってからは、まあ、ブラックトロール…いいや、ディコン達に任せることにしようと思う。長老に会いにいくのも、黙ってケフィアから去るのもそれは自由だ。


 でっ、だ。

 改めて、…どうしてこうなった?


 つまりだ。今夜はもう相手する宿の利用者は居ない。なのでダムダの提案に乗っかって、俺とウリイとダムダの三人で気分転換も兼ねて夜の散歩へとしゃれこんだ。と言っても、宿の外の広場をブラブラするくらいだろうがな。

 夜に宿の外を出歩く事は普段無いから新鮮な気持ちだった。俺がこの村に居着いてから…あ~半年くらいかな? この世界の暦は俺の前に居た世界とは少し違うし、オマケに時間の流れが異なるPゾーン…俺と支族になったウリイとダムダしか出入りできない空間で生活してるからか、よく季節感という月日の流れが狂うような気がしてならない。

 吐き出す息も白い…吸い込む空気もかなり冷えてこう肺から頭にキンと響く気持ち良さすら感じられる。冬が近いんだな。


 …そしてこの異世界の夜空に浮かぶ月。……何だかデカ過ぎる、というよりも近過ぎるので少し怖いんだがとても綺麗だった。


 自分で珍しいくらいノスタルジックな気分だったのに……。


「御主人様!御主人様!!」

「フウゥゥ~!グルルゥ…!!」


 何故か夜の広場で支族化までして俺を押し倒した二人。熱気からか身体から湯気が上がり息も荒くて眼も血走っている。完全に発情してしまったアレだ…正直言って泣きそうになるくらい怖い。こんな二人をお嫁さんにしちゃった俺ってすごく勇気あるなぁ~…アハハのハ…。


 いやいくら二人が割とそういう欲求が普段から高めだとしてもコレは異常だろう。ダムダなんて唸り始めてしまったぞ。

 ……恐らく、その原因は…目の前のコイツだ。


『アハハハ。 モテる男は辛いねぇ? どおしてルナーと同じ精霊であるはずの君がさ、単なる力のない人間の男の姿に擬態してるんだい? まさか、人間の振りをして地上人とずっと暮らしていくつもりなのかな? だとしたら君はユニークだなあ、いや狂ってるね。まあ、ルナーにとっては愉快な存在には違いないけどね♪ …それよりも、君の囲った女達は凄いねぇ…ルナーが助けてあげようか?』


 問題はこの二人もだが…押し倒された俺を空中から見下ろしてケラケラ笑っていやがるこの金粉なのか光る粉まみれのロリだ。

 ルナー? それが名前か。…ん? どこかで聞いたな。


「ルナーって名前は確かマロニー様かウーンド様から聞いたな。ってお前が精霊か?」

『……? 君は思ったよりも変な精霊だなあ~、後輩クン。まるで精神そのものが単なる人間と同じっぽいから話し難いったらないなあ。ま、いいや♪ そう!ルナーがその月の精霊だよ♪ 偉大なる夜の支配者にして絶対の監視者さ!』


 そうドヤ顔で薄い胸を仁王立ちで張るロリ。俺の顔の上でやるからもう色々と丸見えだよ? 発光系全裸幼女もとい月の精霊ルナー。へえ…コレが精霊か。流石はファンタジー。


『それよりもさあ…大丈夫? もう食べられちゃいそうだけど?』

「…………」


 いつも間にか二人がさらに俺にのしかかり、もはや理性すら失いつつあるような様相で俺の顔をベロベロに舐めまわしている。正直…これを他者に見られるのはかなりキツイ。


 仕方ない。許してくれよ…。俺はそっと左右の掌を彼女達にそっと押し当てる。そして、頭の中に黒い空間に弱い電流が一瞬だけ真横にバシッと流れるイメージを浮かべる。


「ギャン!?」

「きゃあ!?」


 二人はビクリと身体を仰け反らせるとそのまま脱力して俺に覆いかぶさってきた。しまった、俺が潰れる。


 何とか二人を優しくどけて俺は脱出した。


『おお~コレぞ雷の精霊だぁ!それに思った以上にテクニシャンだねえ…まあ君が精霊本来の出力でやったら流石に支族化した身体であっても下手したら消し炭になっちゃうからねえ。もしかして、そのあたりを踏まえてそんな姿に制御してるのかなあ…? でもまあ、二人の女達をこうも手玉にとるだなんて、流石は毎晩あれだけ励んでるだけあるねえ? あ。君達には昼も夜も関係ないのか。それにしても、君の女好きはノーム様の再来だねぇ♪』

「少し気絶させただけだ。そんなことよりもだな……今、なんて?」


 俺は空中をニヤニヤしながら浮いている金粉ロリを恐ろしい目で見やる。


『え? ああ、ルナーは夜の支配者…まあ、それまで世界の昼夜を自身の尾で回していた雄神様の役目を引き継いだのがルナーなんだけどね♪ そして夜の間、闇の世界を照らし出すだけじゃあなくて地上をそこの月から監視する役目もあるんだよ? 絶対不干渉の中立であるルナーが直接干渉することはないけど、地上人の夜の営みもバッチシ見守ってるよお♪ 勿論、屋外や屋内…君の宿の奥まで、ね♪』


 ルナーがドヤ顔でウインクしてきやがった。


「へ、変態!この覗き魔めっ!!」


 俺はそのあまりの発言にロリ精霊へと飛び掛かろうとしたのがだ、まるで空間がグニョリと歪んだかのような感覚を覚えた。と、思ったらルナーの目の前で体が止まり、そのまま地面に落ちた。


「ぶべらっ」

『アハハハ! ホントにオカシーんだな君は♪ …ルナーはねえ。他の精霊と違って、あらゆる対象との一切の触れ合いができないんだよ。精霊に近しいもの以外には姿も見えなければ、声も聞こえやしない。あの月も…近くにあるようで近くにない。決して手を伸ばしても誰もたどり着けないんだあ~……だから、何気なく他者と触れ合える君が…羨ましいよ』


 いつの間にかルナーは俺の顔に息が吹きかかる距離まで移動していた。彼女が俺の頬に触れようとしたが、その隙間が歪み、透明な膜のようなものが出来ている。俺は虚を突かれて照れてしまい、すぐに離れた。


「イチチ…ところで、あの二人の変わり様はアンタの仕業か?」

『うん? あの二人はいつも君と一緒の時はあんな感じだろう?』

「んな訳あるか!?」


 とは言ってしまったが、…ウリイに関してはあまり強く言えない節もたまにあるからなあ。イヤ、俺はウリイを信じてるぞ!…一度、リビングで●イプされたがな。やっぱり無理かも。


『ゴメンゴメン、冗談だよ♪ 正直言うとルナーのせいだよ。今回はチョット月で近付き過ぎちゃったからね。 …知ってるかい? 月にはね、女の潜在的な生命力…ぶっちゃけ性欲を引き出す力があるんだよね♪ 獣人と違って人間と一部の亜人には効果は薄いはずだし、支族化までした女にはあそこまで強い力はないと思ったんだけど…まあ、そこは当人達の意欲(・・)が強かったんだろうね♪ …この山に住んでる獣人達には今夜は迷惑掛けちゃっただろうなあ~反省、反省♪』

「マジか…」


 俺はルナーの言葉を聞いて足元で鼻提灯を出して寝ている二人を見下ろす。

 …獣人の女という言葉を聞いて、俺はあのスナネコ獣人のリレミッタを思い出したので背筋に何か寒いものが奔ってしまった。


『君の妻達には悪い事をしちゃったかな。ああ、でも良いことも…って顔色が悪いよ? 大丈夫?』

「大丈夫じゃあねえよ。ところで、お前自体は何しに来たんだよ? ルナー先輩(・・)


 俺の言葉にフフンと鼻を鳴らしてにやけるロリ精霊。


「生意気な後輩だね。まあ、ルナーの事はルナーで良いよ」


 そして、ルナーは悪戯っぽい顔を止めて俺の目を真っ直ぐに見つめた。


『君は今後、地上人とどんな関係を築くのか? だよ。 まあ、観察する限りでは周囲に力を振りかざすような真似はしてない…というのは君の宿?を見る限り無理があるような気もするけど、少なくとも良い意味の信仰を集めているとも言えるね。 でもね、君は少しやり過ぎだよ』

「やり過ぎ…?」


 俺はルナーの言葉に眉間を寄せる。


『君にはこれといった欲が無い、殆ど代償も取らずに地上人達に優しくしてやってる事もこの際は置いておこうか。でも、君は同じ精霊から既に目を付けられてしまっている…』

「ルナーにか?」


 ルナーは顔を静かに横に振る。


『いいや。ルナーは君が女神…ああ、雷の君と炎の担う女神はウーンド様だったか。夜が空に訪れる度、地上に降ろされた君の事をずうっとこのルナーは見ていたさ』


 俺は…それってストーカーじゃね? とも思ったが黙っとこう。



『他の精霊達の中にだって君の存在自体を感じているかもしれないけどね。問題は、樹の精霊であるドライアドが君の存在を気に掛けているってことさ』



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