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宿屋をやりたかったが、精霊になってた。  作者: 佐の輔
本編 第一部~精霊の宿
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 ウリイとダムダ⑤

次話はR15指定に…なればいいなぁ!(白眼)


筆者の文章力では多分無理だ!(絶望)



「はあ。ジア様…ですか?」

『そうだンゴムシ』

「…………」


 部屋の中に微妙な空気が他漂う。その原因は新たにストロー達の前に登場した女神ジアのせいであろう。片眼鏡を直したウーンドがコホンと軽く咳払いする。


『…ジア姉様も他の姉妹神の中でも癖の強い女神ではありますが、此度はあなたの力になってくれるでしょう』

『うむカデ』

「…………」


 ジアは全身漆黒の身を蠱惑的によじらせてみせる。


「そりゃあどうも? ところで、俺のこの空間に自由に出入りさせたい二人を連れてきたんですが…その、血の契約とやらについて詳しく教えて欲しいんだけど。あと、マロニー様は?」

「ああ。大姉上でしたらもう自身の神座に戻られましたよ。ああ見えても最上位の女神ですからね、なにかと多忙なのですよ…詳しい事は、ジア姉様から」


 そう言われて隣の女の影のような姿をした女神ジアが画面の中央にズイと身を寄せる。


『―そこなふたりの娘に問う―』


 先程の合成音声のような男とも女ともつかない声色ではない、凛とした美しい女性の声であった。


『―女に生まれた身として、その男に全てを捧げる覚悟はあるか―』


 ストローすらふざけた顔をできないほどの威圧があった。


 顔を上げたウリイとダムダが俺の顔を見てから互いの顔を見て頷くと、


「「あります! 捧げます!!」」


 と口を揃えて迷いなく答えた。


「え? …バイトするには大袈裟な気がするが」

『度過ぎる鈍感さは時として罪となります。特に女性に対しては…気を付けた方が良いでしょう。まあ、余計な心配かと思いますが』

『―よろしい。ならばこのあらゆる生命の素を統べる女王にして女神ジアが、そなたらと精霊の血の契りを許す! 末永く仲睦まじく、励み、共に同じ時間を生きるがよい―』


 ストローとウーンドを完全に無視してジアが二人に祝福めいた言葉を送る。何故かウリイとダムダは互いに抱き合って涙を流している。


「えーと。で、その血の契りってのは?」

『むう?もう許可は出したぞウムシ。さっさと裸になっておっぱじめるがよいトウ』

「はあ? やるって何を?」

『……精霊とは意外にものを知らぬートリア。 まぐわえイ。交尾だイオウイカ! そのくらいなら野山で獣がやってるのを見た事くらいあるだろうシアブ!』

「嘘だろぉ! な、何か嫌な予感はしてたが…」

『嘘ではありません。血の契りとは男女間で交わす特別な儀式です。あなたも余り女性に恥をかかせないように。そこの二人もそれは承知の上だと思いますが?』

「嘘だと言ってよ●ーニィ…」

『●ーニィ? 誰ですかそれは? 兎に角、早く始めて下さいね。コチラの時間で丸一日が経過してしまうとそこのお二人は完全にあなたの空間に吸収されて消えてしまいますから。なのであなたに選択肢などありません。あなたがお二人を連れてきたのですから、その責任を取らねばなりません』

「そういう大事な事は先に言って貰えないと困るんだが!? ……えーと、二人ともゴメン。正直言って俺はそこまで考えたなかったんだよね…」


 ストローの言葉に二人が絶望的な表情を浮かべる。女神が映る映像が乱れる。


『―精霊。そなたがいくら最強の精霊であろうが、そなたを想い、覚悟を決めてこの場に身を投じた乙女を……まさか、見捨てる気では…あるまいな―』


 女神ジアのシルエットが不気味なクリーチャーのように蠢き、画面越しとはいえ部屋の中に神レベルの殺気が満ちる。


「ちょ。違う違う!? つーか最初から説明しない女神様も悪いと俺は思うぞ? …いや、いいの? 二人ともさあ。まあ、ここに連れてこられて逃げ場もないだろうが。その…俺と致すのは、嫌だろう?」

「ボクは嫌なんかじゃないよ!!むしろ良いよ!」

「…お、俺もですぅ!」


 ストローは「お、おう」と返すも恥ずかしくなってしまい身をよじった。二人も再度顔を赤らめモジモジしている。


『どうしたラバガニ? 早く致せイヨウギク』

『初心な者達を見ているのも楽しいのですけど、そろそろ私もこの目で直接人類の営みを観察させて頂きたいのですが…』

「アンタらの目の前でなんてできるかぁッ!?」


 ストローは女神達の余りの暴言に叫ぶ。


『別に悪い事をするわけでもないのだチョウ。私達の事など気にするなマズ。むしろ無量大数戦錬磨の我がその都度、助言してやろうバザメ!』

「百どころか万も億も飛び越えて無量大数!? たしか一番大きな数の単位じゃあなかったか? …ま、まああらゆる生き物の成り立ちを司ってる女神様ならそうなのか? って問題はそうじゃあない!」


 ストローはスタスタと部屋の隅に行き、とあるドアを開く。自室に続く廊下だ。覗くと新たに部屋がふたつ増えてるが、ドアが淡く光っていた。


「…部屋が増えている? ウリイとダムダの部屋か」

『この部屋では契らないのですか? たしか地上では特に行為の人数制限などは無かったはずですが?』

「ちょっとウーンド様、それ以上は流石に黙っててくれよ? ウリイ、ダムダ。取り敢えず心の準備ができた方からそうだな…このドアを開けて見える中央の部屋に来てくれるか? そこのドアの奥はトイレと常に綺麗な湯が沸いている風呂…ん~、つまり湯浴みができるからな。俺は先に部屋で待ってるからさ…」


 ストローがリビングが出ようとした矢先に女神ジアが口を開く。


『存外ヘタレよな、所詮男などクニンジン。ストローとやら、契りを成して変化の兆候が見られた者を暫く休ませる必要があるリイロスズメダイ。その事を忘れずになマコ。あと、女には優しく接してやるのが男の甲斐性だぞウリムシ? それと、時間を掛け過ぎるなナフシ。精々2時間ほどで終わらせて、残って待たせている方を迎えに来てやれンゲ』

「わかったよ!」


 照れているのかやや乱暴にドアを閉めてしまうストロー。


「じゃ、じゃあボクが先に行くよ!」


 ガバリとウリイが立ち上がるとズンズンと風呂場のあるドアへと向かう。


「う、ウリィ~。俺ぃ、こーいうの全然分からないんだぁ。どーしたらいいんだよぅ? やっぱり一緒に行っちゃあ駄目かなぁ? ストロー様怒るかなぁ~」

『案ずるなイルワニ!この女神ジアがおるではないかレイ! …ウリイよ、お前は心置きなく初陣に臨むがよいトミミズ! ダムダとやら、あのストローに身を任せるのも悪くはないがガンボ。お前にはまだ少し時間があるッコラ。ウリイが相手をしている間に直々に我が男の悦ばせ方を教えてしんぜようスバカゲロウ…! フフフナムシ…』

『ジア姉様…あまり過激な事を純粋な地上の人類に吹き込まないで下さいよ? 無用な心配とは思えますが、雷の精霊シュトロームの機嫌を損ねたくはないのですからね?』


 ジアは妖艶な女型に姿を戻すと怪しく光る眼だけで笑った。


『なに…より良い夫婦生活の秘訣をほんの少しだけ教えてやるだけだイコン。むしろ我に感謝すべきであろうよモギ。あのケンタウルス族の娘もなかなか良い腰つきをしていたが…この娘も実に良い肢体をしておるからなガコガネグモ! 最初からその身体を使って色々とできるであろウニンアジ…ああ、ウリイ早かったなガネギ。よいよい、男など待たせておけば良いのだイズ! では、健闘を祈るバーブ』



 湯浴みを終えて、ストロー元へ向かうウリイを見送った後、女神ジアによる講習がストローがダムダを迎えに来る寸前まで行われたという。



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