マザコン
(ステージ上で待っているボケの所にツッコミが手を挙げながら近づく)
ボケ 「よう、久しぶりだな。」
ツッコミ「おう、悪いな呼び出して。」
ボケ 「いや別に平気だけど、なんか大事な用?」
ツッコミ「あー、まぁな。」
ボケ 「なんだよ、歯切れ悪いな。……あ、もしかして彼女でもできたか?」
ツッコミ「ん、まぁそんなとこ。」
ボケ 「Wоо~!!」
(ボケがツッコミに欧米風にグータッチや肘をぶつけ合うような握手を繰り出すが全部アクリル板にぶつかる)
ツッコミ「全部アクリル板に阻まれてる!!」
ボケ 「彼女との悩みか!?この恋愛マスターの異名を持つ俺に相談するがいい!」
ツッコミ「お前、年齢=彼女居ない歴なのに!?」
ボケ 「大丈夫だ!前世でウナギだった時は人間に超モテてた!」
ツッコミ「そりゃうなぎ美味しいからね!?ってか前世うなぎなの!?」
(ボケ、うなぎのような動き)
ツッコミ「なにしてんだよ!……ってゆうかちょっと質問なんだけど、お前ってマザコン?」
ボケ 「ははーん、さてはお前マザコンで彼女とうまくいかないとか!?」
ツッコミ「あー、まぁそんな感じなんだけど……どうなの、お前はマザコンだったりする?」
ボケ 「はっはっは、俺はマザコンじゃねぇよ。ママにそんなこと言われたこと無いしな!」
ツッコミ「マザコンじゃねーか!」
ボケ 「ちげーよ!俺マザコンじゃねーし!!」
ツッコミ「じゃ、好きな食べ物は?」
ボケ 「カレー!本格的なのじゃなくて、ママが作ったやつ。」
ツッコミ「マザコンじゃねーか!」
ボケ 「ちげーよ!」
ツッコミ「良く着てる服は?」
ボケ 「イオンで買って貰ったスポーツメーカーのマーク入りTシャツ。」
ツッコミ「好きな歌は?」
ボケ 「森進一の『おふくろさん』」
ツッコミ「好きなTV番組は?」
ボケ 「おかあさんといっしょ」
ツッコミ「マザコンじゃねーか!よくこれで否定できたな!?……でもまぁ、仕方ないか。お前 の母ちゃん、女手ひとつでお前のこと育てたんだったな。」
ボケ 「まぁな!俺のママはスゲェんだぞ!」
ツッコミ「(グイグイくるAに圧されながら)お、おう……。」
ボケ 「ごはんをラップに載せておにぎりを握りながら即興ラップを歌ったり……!」
ツッコミ「忙しいな!?」
ボケ 「やかんでお湯沸かしながらダンスフロア沸かせたり……!」
ツッコミ「どういう状況!?」
ボケ 「どうだ、俺のママの凄さ思い知ったか!!」
ツッコミ「確かに色々凄いわ。でもそんな状態じゃお前、もし仮に母ちゃんが再婚なんて話になったら……。」
ボケ 「(頭を抱えて奇声を上げる)あーーーーーーーー!!聞きたくない聞きたくない!!突然親父面して『明美さんと結婚することになった。遠慮なく父さんと呼んでくれ』とか言ってくる奴のこと絶対父さんなんて呼ぶもんか!あーーーーー!!!」
(ツッコミのスマホの着信音)
ツッコミ「(電話に出る)……もしもし、明美?」
(ボケ、無言&無表情でBのほうを振り向く)
ツッコミ「……あー、うん、やっぱすぐには受け入れてもらえ無さそうだな……。とりあえず今日はこれで話は一旦終わりにする。」
(ボケ、え?え?という顔)
ツッコミ「……うん、うん。ゆっくり時間かけていけばきっと分かって貰えるさ。だから安心して、明美。それじゃ今から迎えに来てやって。……うん、俺はここで。じゃ、また連絡する。(電話を切る)」
ボケ 「え……ちょっと、待っ……明美って……え??」
ツッコミ「駅のベンチで待ってな。すぐに明美……じゃなくて、お前の母ちゃんすぐ迎えに来るから。未来の息子よ!また今度な!」
(ツッコミ、舞台袖にはける)
ボケ 「(去っていくツッコミの背中に向かって)絶対父さんなんて呼ばないからなぁーーーーーっ!!!」
-完-