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「はぁ??????????????」

「はぁ???????????????」


 目の前にいるどこから調達したのかわからない紺色の水平服を模した女性服を着た美少女がそんな事を言い出して、クレアは困惑する。

 確かにレイアのような燃えるような赤い髪をしているが、それ以外の特徴が似ても似つかなかった。

 自分よりも大きな胸、スタイルもクレアよりも良い。

 確かにレイアと言われればどことなくレイアを思わせるような表情をしているが、妹と言われればそうだろうなと言う程度だった。


「クレア、どうした?」

「え、え??? ど、どなたですか???」

「俺だよ俺、レイア・ジルキッダだよ」

「いやいやいやいやいや……。あたし、こんな美少女知らないわよ!」


 クレアがそう言うと、悲しそうな表情をするレイアを名乗る美少女。

 なので、クレアは確かめてみることにした。


「本当にレイアなら、あたしの事なんでもわかるはずよね?」

「もちろん」


 レイアを名乗る美少女は満面の笑みを浮かべて答える。


「クレアは胸の谷間に変な形のホクロが……」

「きゃああああああああ!!! なんで知ってるのよ!!!」

「もちろん、幼い頃に見たからだ! 昔一緒にお風呂に入った仲だしな!」

「忘れなさい! 忘れなさいよぉぉぉ!!」


 クレアは顔を真っ赤にしてレイアの首を掴む。

 こうしてクレアは恥ずかしい秘密をレイアに知られてることを知り、そして彼女をレイアと認めることになったのだった。


「ぜぇぇぇ…‥はぁぁ……」

「だ、大丈夫か? クレア?」

「だ、大丈夫じゃないわよ。乙女の秘密を簡単に晒さないで頂戴」

「だがまあ、これで俺をレイアだと認めるんだな?」

「み、認めるわよ…‥」


 さすがにいきなり自分の恥ずかしい秘密を暴露されては、クレアも彼女がレイアだと認めざるを得なかった。


「で、なんで女の子になっちゃったのよ?」

「どうやら修行の一環らしい。センセイ曰く、性転換は賢者になる上で必ず経験すべき事象なんだとか」

「……本当に必要なの?」

「そう言ってたからな! 最強の賢者になるためには俺は躊躇わないぜ!」

「躊躇えよ! 流石にそれは怪しいわよ! このおバカ!」

「あいたっ!」


 クレアは遠慮なく頭をポカリと殴る。

 レイアと分かった以上、クレアには遠慮なんてなかった。


「で、レイア。どうやって女の子になっちゃったの?」

「それは話せないな」

「なんでよ!」

「それは賢者になるための秘術だから、誰にも話したらいけないとセンセイに言われたからだ!」

「はぁ??????」


 イマイチ、レイアの説明についていけないクレア。

 そもそも話す気がないのだから仕方がないだろう。


「……うー、とにかく、戻れるの? 男に?」

「それはセンセイも教えてくれなかったな。少なくとも3年はこのままだそうだ」

「えぇ……」


 絶対怪しいと思うクレアであったが、レイアがこうなった以上はどうしようもないことは知っている。


「お父さんとお母さんには話したの?」

「ああ、こっぴどく叱られたな。まあ、最後は諦めたが」

「諦めちゃったんだ……」


 クレアは呆れるしかなかった。

 まあ、こんななりをしていてもレイアはレイアのままだった。

 翌日、女性用の農作業服を着て働くレイアを見たが、その力持ちはそのままだったし、意欲的に働く姿も以前のままで、村は次第に女体化したレイアを受け入れていった。

 どのような事態になろうとも、レイアは最強になる事からブレることは無かったのだ。

 それでも、たまに修行だと言ってレイアは姿を(くら)ますことがあった。

 みんなどうせいつもの『最強になるための修行』なのだろうと思ったし、事実そうだったのだが、クレアだけはレイアが怪しい宗教か何かにハマっているように見えて、後をつけるもののいつも見失ってしまっていた。

 その、レイアの修行を一度も目にすることができないまま、クレア達は学園へと入学する日が訪れたのであった。

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