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七話 不良撃退

「決められないよ。」


色々あったとはいえ、流石に戦うのは遠慮したい。かといって情報を漏らされても困るし…


そう考えていると、不破がこちらをみて、

「そこかぁ!見つけたぞこのクソアマがぁぁ!!」

と言ってきた。え?いま顔とか見せてないんですけど?


あ、一緒に馬に乗っている兵士さんがビックリしてるのが視える。


「どうやら逃げれそうな雰囲気じゃないね、応戦しよう叶さん。」


「……そう、ですね戦いましょう。」


私が決意を固めていると、不破が、馬から飛び降りてこちらに近づいてきた。


「捕まえて一生奴隷にしてやるよ!」


「は?」


私を奴隷に?え?一応勇者の仲間ですよ?あんたらが恐くて逃げ出したけど。


「そんなことさせるとでも?」


レイルはナイフを取り出し、私の前に出るとナイフに魔力をまとわせて不破の拳を受け止めた。


「固っ!?」


そう、受け止めたのだ。私たちは召喚された時に普通の人間より強くなった。それに加え、不破も魔力をまとわせているのでナイフで拳を受け止めるなんていう状況になった。


「おらぁ!こんなもんかぁ!」


不破は頭が悪そうな感じに叫びながらレイルに勢い良く殴ってくる。レイルは今のところそれを全てナイフでいなすか避けている。

そのような状況が続いたあと、レイルが一発蹴りを入れ距離を取る。


「なにあの化け物は。」


「確か…不破君は火属性魔法を使える拳闘士で、再生能力もあったはずだよ。」


「これだから勇者は嫌なんだよ。面倒事ばかり持ってくる。」


「私を面倒事みたいに言うな~!ってもう一人も来たみたいだね。ちょっと困ってるみたいだけど。」


馬を脇の方に置いてきたのか、少し遅れて兵士さんがやってきた。


「まぁ邪魔だからしばらく寝ていて貰おうか。眠れ、眠れ、星の子よ。全てを包む、月明かり。微睡みの夜に彼らを誘え。」


ゆったりとしたその詠唱が終わると、レイルの後ろから優しい光が目の前の二人を照らすと、兵士さんだけが膝をつき、そのまま前に倒れて眠ってしまった。


「うわ、なにこれ、ラリ●ー?」


いきなり敵が寝たんだけど。でも不破には効いてないみたい。


「ほらボケッとしてないで警戒して。怒ってるみたいだし。」


うわっほんとだキレてる思いどおりに行かないとキレる癖異世界来てから悪化してるな~。


「何しやがったテメエ!」


「何って眠らせたんだよ。見ればわかるでしょ?」


レイルも相手がキレやすいのを察したのか、相手を煽る方向にシフトしている。


「くそが、ぶっ殺してやる!炎よ燃やせ、我が意のままに、あまねく全てを燃やし尽くさんがために!」


不破の周りを紅蓮の炎が包み込む。その炎は生き物のようにうねったかと思うと、主の命令の通り全てを燃やし尽くさんと激しく燃える業火となり、目の前の敵へと迫る。


「叶さんこっち来て!空より墜ちる箒星、月より降りし、女神の雫。輝け!女神の流す美しき涙よ!」


レイルの左目に魔力が集まったかと思うと、それら全ては光り輝く左目より流れ落ちる一筋の涙となり、頬を伝いこぼれ落ち、地面へと落ちるかと思われたが、それは空中で五つの光へと別れたかと思うと、レイルの伸ばした手の先、銃のような形にした指先に集まり、「箒星の奇跡よ!」の言葉と共に放たれた。


放たれたその光は、目の前に広がる赤い壁のような炎に穴を空け、その勢いのままに不破の体を貫いた。


「ぐっ!?」


体を貫かれ、魔法の制御を手放してまったのか、二人に迫っていた炎は消えた。


「さて、あなたに聞きたいことがあります。そのままの姿勢で止まりなさい。」


貫かれた腹を押さえ、地べたに仰向けに転がっている状態の不破に対してレイルは言った。


「クソが…」


「何故叶さんがここにいるとわかった?」


「教えるわけねぇだろ。」


「…あの変態のスキル?」


「チッそうだ。」


うわ~あいつもまだ諦めてなかったんだ。


「変態?」


「変態ストーカーの森、ユニークのトラッパーっていうスキル持ちで、非生物に対してトラップを取り付けられるスキル。」


「な、なるほど、では次の質問。奴隷にする。と言っていたがどういうことだ?」


「王様があのクソエリート共以外のメンツに言ったんだよ、今から捜索隊をだす。お前を先に捕まえられたら自分のモンにしていいってな。一回やったら俺にもやらせろとか言ってたがな。」


自分の欲望と俺らのやる気を出させるためにそんなことを言ったんだろうがな。


「それで森って変態と手を組んで捕まえに来たって訳か。さて、聞きたいことは聞けた。こいつどうする?叶さん。」


え?聞かれても困るんですけど。


「と、とりあえず眠らせる?」


レイルは苦い顔をすると、叶に近づき、小さな声で、「眠りの魔法は保有魔力量が少ない相手にしか効かないんだ。あの兵士は魔力がほぼ無いから効いたけどあいつは勇者の一人なだけあって魔力が多いからいまは効かない。もっと減れば効くけどね。」


「じゃあ…気絶して貰う?」


「…殴りまくれと?」


そんなこと言われても何も思い浮かばないから!


「…炎よ、我が身を覆い、力となれ。」


「「あ。」」


二人とも敵はもう動けないものとして扱っていた。しかし、敵は再生能力がある。なので、


「チッ、テメエら次あったとき覚えてろよ。」


炎を纏った不破は、もと来た方角へと逃げた。


「「…」」


「次はちゃんと警戒しようか、お互いに。」


「うん。そうだね。」


なんともしまらないが不良との戦いは終わったのだった。

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