十二話 昼夜逆転
叶がレイルから魔法について教わりながら歩いていると、今まで体にみなぎっていた力が段々と抜けていくように感じる。空をみると、どうやら夜が明け始めているようだ。
「やっぱり叶もなんだね、この体質。夜強くなるのは良いけど、慣れるまでは少し面倒だよね。」
レイルが苦笑いをしながら話しかける。
「うん。このなんというか、力が抜ける感覚がすごく嫌だし微妙に動きにくいよね。」
二人で愚痴をこぼしながら歩く。
そして完全に夜が明け、みなぎっていた力が完全に抜けきった辺りでレイルが、
「ん~、もう少し進んだらご飯にしようか。」
「りょ~かいです。」
そして二人は適当な丘の上でご飯を食べ始めた。
「…やっぱり、保存食はあんまり美味しくない…塩が効きすぎててきついよ。」
「あははは、まぁ安めの物をいっぱい買ったらからしょうがないんだよ。」
レイルは苦笑いで答える。
「まぁでも色々と気にしなければ美味しいものを食べられるけどどうする?」
「色々と…?」
なんだか不穏な空気になり始める
「まも「やだ!」…だよね~。」
「ていうか魔物の肉は基本的に毒なんじゃないの?」
「うん。だから毒抜きしてから食べるんだ。そしたら意外と美味しいよ?」
「教養ありそうな雰囲気出しといて実は野蛮人なの!?」
「野蛮は無いでしょ野蛮は! …他に食べれるものが無かったんだよ。」
「!ごめんなさい。」
「気にしてないから大丈夫だよ。まぁとにかくいまはご飯食べよう?」
「うん。」
二人は食べるのを再開した。
「それじゃあ出発しようか。昼前には寝る予定の場所まで行けるように頑張ろうか。」
「は~い。」
二人はそう言って歩きだし、しばらくの後、予定していた旅人用の休憩所にたどり着いた。
「着いたね。じゃあはいろうか。」
「おー!」
中は町で一度泊まった宿程ではないがとてもきれいだった。
「正直もっと汚いと思ってた。」
「僕も。まぁでもきれいで困ることは無いし、早速寝よう。」
「だね、おやすみ。」
「おやすみ。」
二人は持っていた毛布をかけて眠りについた。
休憩所は木で出来た部屋で、ある程度の間隔を空けてベッドのようなスペースが四つあり、それいがいは基本的になにもない場所として考えています。