表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

負けたら終わり。"私"の終わり。

アラカチュー「誘拐婚」というキルギスの風習をご存じでしょうか? 読んで字のごとく、誘拐してそのまま結婚という理不尽なものです、説得はするらしいですけど(よろしかったら検索してみてください)

宗教上の理由とかあるのですが、それを抜きにして自分の生きている範囲に落としこんで書いてみました。悲恋、日常、青春とタグがついているのでパンツを脱ぐ機会は無いと思います。

ぐしゃっといった。

女の子の足先は正確に男の弱点を捉えた。身体を九の字に折り曲げて男は地面に膝をついた。反射的に涙が溢れ出てくる強烈な痛みの中、ここ数日のやり取りが男の頭をよぎる。

実に他愛もない話だった、女の子を誘拐して依頼者に引き渡せば良い、それだけでしばらく遊んで暮らせる金を得られる筈だったのに、男が思い描いていた未来と現実は180°違った。

目の前には自分の腕より細い足が並んでいる。視線を上に移すと、服の上からでも分かるほど細い腰つきで、戯れにパンと叩いただけでへし折ってしまえるだろうと思えるほどだ。

きっと格闘技の経験があるのだろう、と良く言われる恵体である自分が、何故このか細い女の子に痛めつけられ膝をついているのか分からないと男が思った瞬間、顔の中心が熱くなった。

女の子の膝頭も例外なく固く、四回の膝蹴りにより脳が揺れ、鼻から血が源泉かけ流しの様に落ち、ああ楽になったと痛みも敗北感も超越した不思議な心地好さの中、男は前のめりに倒れた。

男の歯が当たったのか女の子の膝は少し切れて血が流れていた。慣れた手つきで傷口に可愛らしい猫のキャラクターがプリントされた絆創膏を貼ると彼女は歩き出した。

慌てた様子も無く、つい今起こった出来事など無かったかのように歩き出した。

これが彼女の日常だから。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ