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第6話 リンクの道も一歩から

初めて書き始めた小説なので、文章としておかしな部分が多々あるかと思いますが、ご了承ください。

 朝、優翔が目を覚ますと、部屋に付属されているキッチンにいる泉美がそれに気づく。



「おはようございます、優翔様」


「おはよう、泉美ちゃん。何してるの?」


「これは、朝食の用意をしています」



 既に着替えを済ませた泉美は朝食を準備しており、それをテーブルに並べていた。泉美が運び終えると2人は席に着き、朝食を食べる。

 朝食は、ベーコンエッグが上に乗ったサクサクのトーストとサラダである。



「それで、泉美ちゃん。今日は何をしたらいいの?」


「はい、今日はメタモルフォーゼやガイアスについての勉強と戦闘の練習をしましょう」


「……訓練か」



 戦闘という言葉に緊張感を感じ、生唾を飲む優翔の表情は若干曇ってはいたが、泉美は優翔に向けて微笑むと不安は吹っ飛んだのかすぐに明るくなった。

 朝食を終えると2人は出かける用意を始める。



「優翔様、これにお着替えください」


「これは、紺色の……スーツ?」


「そのスーツはメタモルフォーゼが作成した特別製の防服です。普通の服と変わりませんが、一部に衝撃をあたえるとその部分が凝縮、硬化する仕組みになっています。いつガイアスとの戦闘になるかわかりませんので皆は常時、これを着ています」


「そうなんだ、わかった」


「ちなみに、私たちメイドや執事が来ているこの服も、同じ素材の防服なんですよ」



 スーツの説明を受けた優翔は、言われた通りスーツに着替えようとするが……。



「……あの、泉美ちゃん。見られてると恥ずかしいんだけど……」


「あっ!? し、失礼いたしました!」



 恥ずかしそうに泉美がその場を離れた後、着替えを終えた優翔は泉美と共に寮を出ていく。



「本当に昨日の車が片付けられてる。便利と言うか、申し訳がないと言うか……」


「優翔様が気にする事ではありませんよ。送迎のバスはこちらです、優翔様」



 優翔が心の中で手を合わせ合掌をした後、入り口付近にある送迎バスの乗り場に2人で行く。

 するとタイミング良くバスが着いていた。



「そのバス、ちょっと待った!」



 2人が乗り込み、発車しようとドアが閉じる寸前、西と篠明がバスに向かって走ってくる。バスは親切に止まってあげ、2人がバスに乗り込むとようやく出発する。



「優翔じゃないか。隣、良いかな?」


「もちろん良いよ、どうぞ。それより、遅刻か?」


「お恥ずかしながら……」


「篠明、メイドである貴方がついていながら……自身のご主人様をあまり困らせてはいけませんよ」


「あぅ……すみません、泉美様」


「私にでは無く、西様にです」


「いや僕は気にしてないから! 元気出せ篠明、なっ?」



 叱られた篠明が涙目になりながら落ち込み、それをフォローする西。注意する泉美を宥める優翔。そんな4人を乗せたバスはしばらく走り、屋敷に着いた。


 4人は下車すると西達と別れ、優翔は泉美に連れられると1つの部屋に案内される。






 優翔達が入った部屋、教学室と書かれた部屋には2人1組の机が50台あり約100人が使用出来る仕組みになっており、前の壁にはタッチパネル式のモニターが設置されている広い部屋となっていた。



「ここは、戦闘に関係する会議などに使う部屋です。優翔様には、ここでガイアスと戦うための知識を学んでいただきます」


「一応、高校で一通り勉強はしてたけど……」


「実は、一般に広められている知識は一部分だけで、まだ世間には伝わっていないことがほとんどなのです」


「そうだったんだ」



 広い部屋の中、優翔はモニターが見やすい前の席に座り、泉美はモニター前に立つと説明を始めた。



「一般に知られている基礎部分は省くといたしまして、まずガイアスの習性についてお話しします」



 モニターには参考用に、優翔を襲ったオーガ型のガイアスが映し出され、次々に説明文が表示されていき、泉美はモニターを使いながら話し出す。


 ガイアスは2つの習性の元動いている。


 1つは()()()()()()()()()()()()しようとする事。


 そして1つが、優翔たちの世界の()()()()()()()()する事。



「ガイアスが狙うある生き物、それは……」



 泉美は自身の胸に手を当てる。



「私たち、メタモルです」



「えっ!?」と泉美の言葉にたじろぐ優翔。

 ガイアスにはメタモル細胞で変異した泉美たちメタモルはとても美味な食べ物なのである。


 ガイアスは破壊とメタモルを求めて暴れ生き続ける生物なのである。



「じ……じゃあ、戦闘になった時一番危ないのは泉美ちゃん達じゃないか!」


「……そうですね。ですが、ガイアスと戦えるのも私たちだけなんです」



 一番狙われている人たちが、その化け物と戦わなくてはいけないという危険……。そして何より、優翔の大切な人も狙われるという事実に優翔はただ沈黙をする。


 そして泉美は次の話を始める。



「次に、ガイアスの()()についてです」


「――ガイアスに種類なんてあるの!?」


「はい、ガイアスには2つの分類、下位種である()()()、そして上位種の()()()がいます」



 泉美は続いて、モニターに同じ姿形をした2体のガイアスの映像を出すとそれぞれの姿を拡大にして優翔に見せる。


 下位のアウラは肉体が赤黒い色。

 上位のカグラは肉体が漆黒の色をしており、昨日優翔を襲ったガイアスは赤黒い色をしたアウラであった。



「アウラと……カグラ? 違いは色だけ?」


「いいえ、1番の違いは戦闘での戦いです。メタモル細胞で出来た武器なら全てのガイアスに効く、と思われていますが少し違います」



 泉美はモニターに、メタモルが武器にトランスした絵を2つ出し、アウラとカグラのそれぞれに矢印が指した物を出す。



「ただトランスした()()の武器で効くのは、アウラだけです。その上位種のカグラには傷1つつけることができません」


「……じゃあ、どうやってカグラを倒すの?」


「それは――()()()です!」



 モニターには、トランスした武器を持つ人から、オーラの様な物が出ている映像を写し、泉美はリンクについて説明をした。


 リンク――メタモルがパートナーとの相性の合う武器になり、それを手に取った時に発現する能力のこと。

 リンク状態ではパートナーの身体能力が飛躍して上がり、武器のメタモル細胞もカグラに攻撃を与えることができる特殊な細胞に変化する。


 ガイアスの上位であるカグラとの戦闘には無くてはならない能力のことである。

 説明を聞き終えた優翔は一呼吸置き、話をまとめる。



「……つまり、リンクさえできれば、そのカグラって言うガイアスも倒せれる様になるって事だな」


「はい、そういうことです。……ですが」



 泉美はモニターを消すと曇った様な顔を向ける。



「ありとあらゆる武器、道具の中からたった1つの相性の合う武器を見つけると言うことは、はっきりと言いますと奇跡のような確率なのです。屋敷内の人間でもリンクを可能にしている人間は数える程しかいません」



 泉美の言葉に優翔は、はたして自分もリンクが出来るようになるのかと不安となり、深刻そうな顔を浮かべる。


 すると泉美はモニター前の場所から優翔の席に近づいて行き、「……ですが大丈夫です」と声をかける。



「優翔様と私なら、どんなことでも必ず出来ると信じています」


「……そうだな、やってみないと何も始まらないよな!」



 やる気を出した優翔は、いきいきとした顔を浮かべている。



「では、あらかたの事は説明を終えましたので早速、リンクができる武器を見つけるのも兼ねて、次は訓練室で戦闘訓練に行きましょう」



 説明を終えた泉美は、優翔を連れて戦闘訓練のために作られた訓練室へと向かう。






 屋敷1階の階段の奥に数台あるエレベーターに乗り、地下1階へと降りていく。

 地下深くに作られた訓練室の階に着くとエレベーターのドアが開いた。


 ドアの先にはとても広い部屋があった。部屋の構造は1m程度のブロックで作られた真っ白な壁、天井、床で広さは直径約1kmの広く白い空間となっている。



「広い部屋……!」


「この訓練室は、文字通り戦闘の練習をするために地下に作られた部屋となっています。優翔様もここで練習をしてもらいます」


「それはわかったけど、どんな事をするの?」


「そうですね、例えば……」



 訓練室には既に何人かの人が練習をしており、泉美はそのうちの1人の様子を見ており、優翔も泉美の視線を追う。すると、壁の1ブロックが伸び出て上下に曲がり揺れながら凄まじい勢いでその人に打つかり、その人は優翔達の後方まで飛ばされ、倒れた。



「……あのような事とか」


「えっ……? いや、いやいやいや! 危険じゃないの、何あれ!?」


「あれは()()()()()()()()と言う、生き物のように伸縮自在に動くブロックで、あれを使って練習をすることもできます。それと、ご安心ください。スーツを着ていれば怪我もしませんし、あれくらい何の心配もございません」



 優翔は後ろに吹き飛ばされた人を見ると「いててっ……」と言いながら起き上がった。その人も優翔と同じスーツを着ており、何の怪我も無くすぐに練習に戻っていく。



「それでは、優翔様もやってみましょう」



 昨日の戦闘の時と同じように、今回は泉美の全身が光に包まれ、姿を変えた。泉美がトランスしたのは2メートル程の棍棒、優翔は初めての全身トランスを見て驚いていた。



『優翔様、私をお手にとってください』


「あ、わ、わかった! ……トランスしてても話せるんだな」



 何処から声を出しているのか疑問に思いながら、優翔は棍棒を手に取ると縦に振ったり、くるくると回したりしている。



「ほんとうに本物っぽい……」


『では、今から優翔様と私の相性の合う物を見つけるために練習をして行きます。試しに、トリックキューブに攻撃してみましょう』


「う、うん。了解!」



 優翔は棍棒を握りしめ、誰もいない壁に向かって走っていく。すると1つのトリックキューブが飛び出し、優翔に襲いかかってくる。



「いくぞっ! ――ぐはっ!?」



 特になにか起きるわけでもなく、優翔は瞬殺で吹き飛ばされた。倒れている優翔のそばで、泉美はトランスを解き人の姿に戻ると、優翔を抱え起す。



「大丈夫ですか? 優翔様」


「いたたっ……たしかに怪我は無いけど、衝撃が強い!」


「どうやら、棍棒では無かったようですね。では次にいきましょう」



 優翔を立たせた泉美は、次に剣にトランスすると、優翔はそれを手に、再びトリックキューブに突撃していく。



「今度こそぉ! ――どはぁ!?」



 そして同じように、再び吹き飛ばされた。



「ちょっ……ちょっと、痛いかも」


「剣でもありませんでしたか。では、今度はダガーでいきましょう!」


「う、うん……」



 ――――もしかして鬼?――――



 その後、優翔はダガー、短剣、木刀、メイス、ハンマー、大剣……。

 その他に包丁や椅子、ハシゴ、ボールペン、縄など、色々な道具を試し、その度にトリックキューブに吹き飛ばされていく。

 優翔は息を切らしながら床に倒れ込み、泉美は心配そうに優翔に膝枕をしている。



「だ、大丈夫ですか……?」


「ぜ、全然……、リンクできる気配が……、しない……!」



「何万とある物の中から見つけようとしているのですから、特定するのは中々、骨が折れますからね……。しかし、優翔様もだんだんと回避するのがお上手になってきましたよ」



 優翔は最初、1発目の攻撃で倒れていたが、数をこなすうちに少しずつ1発目を交わせるようになっていき、2発目3発目もギリギリで避けれるようになっていた。



「そうかな?」


「はい。たった1日で、そこまで出来るのですから。優翔様はとても凄い人ですよ」



 泉美は笑顔でそう言うと、優翔は顔を赤くし、照れながら起き上がった。



「っ!? そ、それじゃあ、練習を続けるか!」


「はい、優翔様」



 その後、優翔は練習を続けるたび、何度も武器を変えていくのだが、この日はリンクが起きることは無かった。

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