奇妙な果実
機体に乗っているのは、俺と徳田さんとワタナベさんだけになってしまった。
だが、後部のテイルローターが無くなってしまったので、機体はプロペラと反対方向に回転するようになっている。そのせいで機体は錐揉み状態になって落下していった。
機体は下の木の上に落ちた。
機体が木に引っかかったので、地面に激突する事なく、三人とも擦り傷を負っただけでなんとか無事に済んだ。
徳田さんとワタナベさんが木を伝い下に降りて、俺が降りるの手伝ってくれた。これから、先に落ちた仲間達を探さなければならない。落ちた場所は俺達とそう変わらないとはずなので、すぐに見付かるとは思うが、動けないような大怪我をしていたら大変だ。
すでに妖し達に見付かってしまっているかもしれないが、あまり大きな声を出して探す事は控えていた
プロヴダと獣子の二人は、探し始めてすぐに見付かった。向こうの方が先にこちらをを見付けて、声を掛けてきた。二人とも身体能力が高いので、木の枝などに捕まるかして助かっていたらしい。
獣子が、「木の上登ってみたら、あの同じ顔をした二人が、アタシラと同じようにちゃんと大丈夫だったみたいだ」と言っている。
向こうも自分が無事なのを確認したみたいだったが、二人共そのままをどこかへ消えてしまっていただという。理由はわからないらしいが、とにかく無事ならそれでいい。問題はアーリエだ。アーリエはそんな曲芸をできるような身体能力はないので、もしかしたら大怪我をしていたり、最悪死んでしまっているという可能性もあり得る。そう思うと恐ろしくなってきた。急いで見付けないといけないので妖し達に見付かってしまう可能性はあるが、みんなで大声で叫びながら探し回る事にした。
「オーイ!」、「アーリエー!」と呼んで回っている最中、どこからか「ここで~す!」と言っているような声が聞こえてきた気がした。上の方から聞こえた気がしたのでそちらを観てみると、アーリエがいた。上半身の着物が木が枝に引っ掛かって、ブラ下がった状態になっている。獣子とプロヴダが木に登り、アーリエを助けた。
カリンとミツハの姿だが、それからも見当たらなかった。彼女達はよく別行動をしているので、何か考えがあるのかもしれない。無事なのは確認しているので、とりあえずこのメンバーで先を進む事にした。




