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七人の愉快な仲間たち

 魔王討伐の為にオエドを出発する事になった。出発の日は見事な日本晴れだ。

 討伐隊のメンバーは、俺達いつもの三人(プラス)ワタナベさん。カリンとミツハ、そして獣子。将軍家からの助っ人の徳田さんの七人だ。

 全員、馬には乗らず(かち)で行く事になっている。途中、険しい山道に入る予定なので、馬が邪魔になるかもしれないからだった。アーリエもその為、俺達と同じような格好をしていた。

 徳田さんは槍を肩にかけ、腰には刀を差している。格好も前みたいな着流しではなく、袴履きだ。無精髭も剃っているので、かなり男立ちが上がっている。


 魔王の拠点があるという山は、小高い山が連なる連峰で、その中の一番高い山が目的地になっている。近辺にある山を伝って、拠点までこっそり近付いていこうという作戦だった。

 三日程平坦な道の上を歩いた後、近辺の山に分け入る。道もないような山の中を、カリンとミツハが先導しながら進んでいく。

 急角度な岩壁を這うように進んだり、川の中の水に半分浸かりながら渡ったりと、すでにかなりの冒険をしている気がした。

 そんな険しい道程を歩みながら、やっとこさ魔王の拠点がある山の隣の山の頂上付近まで、やって来た。ここから観える高い山の中腹辺りに拠点はあるらしい。

 その日は、見付けておいた崖際の洞穴(ほらあな)の中で寝泊まりをする予定だ。妖し達に見つかるといけないので火は焚けない。乾し飯を水で戻し、味噌を付けてはボソボソと食べている。

 辺りが暗くなりもう寝ようとしていた時、プロヴダと獣子がなにやら諍い始めた。獣子が隠し持っていた干し魚を、こっそりと食べていたのが原因らしい。それをプロヴダが見付け文句を言ったようだった。

「これはアタシが持ってきたやつだぞ!アタシが食べてなにがわるいんだ!」

「持ってきた物は、みんなでちゃんと分けて食べてただろ!一人でこそっり食べるなんてズルいんだよ!」

 言葉が通じないてないはずなのに、ちゃんと言い争いになっている。事が事だけにわかりやすいんだろうか。プロヴダと獣子は何故だかずっと仲が悪い。キャラが被っているからかもしれない。

 ここはリーダーとしてガツンと言っておくだろう。騒いで妖し達に見付かってしまっては、どうしようもない。俺は床を「ドンッ」と叩き、

「黙れ!」

と、凄んだ。

「お前が黙れ!」

 プロヴダが条件反射のように間髪入れず、洞穴の壁を拳で殴った。拳が壁にめり込みパラパラと石が落ちる。

 俺はビクッとして、「ヒャイッ!」と言ってしまっていた……。

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