ゴブリン退治④
俺達は何が起きたのかわからずにポカーンとしていた。
「……どうしたんでしょうか?」
アーリエが俺に聞いてきた。だが、俺にも何が起きたのかよくわからない。
それからしばらくその場で待機をしていたが、ゴブリン達が戻ってくるような気配はなかった。
「どうしましょう?一度、洞窟の入口まで戻りましょうか?」
アーリエが俺の事を気遣かったのか、そう言ってくれている。しかし、俺はそれに対し何も答えずにモジモジとしていた。実はさっきの未遂に終わったゴブリンの攻撃で、少しだけお漏らししてしまっていたのだ。暗いのでまだアーリエにはまだバレていないと思う。
俺が何も答えないのでアーリエは、
「もしかして、さっきので怪我でもしたんですか?」
と、心配してカンテラを持ち近寄ってきた。カンテラで身体を照らされると、漏らしているのがバレてしまうかもしれないので、すぐ様「大丈夫です」と答えた。
「怪我ないのであれば、先に進んでみたいと思うのですが、よろしいですか?さっきのゴブリン達の行動も気になりますし……」
俺はもう帰りたい気持ちでいっぱいだったが、明るい所に出ると漏らしているのがバレそうだし、さっきみたいな格好悪い所を見せたままでは、この先なにかとやりにくい。仕方なく強気に、
「先に進もう」
と、言ってしまった……。
洞窟を4、50メートルも進むと、ドーム状の大きな空間になっている場所に出た。人が10人は楽に過ごせそうな程の空間だ。何故かここにだけ光る苔のような物が生えており、これまで通ってきた洞窟よりか明るくなっている。
そこにはなんと、10匹程のゴブリン達が屯していた!ゴブリン達の中には、アーリエに炎の塊を食らった者も何匹かいる(顔が少し黒くなったぐらいで、普通にしていた)。
ゴブリン達は俺達がやって来た事に気が付いている様子だったが、騒いで襲いかかってくるような素振りを見せなかった。
そのゴブリン達の中から一匹のゴブリンが、俺達の前に歩み出てきた。他のゴブリンは腰布ぐらいしか身に付けていないのだが、そのゴブリンだけは汚いボロ布を全身に纏い、他のゴブリンとは違って見える。
「ワレラ、シタコト、アヤマリタイ……」
ボロを纏ったゴブリンが喋った。
俺はゴブリンが喋りだした事に驚いたが、アーリエも同じように驚いている。片言で内容がわかりづらいので何回か聞き返してみた所、どうやら『謝罪』をしているらしい。なんの謝罪なのか聞いてみると、さっき俺達を襲った事についてみたいだ。
「アナタ達が近くの村の人間に怪我をさせたと聞いたので、ここまでやって参りました。それは本当の事でしょうか?」
アーリエがボスゴブリン(ボロ布を纏ったゴブリンをそう呼ぶ事にする)に語りかけた。
「ワレラ、ナカマ、ニンゲン、タタカッタ……。ソレ、ニンゲン、サキ、オソッタカラ……」
『人間の若者の方が先に襲ってきたから、こちらも応戦した』と、言いたいらしい。
「それは本当ですか?」
「ワレラ、ナカマ、イッピキ、モリ、アルク……。ニンゲン、トツゼン、オソッタ。ワレワレ、ナカマ、チカク、イタ……。ダカラ、ナカマ、タスケタ……」
森の中を一匹でうろついていたゴブリンを、村の若者が突然襲ってきたらしい。それを近くにいた仲間達が見付け助けたようだった。
アーリエはその話を聞いて、口の前に手を置いて考え込んでいた。
「シカシ、アレ、イケナイ……。アレ、アヤマリタイ……」
ボスゴブリンが気になる事を言っている。




