火事と喧嘩はオエドの花②
玄関を駆け抜け、すぐに一階の正面の座敷の右隅にあるという、二階へ登る為の階段を見付けた。店の間取りはちゃんと事前に聞いていたので、時間を掛けずに目的の場所まで移動する。赤児は二階の手前の部屋に寝かされているらしいので、階段を素早く駆け上がった。
赤児は布団の上で寝かされていた。失火したのは一階からのようで、二階には火の回りが遅く、赤児には何もないようだった。赤児は流石に異常を感じているのか、それとも違う理由なのかギャン泣きをしている。
すぐに赤児を抱き上げ、また階段を下へと降りていった。店の中に入ってきてから、まだ五分ぐらいしか経っていないような気がするが、一階は入って来た時よりも、火の勢いが増している様に見える。煙の量も物凄い事になっているので、赤児の心配をしながら這うような形で玄関へと進んでいった。玄関からやっと転がり出てきた時には、全身に大小様々な擦り傷や火傷を負っていた。
俺は店の前の道で、這いつくばってゼェゼェと喘いでいる。それから待っていた赤児の母親に、抱いていた赤児を手渡した。赤児は特に何事もなく、ずっとギャン泣きをしている。女性は赤児な無事な姿を見てホッとしたのか、泣きながらその場に蹲った。
ボロボロになって喘いでいる俺を見て獣子が、
「ちょっと焼けて美味しい匂いがしてるな。少し齧ってもいい?」
と、聞いてきた。
「やめてくれ……」
俺は聞こえるのかどうかわらかないぐらいのか細い声で答えている。




