花のオエド
オエドに近付くにつれ、妖し達と遭遇する事も増えていたが、仲間となったワタナベさんや獣子、カリンらの働きもあり、なんとか全てを退ける事ができている。
そして、とうとうオエドの町に入る事ができた。この町は皇ノ命がいる都よりも人口が多く、妖し達の脅威があるにもかかわらず、活気に満ち溢れているように見える。この国では一番大きな都市になるらしい。
町を先の方に進むと、大きな天守閣を持つ日本風の城が聳え立っている。都を出てからここに来るまでにも、いくつか日本風の城を見たが、ここにある物がが一番立派に見える。
魔王はこの町から北にだいたい二十里(80キロメートルぐらい)いった所にある、この国で一番高いという山にあるらしい。
このオエドを拠点にして、これから作戦を立てていくつもりだ。
町中の宿を豪勢に二部屋取る。宿代はカリン達持ちだ。まずはこの地を治めている、将軍家にコンタクトを取らなければならない。俺達にはそのやり方はわからないので、カリン達に任せるしかない。その間は特にする事がないので、オエドを観光する事にした。こちらに来てからあまりゆっくりした事がなかったので、丁度良い機会だ。
オエドの風景はどちらかといえば、俺達が最後に降りた港町である、オザカに似ている。この町には、古代の飛鳥人のような格好をした人は、ほとんどいなかった。
みんなでゾロゾロと出歩くのは、流石に目立つので、なるべく人数を分けて出歩くようにしている。こちらの言葉がわかる俺とワタナベさんのどちらかが、外へ行く時は付き添っていた。
俺とアーリエと獣子の三人で、町中をブラつていた時の事だ。アーリエはあまり目立たないように、被衣を目深に被っていた。獣子も頭巾を被り耳が出ないようにしている。目立たないようにしているとは言っても、オエドの風景はやはり珍しく、視線は落ち着きなくキョロキョロとしていた。
三人で特に何する事なく、辺りを見回っていると、回りの人がなにやら慌ただしくし始めた。そして、先の通りの方へ走っていく物もいる。気になるので俺達もそちらの方へ行ってみると、煙の出た家が観えた。




