出会いはいつもバトル中
横手の藪の中には高い木が生えており、その上から何者かが飛び降りてきたのだった。
飛び降りた何者かは、「スタッ」と地面に降り立つと、プロヴダや鬼達の方へ素早く駆け寄った。そして、鋭く光る何かを振り回しながら、鬼達に向かって攻撃を仕掛ける。鬼達は急に現れた何者かに不意を突かれ、躱しきれずに攻撃を食らってしまっていた。プロヴダと何者かの攻撃により、鬼達は一匹ずつ倒されてしまっていった。
戦いが全て終わり、辺りが静かになった。見た所、プロヴダに怪我はなさそうなので一安心だ。加勢してきた何者かは、倒れた鬼達の死骸に近寄り、それをジッと眺めている。何者かは頭に頭巾、首にはマフラーのような布が巻かれ、それが口元まで覆っているので、顔付きがわかりにくい。首元には勾玉が三つ並んだ首飾りをしていた。体型はかなり小柄で、ランニングシャツのような上着に、裾が膝丈よりも上のズボンのような物を履いているので、『少年』の様にも見える。異様なのは両手に大きな鉤爪を嵌めていた事だ。さっきはそれで鬼達を攻撃をしていたみたいだった。
その何者かにお礼を言うよりも先にする事がある。さっき倒した烏天狗の様子を見なければならない。確かにワタナベさんが撃った拳銃の弾はクリーンヒットしていたが、あれで完全に倒せていたのかまでよくわからない。
烏天狗が倒れていた所まで戻ってみると、すでにカリンがそこにはいた。カリンは、まだ生きている烏天狗に尋問をしているみたいだった。
「私達が通るのを知って待ち伏せていたのか?」、「仲間はまだいるのか?」、「魔王の事を知っているか?」などがその尋問内容だ。
「うるさい、バカッ!貴様らみたいなもんにそんな事教えるか!」
烏天狗はうつ伏せに倒れたままで、カリンに向かって達者に悪態をついている。人間と急所の位置が違うのか、それとも人間よりも生命力が強いのか、かなりタフだ。烏天狗は全ての尋問に対して、そんな感じで答えていた。流石にカリンも業煮やしたのか、
「それを貸していただけませんか?」
と、ワタナベさんに拳銃を貸してくれるようにとお願いしていた。ワタナベさんは少し躊躇っていたが、頷いてカリンに拳銃を手渡した。カリンはワタナベさんから、簡単な銃の扱い方を説明してもらっていた。そして、それを烏天狗の方に向け引き金を引いた。弾は見事に烏天狗の額のど真ん中に命中。烏天狗も流石に絶命していた。
「……これはかなり良い武具ですね」
カリンがそんな感想を漏らしている。顔色も変えずに烏天狗を殺ったのを見た俺達はドン引きしている。流石忍者、恐ろしい……。
それから、さっき加勢をしてくれていた何者かの所へ行ってみた。その何者かはまだ鬼達の死骸を眺めている。とりあえず側に寄りお礼を言うと、
「こいつらを倒すのを助けたのは、こいつらの肉を分け前として貰おうと思ったからだ。でも、よく見ると不味そうだから、やっぱり止めとく」
どうやら鬼達を食べようと思っていたらしい。人間に姿形が似た生き物を食べるというのは、話を聞くだけでも抵抗があるので、止めておいてくれてなんだかホッとした。




