カリンとミツハ
ナムチさんの話によれば、オエドの将軍家の軍勢が魔王率いる妖し達に破れてしまってからは、世に隠れていた妖し達も表に出始め、オエド以外の地域に出没するそれらの数も増えていった。この都の周りなどはそれ程でもないが、オエドの周辺にはかなりの数の妖し達が現れており、それらからオエドを防衛する為に将軍家は、他の地域にまで兵を回せなくなっているらしい。そういう状況なので仕方なく、俺達がいた国に救援要請をしたという話だった。
俺達の最初の目的としては、オエドへと向かい将軍家の協力を仰いで、なんらかの対策を立てるへぎでがしょう、とナムチさんに言われた。将軍家へはその旨の使者をこちらから出しておくと約束してくれた。
かなりざっくりとした目的のような気がするが、東へ行かないと細かい情勢は伝わりづらいので、仕方ないのかもしれない。
説明が粗方済むと、ナムチさんは手をさっきのように二回叩いた。すると、天井から何かが二つ、フワリと床に落ちた。それはナムチさんの後ろ斜め左右で一つずつ、ピタリと止まっている。それは二人の女性だった。
「……この二人は皇家の隠密でありまして、貴殿等の案内役としてお付けいたします。道案内以外でも役に立つ事がありましょう」
何かが落ちてきた事にビビっていたが、それを聞いて安心した。隠密という事は、忍者みたいなものかな?ナムチさんの左斜め後ろにいるのがカリンという名の子で、右斜め後ろにいるのがミツハという名だと紹介された。驚いたのが二人の顔が瓜二つだった事だ。彼女達は双子だと説明された。




