船旅
王都を出てから二階週間後、ようやく神国へと向かう船があるという港町に辿り着いた。
あれからワタナベさんは、俺達とずっと一緒に付いてきている。王都の王様の元に向かわせて保護を頼むという手段もあったが、ワタナベさんが俺達と一緒に行きたいと言ったので、そのままの形になっていた。神国にも渡ってみたいと言うのでニニギにも聞いてみた所、
「貴方様が御守りするというのであれば、私方は構いませんよ」
と、言ってくれた。
ちなみにワタナベさんには、『記憶を失っている振り』をしてもらっている。みんなにも俺から話しておいた。
この世界で初めて訪れた港町は、なんというか普通の西洋風の港町だった。港では半裸の男達が、忙しそうに荷物を運び回っている。船も大きいのから小さいのまで、様々な物が停泊していた。
この港にも神国へ渡る船は、ニニギ達が乗ってきた物しかない。実は神国とこの国を挟む海域には、それはそれは大きな渦潮が巻いており、一年の内の半分はその大渦のせいで、かなり遠回りの航路をとらなければ神国へは渡れなくなっているらしい。今は大渦が小さくなっている時期らしいので、5日程船旅をするだけで渡れるという話だった。
その大渦があるおかげでスメラギ神国は、他国の戦乱に巻き込まれたりする事もなく、独自の文化を発展させていったという。
港町には天候を見計らう為に、3日程滞在していた。俺達が乗る船の船長が、「この天気なら大丈夫だろう」とやっと見立てたので、船に乗り込み出航する事になった。
俺達が乗っている船は、俺が元居た世界でいう所の『観光船』ぐらいの大きさの物だ。帆柱が船の前後に一本ずつ立っており、前が大きな帆、後ろが小さな帆になっている。乗船している人数は、俺達とニニギ一行、後は船員達を合わせての合計30人ぐらいだった。
天気は晴れが続いており、波は比較的に穏やかで順調な航海だ。だが、それでも俺は酷い船酔いになっていた。俺達の為に用意してくれた船室で、ずっと横になっている。船室の数は少ないので、アーリエやプロヴダと相部屋になっていた。ワナタベさんはニニギを除いた使者の人達や、この船の船員達と供に大部屋の方で寝起きをしていた。アーリエも俺と同じく船酔いになっていたのだが、一日経っただけでだいぶマシになったようなので、それからはずっと俺を介抱してくれていた。
船が出てから3日後、俺もなんとか食べ物を口にできるぐらいには回復していた。
5日後には船は神国へと無事に辿り着いていた。




