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異世界に転移した俺は美少女たちとニャンニャンしたい  作者: 雑草という名の草
第一章 ゴブリン退治編
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ゴブリン退治

 アーリエは『魔法』が扱えるらしい。ここら辺で魔法を扱えるのはアーリエだけらしく、こういう厄介事を、たまに村の人にから頼まれたりするという話だった。

 ちなみに、アーリエにゴブリンの特徴について尋ねてみたが(俺が知っているゴブリンと同じような物なのか確かめる為)、俺たちがファンタジー的なお話などで、よく見掛けるようなゴブリンの特徴と、そんなに変わらなかった。肌の色は緑色に近く、背は低い。力はそんなに強くないが素早い動きをして、知能はそこそこある。凶暴だが臆病でもあり、だいたいは群れを作って行動している。繁殖する為には異種族の女性を(さら)ってきて、交配したりするらしい。

 あれからもアーリエは椅子に座って、長い間考え事をしていた。それが終わるとまた普段と同じように、家事やなにかの作業をこなし始め。それらの事がだいたい終わると、早速(さっそく)だがゴブリンの巣へ行く為の準備を始めた。俺はなるべくアーリエの邪魔にならないように、側でウロウロとしていたのだが、その間もある事について、悶々と悩んでいたのだった。それは、

「俺もゴブリンの巣に連れて行って欲しい」

と、いうものだ。意を決しアーリエに頼んでみると、

「それはできません」

 キッパリと断られてしまった、しかし、俺はめげる事なく、何度もしつこく頭を下げ、同行の許可を求めた。その理由としては、アーリエには助けてもらったという恩もあるし、もし彼女に何かあれば俺の今後が、かなり不安になってしまうからだ。

 何度も何度もお願いをし、遂には土下座までしてみた所、アーリエは根負けして同行を許可してくれたのだった。


 アーリエの行動は素早かった。次の日には、もうゴブリンの巣へ行く事にしている。朝も早い内から、出発するみたいだ。しかし、そのまま直接ゴブリンの巣に向かうという訳ではなく、一度近くにあるという『例の村』へ寄ってから行く事にしていた。

 特に俺は荷物持ちとして同行する訳だが、その為にリュックを背負っていた。中身は今回のクエストで使う、色々な道具などだ。アーリエからナイフも手渡されていた。これは()()()()|()にも使用するかもしれないと、彼女に言われていた。

 巣に向かう為に彼女も、少しだけ格好を変えている。着ている物はいつものワンピースだが、肩から白いケープのような物を羽織っている。彼女も荷物を入れる為の、肩掛けカバンを持っていたが、そのカバンの入れ口と蓋の部分に、鈍器のようにも見える『杖』を、はみ出た感じで挟んでいた(杖は先の方が『金』で出来ており、その部分は算盤(そろばん)の球が長くなったような形状をしている。先の部分だけで長さが15cmぐらいあり、そこから下は細い木となっているのだが、そこの長さは約40cm。杖の分類的には『ワンド』と呼ばれている物だ)。


 近くの村へ到着する頃には、俺はほとんど死にかけていた。やはり、長期間の引きこもりによる体力の低下は、深刻な物となっている。アーリエの住む家から村までは、森の中の道を歩いて30分程掛かるのだが、俺はそれを歩くだけでも汗ビッショリとなり、息もゼェゼェと吐いていた。上着にしていたネルシャツも、リュックの中にしまっている。足元がゴム製のサンダルだというのも、けっこうキツい(アーリエも革製のサンダルを吐いているが、足元に縛り付けられる様になっている)。

 村に到着したのがわかったのは森が切れ、平原になった後、畑の広がる光景が目の前に現れだしたからだ。畑には小麦のような作物が、まだ緑色の穂を揺らして、整然と並んでいる。畑の風景はけっこう長々と続いていて、俺はこちらで観る初めての光景に感動を覚えていた。だが、疲れ切っていたので、その感動もすぐに薄らぐ。畑の中にはポツンポツンと働いている人もいたが、その人達は畑と畑の間の道を通っていくアーリエを見掛けると、「お~い!」と呼ばわって挨拶をしてくれた。アーリエも手を振って、それに応えている。

 そのまま進んで行くと、道沿いに(まば)らと建物が現れだした。村の人達が集住している、村の中央に向かっている訳だ。その途中でお喋りをしている3人の御婦人方と出会(でくわ)したが、アーリエが側に近付いてくると、笑顔で挨拶をした。その後、アーリエとたわいもない日常会話をして、俺の事も二、三個質問してきた。アーリエはそれに答え、先を急いでいたのですぐにその場を離れ前に進み出した。そして、また御婦人方がお喋りを始めたのを背後で感じとっていたが、なんだか自分の悪口を言われているんじゃないかと、内心ビクついていた。

 村長の家はほぼ村の中央にあるらしい。さっき御婦人方と会話した場所からは、そんなに離れてはいない。説明していなかったが、村の家屋はほとんどが木造で、村長の家もそれは変わらない。石造りの小屋のような建物も、村の中で見掛けたが、なんの建物かは外観からはわからなかった(多分、火を扱う為のなんらかの施設か、貯蔵庫かなんかだろう)。村の家のほとんどが、木の柵で囲まれている庭に、家畜を飼っており(牛、馬、豚、山羊、鶏などで、牛小屋があるのは村長の家のすぐ側だけだ)、そこで家庭菜園のような物も営んでいる。

 ゴブリンの巣へ行く前に、村長の家にやって来たのには、2つの理由がある。1つは今からゴブリンの巣に行く事を伝える為と、もう1つは「ゴブリンに襲われたという若者に詳しく話を聞かせてもらいたい」という物だ。

 村長は丁度在宅をしていたので、一つ目の目的を遂げた後、もう一つの目的についても話した。すると、「今からその若者の家まで一緒に行って、頼んでみますわい」と、了承した。

 その若者とその家族が住んでいる家は、村長の家から歩いて10分ぐらいしか掛からない。若者の家に着くと村長が、中にいたその若者の母親っぽい人に挨拶をした後、訪ねてきた理由を話した。母親が一旦、家の中に入り若者に確認を取る。話を聞いてもいいらしく、家の中に上げてくれた。

 家の中はアーリエの家よりかは、ちょっと広いぐらい。十六畳程あるスペースに、一家4人で暮らしているらしい。若者は部屋の隅にある木製の籠のような物の中に藁を敷き詰めた、まぁそういうベッドの上に寝そべっていた(藁を集めて背の裏に当てているので、上半身は斜めに起き上がっているが)。若者は金髪で、角刈りみたいな髪形をしている。頬や鼻の上辺りにはソバカスがあり、何故か口に中で何かを噛んでいて、ずっとクチャクチャしている。かなりチャラそうに俺には見えた。

 ゴブリンに襲われたと聞いていたので、酷い怪我でもしているのかと思っていたが、右足首に包帯を巻いているだけで、他は顔や素肌の見えている部分に、擦り傷の様な物が少しあるだけに見えた(若者は長袖長ズボンの衣服を着用しているので、見えない部分に酷い傷があるのかもしれないが、割と元気なように俺には見えた)。

 玄関で応対をしてくれた若者の母親が、ベッドの側に椅子を3つ用意してくれたので、アーリエ、俺、村長はその椅子に腰掛けさせてもらう。村長が、

「ワシがお前の母さんに言ったように、ゴブリンに襲われた時の状況をを、この方に詳しく話してくれ」

と、言った。

 若者はアーリエには興味ないような振りをしながら、アーリエの事をチラチラと盗み見ていたのだが(特に胸を見ていたのを、俺は確認している。後、俺の事を初めて見た時は一瞬、ギョッとしたような顔をした)、若者に襲われた時の状況を語り始めた。

 内容は、襲われた場所は村の近くの森の中で(ゴブリンの巣からだいぶ近い場所)、そこを()()()()()()()()()だったらしい。いきなり沢山のゴブリンが現れ、囲まれてしまったという話だった。

「俺はただ森の中を、気晴らしに散歩していただけだったのに、奴等はいきなり俺を見付けて襲いかかってきやがった!だが、俺もけっこう腕は立つ方だし、護身の為に一応剣も持っていたから、いくらか奴等を斬り伏せてやったぜ!」


 アーリエが若者に、「ゴブリン達は何匹ぐらいいたのか?」、「武器は手にしていたのか?」、「どういう感じ見付けられ襲われたのか?」など、詳細な状況を聞き始めた。若者はあんまり思い出せないのか、話に詰まりながらなんとか絞り出している様に見える。終いには、「そんな細かい事どうでもいいじゃねぇか!」と言って、話を遮ろうとした。

 これ以上、この若者から詳しい情報聞き出せないと思ったのかアーリエは、

「では、ワタシ達はこれで失礼します」

と、質問を打ち切った。

 アリーエが床に置いていたカバンを肩に掛けた、立ち上がった時だった。若者はいきなり、

「ウ、ウワアアアアアアアアアアッ!!」

と、叫び声を上げだした。

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