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四凶②

 アーリエとプロヴダがいる宿屋に城から使いを出してもらい、事情を話して一緒に来てくれるように頼んでもらった。彼女達はそれを了承してくれたようで、王都に南の門の合流地点まで来てくれていた。


 兵士と馬で相乗りをして、南の村へ向かう。俺達3人供に兵士とマンツーマンで相乗りをしているので、合計で6人のパーティーだ。

 村には昼の内に着いた。村の手前で馬を降り中の様子を伺ってみたが、人の気配をまったく感じない。まさか村人や兵士達は全員殺されてしまったのだろうか?

 警戒をしながら村の中へ入ってみようと、中へと続く道の上を進んでいく。すると、村の入口近くにある家屋の陰から、何者かが姿を現した。

「久し振りだな……」

 ……何者かがそう話しかけてきた。久し振りと言ったように聞こえたが、俺には相手との面識がまったくない。この中の誰かと知り合いなのか?しかし、俺には見覚えがよくある格好をしていた。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「『久し振り』とは言ったが、実際に会うのはこれが初めてになる……。そう、『つくづく包子(ほうし)よ……」

 ……!?『つくづく包子』は、俺が元居た世界で使っていた某チャットサイトのHN(ハンドルネーム)だ。何故、奴がそのHNを知っているんだ?

 話しかけてきたそいつは、長髪で瘦せていて背が高く、眼鏡をかけたアジア人風の男だ。会うのは初めてとか言っていたが、俺には男にまったく見覚えがないので、なんの事なのかさっぱりわからない。

「……あの方はお知り合いですか?」

 アーリエが訊ねてきたが、俺はもちろん「知らない」と答えた。

「俺達もいるぜ!」

 どこからか、そんな声が聞こえてきた。さっき長髪ガリ眼鏡が出てきた家屋の陰から、また誰かが顔を出してくる。今度は3人もいた。全員男性で、ガリ(今後は長髪ガリ眼鏡の事を『ガリ』とだけ呼ぶ)と似たような恰好をした連中だ。

「俺達は自称AKB四天王のピクピク(みん)、ロリ棍棒、クパ王、腐乱子犬(フランシーヌ)!お前と同じく、()()()()()()()()()()()()()()()()()……」

 ……!?またしてもガリの口から驚くべき発言が飛び出した。まさか、そんな……。奴等も『転移者』だなんて……。

 奴等がHNを名乗った事で、なんとなく奴等が誰なのかを思い出してきた。みんなアニメや漫画、ゲームが話題の中心の某チャットサイトに入り浸っていた連中だ。そこで俺達は、それらの話題で盛り上がったり、それ以外の色々な話をしたりして意気投合していた。

 しかし、現実(リアル)では一度も会った事がない連中なんだが……。

「……驚くのも無理はない。しかし、我等(われら)自称AKB四天王は貴様に『罰』を与えるべく、こちらの世界までやって来たのだ!そう……、()()()()()()()()()()()()()()()()()!」

 裏切者だと!?何故、彼がそう言っているのか、俺にはまったく理解ができない。

「死ね!つくづく包子!」

 4人の中で一番太っている奴(ロリ棍棒)が、いきなり叫んだ。

 太っている奴(デブ)はその場で腰を落とし、踏ん張りながら声を出して(うな)り始める。すると、なにやら辺りに()()()()()()()()()()()()()()

「僕の能力(スキル)、『天上の芳香(ヘヴンズフィール)』のお味はどうかな?ブヒヒッ」

 ……ヤバい。一呼吸しただけで意識が飛びそうになる程の強烈な臭いだ。この世のありとあらゆる臭いのキツい物をブレンドしたかのような地獄の香りに、みんなも手で鼻を抑えて藻掻(もが)き苦しむ事しかできなくなっている。

 呼吸すらし辛くなり、意識が遠退いていきそうになった時、「パンッ」と何かを叩いたような音が辺りに響いた。

「バカッ!いきなりその能力を使うな!俺達も側で巻き込まれてんだよ!」

 どうやらガリがデブの頭を叩いた音のようだった。そのおかげであの強烈な臭いが、辺りから嘘のように掻き消えていた。なんとか全員、気を失わずに済んだようだ。

「次は俺の番だぜ!」

 今度は4人の内のハゲている奴(クパ王)が叫び、両の手の平を額の前で左右に(かざ)す。すると、ハゲの頭からは強烈な光が発生していた。

 眩し過ぎる光のせいで目を開けていられない。そのせいで目を手で覆ったまま、その場で立ち尽くすしかなくなってしまっていた。だが、しばらく経ってもそのままで、なんの変化もなかった。

「……オイッ!俺が能力(スキル)天使の光輪(エンジェルハイロゥ)』を使ってる間に、アイツ等を倒してこいよ!」

 ハゲが仲間にキレていた。

「お前が能力を使っている間は、俺達も光が眩し過ぎて動けないし……」

 ……なんだか彼等の間で、ちゃんと話し合いができていないみたいだ。

「ヨシッ!気を取り直して俺がいくぞ!」

 4人の中で一番小さい奴(腐乱子犬)が言った。

 ……だが小さいヤツはそう言ってから、別に何もアクションを起こそうとはしなかった。全員が頭の上にクエスチョンマークを浮かべる。

「フフフフッ……、恐ろしい事が起こっている事に気が付いていないようだな!」

 俺達が気が付いていないだけで、何か恐ろしい事が起こっているらしい。それは一体なんなんだ?辺りに緊張が走る。

「ハハハハッ!わからないのなら教えてやろう!俺の能力(スキル)真実を見抜く瞳(ジャッジアイズ)』は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()!俺の身長が少しだけ高くなり、格好良くなっている事に気が付け!」

 言われてみればチビは、前と比べて身長が少し高くなっている様な気がする。だが、スキル効果はそれだけで、後は特に何もないようだった。なんなんだ?

 先程から変な能力ばかりに付き合わされ、なんだか疲れてきている。

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