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四凶

 ある日、夜空に4つの星が流れ落ちた───

 王都の城の一室で黒いローブを(まと)い、フードを目深に被った老婆が水晶玉を覗きながら何かを呟いた。

「おぉ……、これは大変な事になるぞよ……」


 あれからアーリエが、王都に帰ってきていた。

 一ヶ月程経った後の話だったが、アーリエが帰ってきてくれて、俺はほっと一安心だ。王都に凱旋してから、俺はずっとお城に部屋を貰って暮らしていたのだが、アーリエは城下町で自分の部屋を借りて暮らしたいと言っている。そして、いずれは自分の店を出してみたいと語った。自分で仕入れた魔法の道具なんかを商ってみたいんだそうな。

 俺はアーリエが店を開くのであれば、飲食店なんかがいいのではないかと思った。アーリエは料理が上手だからだ。アキバ系メイドファッションで接客でもしてくれれば最高だ。しかし、それは言わないでおく。

 それからプロヴダも王都にやって来た。また家宝の斧を勝手に持ち出し、実家を飛び出してきたみたいだ。プロヴダは年相応で可愛らしい所もあるのだ、乱暴なので少し苦手だ。

 アーリエとプロヴダは王都で住む所が決まるまで、とりあえず最初に来たときに泊まった宿屋にまた宿泊している。勇者の仲間割引が利いて、かなり格安になっているのでお得だ。俺も城を出てそちらに移りたい気もしてきている。城で暮らすよりかは気楽そうだ。


 ある日、城の自分の部屋でボ~ッとしていると、王様からの呼び出しがあった。

 「至急、玉座の間までお越しください」と、部屋までやって来た伝言の兵士が慌てた様子で言っている。俺は急いで玉座の間まで行った。

 玉座の間には、すでに王様が俺が来るのを待ち構えていた。王様はいつになく神妙な顔付きだ。側にはいつもよく見るメンバーの大臣や王様の側近、護衛の兵士達がいる。少し違っているのは、王様の隣に黒いローブを着た見慣れない老婆が立っていた事だ。

「おぉ、参られましたか勇者殿。実は大変な事が起こりましてな……」

 重々しい口調で王様が言った。

「ワシの隣に立っているこの占い師がババアが、昨晩この国の先行きについて占いをしたらしいのですが、その占いで『近々、大きな災いがこの国に訪れる』と出たらしいのですじゃ……」

 んっ?占いの結果が悪かっただけなのかな?すでに何かとんでもない事が起きたかのような感じだったので、少し拍子抜けした。

「それってただの占いですよね?」

 俺は冷めた感じで言った。

「この占い師のババアは、この国で一番占いが当たる占い師のババアですぞ!占って出た結果は、ほぼ外れなしなのですじゃ!」

 ……王様がそこまで言うという事は、やはりかなりの高確率で、占い結果は当たるという事なのだろうか。魔法が存在する世界なので、俺が元居た世界のような、当たるかどうかわからない占いと、一緒くたにして考えるのは間違っているのかもしれない。

 とにかく何かとてつもなく悪い事が、近々起きるらしいのだが……。

「具体的にどんな災いが起きるのは、わからないんでしょうか?」

「そこまではわかりませんのじゃ……。とにかく、なにか凄く悪い事が起きるというのは、確かだと思いますのじゃ」

 具体的な事がわからなければ、対策のしようがない。何かの災害などであれば、俺が口を挟むような事柄でもないので、心に留めておくぐらいの事しかできない。

 そんな話し合いの最中、玉座の間に一人の兵士が駆け込んできた。

「陛下!将軍閣下が火急の用がおありとのことで、こちらに参ってきております!」

「火急の用とな?わかった!すぐ連れて参れ!」

 兵士が出て行き、2人の男性が玉座の間に入ってきた。鎧を着こんだ恰幅(かっぷく)の良い老人と、薄汚れて憔悴仕切った感じの兵士の2人だ。老人の方はこの前の魔王軍との戦いの際に、王都の軍勢を率いてきていたので面識があった。

「陛下っ!一大事ですぞ!」

 将軍が開口一番に大声で言った。玉座の間にいる人達がざわつきだした。

「どうしたというのじゃ?」

「昨晩、王都から南に20ギュスタン(1ギュスタンは約0,9キロメートル)程いった所にある村に、正体不明の何者かが現れ、村を占拠してしまったとの報告が今朝方、私の元に入ってまいりました。相手は少人数と聞きましたので、私の独断で兵士を50人程をその村に派遣したのですが、兵士達はその何者か達によって、ほとんど倒されてしまったとの事です!」

「……その何者か達というのは、一体なんなんじゃ?」

 王様にそう訊ねられると将軍は、一緒に伴われてきた兵士に目配せをした。

「その何者かなのですが……。格好は変わっておりましたが、ただの人間にしか見えませんでした。しかし、奇妙な術のようなものを使い、我々はなす術もなく次々と倒されていったのです……。そして何者か達の人数なのですが、()()()()()()()()()()()()()()()()……」

 玉座の間にいる人達が、またしてもざわついた。たったの4人に、50人からいる兵士達が倒されてしまったというのだ。

「陛下!すぐに新たな兵を送る許可をお与えください!」

 将軍が王様に出兵の許可を願いでた。王様それを聞いてしばらく考え込んだ後、俺の方をチラリと見た。嫌な予感がする……。

「相手が4人しかいないのであれば、こちらも少数の精鋭を送り込んだ方がいいのかもしれんのぉ……。という訳なので、勇者殿。ここはアナタのお力をお借りしたいと思うのですが……」

 やっぱりそう来たか。この空気で嫌と言えるのなら、俺は引きこもりになんてなってはいない。しかし、これは流石にヤバいかもしれない……。

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