王都帰還
新生魔王軍誕生騒動も決着が着き、あれから数日が過ぎていた。
戦士の国に集まっていた王都の軍勢や、各地の義勇兵達も、すでに故郷へと帰っていた。
俺はする事がなくなり、マーチ家に滞在してブラブラしている。そんなある日、王都の王様から俺宛に使いが送られてきた。マーチ家までわざわざ封書を持ってやって来ている。
『王都でも、今回の戦いの英雄の凱旋式を行いたいから、早めにこっちに戻って来てね』
……そんな内容だった。
王様からの直々のお願いを無視する訳にもいかないので、すぐに王都へと向かう事になる。
王都へ行くのは、俺とアーリエの2人だけだ。プロヴダは以前にやらかした家出のせいで、フレデリックさんから残るようにと厳命されている。アーリエも王都に着いたら、すぐにアーリエの家があった村へ帰り、村の人達に挨拶をしてきたいと言っている。
アーリエがまた王都に戻って来てくれるのか心配だが、家をずっと村の人達に任せたままにしておく訳にもいかないので、それはそれで仕方がない。
王都に到着すると、城下町の人々から熱烈な歓迎を受けた。門の前まで迎えに来てくれていた兵士達に護衛され、城までゆっくりと馬に乗り進んで行く(馬はフレデリックさんがまた一頭貸してくれていたので、例のクソ馬と合わせて二頭いる)。
城に着いてから玉座の間で、王様に挨拶をする。すると、今回の働きについての王様からのお誉めの言葉があり、褒賞金まで渡された。
アーリエがクソ馬に乗り村へと帰っていくと、俺はまたしても貴族や町の有力者達から引っきりなしに招待を受けた。町の淑女達からもお誘いを受けたが、そっち関係はなるべく控えさせてもらっている。アーリエのいない間に、女の子達と浮き名を流している事がバレるのもなんか怖い。俺はすでにアーリエに対して、恋心がある事を自覚していた。
この世界でも初めての恩人であり、いつも側に付いてくれていた(スキルのせいかもしれないが)。スキル抜きにしても、ここまで尽くしてくれているアーリエを、無下にする事はできない。俺は自分の初めての相手は、アーリエがいいと心に決めている。
今度こそ、彼女との関係を深めるべく帰りを待っていたのだが、一ヶ月が過ぎても、まだ王都に帰ってくる様子はない。『もしかすると、このままずっと帰って来ないのでは?』という不安が過ってくる。
毎日、鈍った生活をしているせいで、減っていた体重もまた元に戻り始めていた。




