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新魔王暗殺②

 その事があった日の夕食前、俺はメイド長から食事が終わったら、新魔王の部屋まで行くようにと言われた。もしかしてこれは、俺がこの前城に乗り込んできた奴だ、という事がバレてしまったのではないだろうか?

 どうするべきかをアーリエに相談したいのだが、アーリエは何故か魔物の幹部達による作戦会議に出席していていなかった。プロヴダは普通にいるのだが、彼女に相談すると逆におかしな事になりそうな気がするので、何も言わないで置く事にした。結局、一人で悶々と思い悩むが何も考えつかず、新魔王の部屋へと行く時間が来てしまっていた……。

 新魔王の部屋は、前の魔王の部屋を少し模様替えしただけだった。部屋の前へ行き扉をノックをすると中から、「入りたまへ」と言う声が聞こえてくる。中に入り扉を閉め、お辞儀をした。

「こちらまで来たまへ」

 新魔王が自分の側まで来るようにと命じた。俺はなるべく顔を伏せながら、おずおずと新魔王の側まで行く。新魔王はソファーに座り(くつろ)ぎながら、ワイングラスを傾け中に入った赤い液体を飲んでいた。

「君もソファーに座りたまへ」

 新魔王がまた指示した。俺はソファーの端っこにチョコンと座る。少しだけ沈黙の時が流れる。すると、新魔王が急にソファーから立ち上がった。

 『()られる……!?』と思い、ギュッと目を(つむ)ったが、新魔王は壁際に置いてある棚の側までいき、そこに置いてあったワイングラスを手に取った。そして、同じく棚に置いてある瓶に入った赤い液体をそれに注ぐ。こちらまで来て、それを俺に手渡した。

「それを飲みながら、君も寛ぎたまへ」

 そう言って、またソファーに座った。

 俺は渡されたワイングラスに入った赤い液体を、ジッと眺めていた。もしかすると毒かもしれない。飲むかどうか凄い迷っていたが、新魔王は同じように注いできた赤い液体を、平気な顔をして飲んでいる。俺は覚悟を決めて、その液体を一口飲んだ。……普通のワインだった。しかもけっこう美味しい。

 それから新魔王が、なにやらこれからの魔物達の未来の展望などについてを語りだした。遠い所を観るような目で、情熱的に語っている。何故そんな事を俺に聞かせるのかよくわからない。とりあえず適当に相槌を打ちながら聞いていた。新魔王はその間も俺がグラスを空ければ、ワインを自ら注いでくれている。話がけっこう長かったので、酔いがけっこう回ってきていた。

 話が一段落すると、新魔王は語るのを止めた。また、しばし沈黙の時が流れる。

「……もし、よければ君を余の(きさき)候補として遇したいのだが、どうだろうか?」

 唐突にそんな事を言い出した。

 酔っ払っていたので聞き間違いかと思い、「はぁ?」と聞き返したのだが、やはり「俺と結婚を前提としたお付き合いをしたい」と言っているようだ。

 冗談だと思いゲラゲラと笑ってしまった。新魔王はキョトンとした顔をしている。

「冗談ではないぞ。本気で言っているのだ」

 真剣な顔をして言った。

 おいおい、マジかよ。どんな基準で俺を選んだんだ?なんと答えていいのかわからない。

「……考えさせてください」

 とりあえず言った。

「他に未来を約束したような男がいる訳ではあるまいな?」

 俺は、「そんな相手はいない」と答えた。

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