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新魔王暗殺

 俺達3人は面接を無事に通過していた。

 面接が終わった後に、また例の広い部屋に帰され、結果出るのを待たされていた。全員の面接が終わると、採用が決まった者の番号がその場で呼ばれる。俺だけは面接の場で即採用だったので、別に結果を聞くまでもなかったのだが、アーリエとプロヴダの番号もちゃんと呼ばれていた。何故俺だけがその場ですぐに採用だったのか?確かに面接官達は面接の最中に俺の方をチラチラ見ながら、小声でなにかを話したりしていた。理由はわからないが結果オーライなので、深くは考えない様にしよう。

 その日は、けっこう良い持てなしを受けながら砦で一泊した。次の日、案内の魔物達に連れられ山を登り(魔物の中には、あのジャージを着た魔物もいる)、バリアーの側まで行く。案内の魔物達がバリアーに近付くと、バリアーには魔物達が通れそうなぐらいの隙間が開いた。どうやら俺達にはわからない認証システムのような物があり、それでバリアーを通り抜けられる者と、そうでない者を識別しているようだ。俺達も魔王城での登録が済めば、付き添いがいなくてもバリアーを通り抜けられるようになるらしい。

 バリアーを通り抜け、魔王城があったはずの場所まで行く。もともと城があった地面には、大きな穴がポッカリと空いていた。穴の脇には階段があり、それで穴の底の方まで行けるようになっている。階段を降り魔王城の丁度真下辺りまで行くと、ジャージを着た魔物が手を上げて合図をした。すると魔王城の底の真ん中辺りが「スーッ」と丸く開き、そこから光が降りてきた。その光が真下にいる者達の身体を包み込む。すると何故か身体が宙に浮かび始め、魔王城の底に吸い込まれるように、上まで上がっていった。俺達が城の中まで浮かび上がると、底はまた元の様に閉じていた。


 今回、新しくメイドとして採用された10匹は(7匹と3人は)、以前から働いていたメイド達と共に、大きな部屋で一緒に寝起きをする事になる。自分用のベッドを宛がわれ、仕事の時に着るメイド服も、ちゃんと支給されていた。

 俺達に課せられた主な任務は4つ。1つ、魔王軍の弱点になるような情報を探ってくる事。2つ、魔王城への簡単な侵入方法を調べてくる事。3つ、魔王城でなんらかの工作をして、魔王軍を混乱に陥らせる事。4つ、新魔王を暗殺してくる事などだ。1から順に優先順位が下がっていき、1、2以外は『できそうならやる』といった感じになっている(2に関しても、調べるのに時間が掛かりそうなら、自己判断で引き揚げてもいいと言われていた)

 2に関しては、ほとんど達成をしたような物だが、入れるのは今の所俺達3人だけなので、もうちょっと大勢が侵入できるような方法はないかを調べようと思う。

 俺達はメイド仕事の(かたわ)ら、魔王城の内部をコソコソと探り回っていた。アーリエは面接での事が話題になったのか、魔王軍の幹部からたまに意見を聞かれていた。プロヴダは他のメイドではキツそうな力仕事に駆り出されている。俺だけが一般メイドとして何食わぬ顔で、日々を過ごしていた。単純なミスが多く、他のメイド達からは白い目で見られてはいたが……。

 そんなある日、新魔王の部屋を先輩メイドの1人と掃除していたときの事だ。新魔王が部屋の中にいない間に掃除を済ます予定だったが、新魔王が途中で部屋に帰ってきてしまった。慌てて先輩メイドと一緒に部屋を出ていこうとしたが新魔王は、「そのまま掃除をしてくれていて構わない」と言い、俺達に掃除を続けるように指示した。新魔王がソファーの上で(くつろ)ぎながら、何かの資料を読んでいる。俺達はバタバタと忙しく動き回りながら、掃除を早めに終わらせようと頑張っている。焦り過ぎた俺はいつもの如く、盛大なミスを犯してしまったら。まだ慣れていないスカートの裾を踏んづけ、(つまず)いてしまった。最悪な事に、その時に手に持っていたバケツの水を、新魔王に頭からブチ撒けてしまったのだ。

 汚水を丸被りした新魔王が、(しずく)を滴らせながら呆然としている。俺は「終わった……」と絶望し、頭の中で過去の思い出が走馬灯の様に流れていった。

 すぐに先輩メイドが土下座をして謝る。俺もその場で土下座をして、潰れたカエルのようになって平謝りする。

「……気にしなくてもよい」

 新魔王がイケメンボイスで言った。俺達はバケツの汚水をすぐ様拭き取り、部屋の掃除をさっさと済ませると、逃げるように部屋から立ち去っていた。

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