俺たち、陽気な訓練兵
そんな感じで一週間が過ぎた。
それからは俺も一年目の子達に混じって、走り込みや筋トレ以外の訓練にも参加した。森の中の障害物のあるコースを走ったり、荷物を背負って小高い山を登り降りしたりと色々やった。
今までに味わった事のない過酷な状況に、トイレの個室に閉じこもるといった問題行動を起こしたりもしたが、すぐに教官に扉を破壊され引き摺りだされた。教官から、「お前がどこの貴族だろうがウジ虫だろうが、俺には関係ない。俺がやる事はお前の足の爪先から頭の天辺にまで詰まったクソを、筋肉に詰め替える事だけだ」と言われた。
しかし、それでもまわりの子達は俺を軽蔑したりはせず、なにかと励ましたりしてくれている。
一ヶ月も経つと俺の身体もそれなりに結果にコミットされ、まわりの子達ともなにかあれば、「ウェーイ!」をしたりする『ウェーイ系』の関係になった。最初に案内してくれた眼鏡の子と、一番仲良しになっている(名前をショーン君だ)。
だが、それからは俺だけ二年目に組に編入された。三ヶ月しかここにいないので、それなりの物に仕上げる為にはしょうがない。
二年目の子達と共に武器を扱う訓練を始める。他の子はいろんな武器を試したようだが、俺は剣のみを練習している。
刃引きされた剣をただ木にひたすら叩きつける訓練、木の枝に吊るしてある的や、藪から飛び出してくる的を走りながら斬りつける訓練、訓練生同士が互いに防具を着け木剣などで打ち合う訓練といった事などだ。
二ヶ月目、今度は三年目の子達の組に入れられる。この組にもなると山で野生の熊を狩ったりなど、行動がアグッレシブだ。けっこう大きな怪我をしたりもしているが、怪我の跡は返って勲章になるみたい。
そして、三ヶ月目……。俺の肉体は目覚ましい進化を遂げていた。あの人間とオークの中間点だった男が、今ではマッシブルな戦士へと変貌している。風呂場に入ったときにも、鏡の前で自分の身体を見てニヤけている俺に、まわりの子は『ニヤけデブ』というアダ名を付けていた。




