戦士の国
旅の途中、それからも何回かモンスターに襲われたので、聖剣を使っていろいろ試してみた。だが、やはり何も起こらない。
しかし、一つだけ気付いた事がある。試しにとばかりに剣を嗅いだり舐めたり吸ったりもしてみたが、なんだか美味しい味がした気がした。剣身の部分をペロペロと舐めてみると、やはり美味しい味がする。お昼時に持って来ていた鍋に水を入れ、その中に剣を突っ込んで煮てみた所、蟹味の出汁が取れた。
これで食事時の出汁には困らなくなった。
戦士の国に到着した。
北に向かって進んできたので、ここら辺りは王都よりか少し寒い。さらに北にある魔王城は山の中腹にあり、一年の内の半分ぐらいは雪で覆われているという。
戦士の国は、王都と同じように高い石の塀に囲まれていた。だが、塀の広さから推し量った内部の広さは、王都よりかかなり狭い様に思える。国と名は付いているが、マルジェの町ぐらいの規模しかなさそうだった。
塀にある門の側にいる門番の許可を取らないと中に入れない訳だが、プロヴダがいるので顔パスだった。だが、プロヴダは門番の人に「父親がすごい怒っていたぞ」と脅されていた。
中は普通の町になっている。普通の町とは少し違っている所は、住民の中にやたらと体格が良い人が多い所だ。やはり『戦士の国』というだけあって、身体を鍛えている人が沢山いるみたいだ。
町を歩いていると、プロヴダに声を掛けてくる人が非常に多い。戦士長の娘だけあって、ここではかなりの有名人みたい。だが、みんなはプロヴダの事を、『メグ』と呼んでいた。渾名だろうか?
とりあえずプロヴダが、「自分の家に案内をする」と言うので付いて行く。すると、かなり大きな屋敷に連れて行かれた。
門から中に入ると、すぐに様々な花が植えられた庭園がある。庭園の真ん中には噴水もあった。
急にプロヴダが立ち止まり、口に人差し指を当て、「シーッ!」とやった。何事かと思うと、プロヴダは背中に背負っている斧を静かに手に持ち、忍び足でゆっくりと歩いていく。プロヴダが進んでいる先には、こちらに背を向けて庭園の花壇の前で、何かをしている男性の姿があった。
プロヴダはその男性の後ろまで忍び寄ると、また静かに斧を構えた。そして、飛び上がり真っ逆さまに斬り付けた。
男性がそのまま真っ二つにされてしまうと思ったが、男性はその気配を察知し、振り向き様に両手の手の平で斧の刃を挟んで止めた。
男性とプロヴダが向かい合う。いきなり斬り付けられた事で、男性が激怒するのかと思ったが、
「メグ!」
と、叫んでプロヴダを抱き上げた。




