夜二駆ケル
これはまだ俺が戦士の国へ行く為に、北へ出発する前の話だ──
ある日、俺は一人だけでこっそり夜の町に出てきていた。
その理由は冷やかし目当てで宿を訪ねてきた怪しいおっさんから、
「……この町の風俗街には良いお店がある」
という、話を聞いたからだった。
これは新たに生まれた勇者として町の風紀を守る為にも、是非とも確認しておかなければならない。そんな訳で一人でコソコソと夜の町を彷徨う事になった。
顔の下半分を布で隠し、フード付きのマントのフードを深めに被り、宿で借りたランタンで道を照らしながら、コソ泥のようにそそくさと道を急ぐ。
教えられた通りに道を進んで行くと、夜なのに明々としたネオンが灯る、怪しい雰囲気を醸し出した一角に辿り着いた(俺の元居た世界にあったネオンと一緒な訳がないと思うので、たぶん別の技術で作られた物だと思う)。
客引き達が卑猥な言葉を掛け、通りかかる男性達を店に引き込もうとしている。俺はその前を素早く通り過ぎ、お目当ての店へと急いだ。
おっさんの教えてくれた店の前に到着した。店の看板がネオンの明かりで、燦然と輝いている。『セックス・アンド・ザ・フォックス』と、看板にはこちらの言語で書いてあるらしい。ドキドキしながら開け放してある入り口から入ってみると、左手には受付があり、正面には扉があった。受付では無愛想なババアが入場料を徴収している。決して安くはない入場料を支払うと、ババアは顎を左に「クイッ」とやった。顎の先にあった正面の扉を開くと、薄暗い中に舞台と観客席があった。舞台はそんなに大きくもない、俺の胸下ぐらいの高さの物だ。舞台の前には横並びで五席三列ぐらいの椅子が置いてあり、そこには疎に人が座っている。俺もその椅子の一つに座った。
しばらくするとブザーのような音が鳴り、舞台の上手からは狐耳を頭に着け目隠しをされ、首輪を着けた裸の男が3人と、同じく狐耳を頭に着け目元だけのマスクを顔にしてボンテージを着た、『SMの女王様』みたいな格好をした女性が出てきた。女王様は男達の首輪から繋がった3本のロープを右手に持ち、左手には鞭を持っている。
出て来たメンバーは舞台中央に横一列に並ぶ。女王様が合図をすると3人の男が歌を歌い始めた。
「よっこらセ○クス、パコパコパコ♪」
いやらしく精いっぱい、欲情を誘うような声で3人が歌う。
両手を腰にやり、前後に激しくシェイクしながら、たまに回転を加える。
「腰をふりふり、パコパコパコ♪」
次は勢いよく回転して背中を向け、腰に手を当てたまま、お尻を振りながら腰も振る。なかなかえげつない動きだ。
「○○○の先だっけくっろいぞ♪」
しゃがんで○○○を手に持ち上目使い。
「○○○の汁はしっろいぞ♪」
手を激しく振り、出た○○汁を見せつけてくる。
「よっこらセ○クス、パコパコパコ♪」
サビらしく冒頭と同じ振りだ。
「ペロペロチュパチュパ、パコパコパコ♪」
背中を向けて尻と腰を振る。やはり動きが気持ち悪い。
「ぱこーーーーん♪」
最後は全員で思いっ切り○き、心底気持ち良さそうにアヘ顔で叫ぶようにして終了。そのまま女王様に引き摺られるようにして退場した。
その、なんというか、すっごく気持ち悪い。もう気持ち悪過ぎて、観客全員が吐いていた。




