遥かなる王都
それから宿屋へ帰ってきた。何故かファディールちゃんも付いて来ている。俺の今後の先行きの事で話があるからだそうな。
「『王都』へ行ってみませんか?」
ファディールちゃんがそう言った。
こちらの世界に来てからたまに聞く単語だ。一応、この国の王様が住んでいる都で、一番大きな都市でもあるらしい。その王都とやらにはその昔、別の世界からやって来たという伝説の勇者が持っていた伝説の剣があり、その剣は自分が選んだ主にしか扱えないという代物だった。同じく別の世界からやって来たのかもしれない俺なら、その剣を扱えるかもしれない、という話だった。
別に俺は伝説の剣になんて興味はないが、それに挑戦すれば例え剣に所有者として認めらなかったとしても、王都にいる女性達から少しは注目され、念願のジゴロ道を歩み始められるかもしれない。
王都はこの町から西北西の方角にあるらしく、歩きならだいたい5日ぐらいはかかるらしい。最近は長時間、歩く事ばかりでうんざりする。そして、なんとプロヴダも付いていきたいと言いだした。王都にはまだ一度も行った事がないらしい。
王都に着いた。
旅の間、モンスターや盗賊に襲われたりなど色々とあったが、アーリエとプロヴダがなんとかしてくれた。
王都は石造りの高い城壁に囲まれている。その高い壁からみても、中はかなり広そうだった。
王都のいくつかある門の前へ行くと、入城許可証のような物を門番の兵士に見せ、中に入れてもらおうとしている人達がいた。俺達もその人達の後ろに並び、順番が来ればファディールちゃんから貰った許可証を見せ、中へ入った。
内部は市街地が所狭しと広がっている。建物はほぼ全てが石造りで、背の高い建物もけっこうあった。街道も細い路地以外はほとんどが石畳で舗装されていた。
俺達は旅人がよく泊まると教えられていた宿屋へ行き、まずがそこでしばらく滞在する為の交渉を行った。




