料理対決②
「さぁー!始まりましたぁ、今回の料理対決!レポーターは私、マイキー・トミザワが務めさせていただきます!」
なんかいきなり観客達の中から躍り出てきた、オールバックでサングラスをしたおっさんが、マイクを持ってレポートをし始めた。俺が元居た世界のマイクとはたぶん違うと思うが、一応声はデカくなっている気がする(おっさんの素の声がデカい可能性もある)
「それでは、まずはチーム『ラブリーボンバーズ』の方からぁ!お~っと、今取り出したのはぁそれはぁ……、牛肉かぁっ!!」
テンション高過ぎるだろ。相手は牛肉を用意して来ていたようだ。メインは牛肉を使った料理になるのか?
「それを中華鍋に入れ、焼いているぅ!そしてそれを高級そうなワインで、フランベしたぁーー!!」
高級そうな食材ばかりを使っている。エルクレールは料理勝負を挑んきただけあって、かなり料理が上手そうだった。エルクレールの側でエルクレールとお揃いの、『胸に大きなハートマークが描かれてあるフリル付きのエプロン』を着たゴロツキ2人(あのハゲたゴロツキと長髪のゴロツキ)が、忙しそうに動き回っていた。チームワークはなかなか良いみたいだ。エルクレールは頭に三角巾をして、長い髪を頭の後ろで束ねポニーテールにしていた。アーリエも同じくエプロンをして(エルクレール達と違って普通のエプロンだが)、髪をポニーテールにしているのだが、「女の子のこういう家庭的な姿って良いよなぁ」、と俺の心の中の陰茎は半勃起だ。
「……まだ中は赤いのに一旦、牛肉を皿に移したぁ!おーっと、今度はぁ!熱々の中華鍋に、マヨネーズをブチ撒けたぁあああ!!そしてその中にすでに炊いてあったお米を投入!!鍋を振って炒めるぅううううう!!!」
「(フフフ……、自家製マヨネーズを中華鍋に先入れする事で、マヨネーズから溶け出した油がお米と絡み合い、まろやかな風味に仕上がるのさ!マヨネーズを征する者は料理を征す!我が料理の師父よ!多謝!)」
以上、エルクレールの心の声。
「そしてぇ、その鍋にぃ……先程焼いた牛肉をサイコロ状にスライスしてからぁ、まぁたブチ込んだあああああああああああ!!」
レポーターが仰け反りながら叫び、白目を剥いて軽く失神していた。
「さぁて、次はチーム『ビューティ・アンド・オーク』の実況だぁ!おーっと!それはぁ…………なんの肉なんだぁあああああ!?」
レポーターがマイクをこちらに向けてきた。アーリエがそれに答える。
「これはコカトリスの肉です」
向こうでエルクレールがギョッとした顔をした。会場からもどよめきの声が起きる。
手際良くアーリエは調理を進めていく。俺達もアーリエの指示の下、一生懸命に働いた(俺は動くとミスをするので、半ば応援に徹していた)。そして、『アーリエ作、コカトリスの肉バジルソース和えレモン風味』が完成した。ついでに宿で貰った特性のタレを付けた、『コカトリスの尻尾の串焼き』も作っていた。
相手チームもあの後、ニンニクチップを中華鍋に入れ、塩、胡椒、なんかのタレなどで味付けをし、出来上がった物を皿に上げた後、その上にサフランを散らし、『エルクレール姉さんのドキッ♡愛情たっぷりコロコロ牛肉チャーハン』を完成させた。それにラズベリーソースをちょっぴり乗せた杏仁豆腐も、デザートとして加えている。