料理対決
残りの食材を市場などで購入し、宿にやって来たエルクレールの手下とルールなどについて打ち合わせをしたりして、ついに料理対決の日がやって来た。
料理対決の場として指定された市場の近くの広場はロープで囲まれており、回りには大勢の観客が集まっていた。そして、観客達の正面には料理を審査する3人の審査員が長机の後ろに並んで座っており、右からファディールちゃん、神殿で受け付けをしてくれた神官服を着た人、貴族のような服装をした俺の知らない人だった。
審査員達の前の左右、縦向きに調理台が一台ずつ設置されており、そこで俺とエルクレールのチームが別れて調理をする。審査員達から見て右の調理台が俺達、左がエルクレール達だ。側には急拵えで作った竃も1つずつある。ほとんどテレビや漫画で観た事のある料理対決の仕組みのまんまだった。
観客達の前を対決に参加しないゴロツキ達が、見物料を徴収する為に回っている。商売根性が逞しい。
エルクレール達は先に調理台の前にいて、俺達を待っていた。
「やっと来たねぇ!よく逃げなかったじゃないか!褒めてやるよ、小娘!」
「僕が逃げたりする訳ないだろ!おばさん!」
「ハァ!おばさんだってぇ!?アタイはまだ二十歳前だよ!」
二十歳前という事は18か19ぐらいになるのかな?化粧が濃いいのでわからなかったが意外と若いみたいだ。
「それじゃあ、今回の料理対決のルールについて説明するよ!調理時間は今から太陽が天辺に昇るまでの間(だいたい2時間)!その間なら料理は何品作っても構わない!正面に座っている審査員達が料理を試食して審査する!審査員達の手元には、お互いのチーム名が書かれた札が一枚ずつ置いてあって、美味しいと思った方のチームの札を1人ずつ上げてもらい、数が多い方のチームが勝利だよ!」
……エルクレールがそうルール説明をしたが、審査員達が片側のチームに有利な判定をしたりはしないんだろうか?ファディールちゃんや神官服の人を審査員に推薦したのは俺達で、どちらかと言えば俺達の方が有利な気がするが。
「審査員達には『嘘の判定はしない』と、誓ってもらってもいいかい?」
エルクレールが審査員達に対して言った。
「……わかりました。私は女神サハテに誓って、偽りのある判定をしたりはいたしません」
ファディールちゃんが言い、「右に同じく」と神官服の人が言った。貴族っぽい派手な服装をした人は、「私が料理の味に関して嘘をついたりする事などあり得ません」と自信満々に言い切った。
「よし!じゃあ、最後の確認だよ!アタイ達が料理対決に勝ったら、そこの男を貰う!アンタ達が勝ったら、アタイ達がなんでも一つだけ言うことを聞く!それでいいね?」
「それでいいぞ!」
プロヴダが返した。
まぁ、よくはないんだが。だが、今更ダメだとは言い辛い。
そして、お互いが調理台の前で事前の準備を済ませ、対決開始の時刻まで待つ。そんなに長い間待つ事もなく対決開始の時刻になった。
「それでは、料理対決を開始いたします!ヨーイッ……」
ファディールちゃんが宣言をした後、開始の合図である笛を「ビーッ!」と鳴らした。




