ラブリーボンバーズ
ハゲたゴロツキはちゃんと市場の近くの広場まで、何事もなく案内してくれた。かなり警戒していたのに意外だ。
そこにはハゲたゴロツキ以外のプロヴダにやられたゴロツキ達と、露出の多い派手な格好をした女性が待っていた。広場に人は少なかったが、それでも周りにはチラホラと寛いでいる人達の姿も見える。俺達は向かい合って立ち並んでいる。
「姐さん、連れてきやした!」
ハゲたゴロツキは自分が姐さんと呼んだ人物の側へ行った。
「あの後ろの二人は誰だい?」
「小娘の連れじゃないですかね?危険だからとか言って付いて来やした」
「……サシならボコボコにしてやろうかと思ってたけど、仲間がいるとなると厄介だねぇ……」
姐さんが呟く。
「僕は一対一で闘っても構わないぞ!」
プロヴダが叫んだ。
だがプロヴダの声がまるで聞こえていないかのように、姐さんがポカーンとした顔で何かを見詰めている。なんとなく俺と目が合っている気がする。
「た、闘うのはいいけど喧嘩はやっぱり止めておこう……。そうだ!ここは平和的に料理対決で勝負しようじゃないか!」
はぁ?なんかおかしな事を言い始めたぞ?プロヴダも『訳がわからない』といった顔をしていた。
「僕は料理なんかできないぞ!」
プロヴダが言った。……でしょうね。そんな器用そうには見えないし、どちらかといえば食べる方が得意なタイプに見える。姐さんの側にいるゴロツキ達も話の展開についていけてないのか、なんだかオロオロしているように見える。
「別にアンタが作らなくてもいい!そこの隣にいるエルフなら作れるんじゃないのかい?」
姐さんがアーリエを見て言った。アーリエは少し困ったような顔をしたが、プロヴダがアーリエを見ると、自分が料理ができる事を肯定する為、コクリと頷いた。
「アンタ達はエルフが料理するのを手伝ったらいい!アタイ達もアタイと仲間2人で料理をするよ!」
プロヴダがまたアーリエの顔を見た。アーリエは、『私なら構いませんよ』という意味で再度頷いた。
「料理対決って言うけど、ルールとか場所はどうするんだ!」
「勝負は今日から三日後のお昼前(だいたい11時頃)!場所はここで!調理の時間は2時間!メニューは制限時間以内なら何品出していも構わないって事にしようじゃないか!」
「食材はどうするんですか?」
アーリエが尋ねた。
「自分達で使う食材は、自分達で用意する!掛かった費用は、後でアタイが補填してやるよ!細かいルールや料理を審査する人物は、また宿に遣いを出すからそこで詰めようじゃないか!」
自分が言い出しっぺなので、多少は譲歩してくれているみたいだ。
「……そして、アタイ達が勝負に勝ったら賞品として、そこの男を頂くよ!」
俺を指差して宣言した。俺達3人は顔を見合わせる。意味がわからないのだが?しかし、これは俺の能力のせいかもしれない。ほとんど関係ないはずの俺が、賞品に指定されてしまうとは……。
「それで構わないぞ!」
プロヴダがすぐ様、姐さんの申し入れを受け入れた。『オイッ!お前が決める事じゃないだろ!』と俺は心の中でツッコんだが、話は俺の内情を無視してどんどんと進んでいく。俺達が勝利した時には、『姐さん達が一つだけなんでも言うことを聞く』という事になった。
「そういえば自己紹介がまだだったね!アタイは『紅孔雀』のエルクレール。この『ラブリーボンバーズ』の頭さ!」
ラブリーボンバーズ……。クソダサいチーム名を恥ずかし気もなく堂々と言った。
しかし、二つ名の通りエルクレールは、燃えるような赤い髪をしていた。ウェーブのかかった長い髪を後ろに流し、キリッとした顔立ちをしている(普通に美人だ)。濃い化粧をしているので年齢がわかりづらいが、たわわに実った胸の谷間を惜しげもなく露出し、かなり際どい所までスリットの入ったチャイナドレスような物を着ている。教育上あまりよろしい人物ではない。




