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真実を映す鏡

 ファディールちゃんがそう叫ぶと、鏡の表面が激しく揺らいでいた。


 ……だが、それだけで他にはなにも起こらなかった。

「あれ?おかしいな?」

 ファディールちゃんがなにやらオロオロとし始める。仕舞いには鏡の横を平手でバンバンと叩きだした。

 そんな古いブラウン管のテレビの映りを直すような方法で大丈夫なんだろうか?ファディールちゃんは機械とか苦手なタイプと見た。

 それでも鏡には特に変化がない。ファディールちゃんも次第に焦りだしてきている。あれだけ仰々しい態度で台詞を叫んだのに、なにも起こらなかったら流石にちょっと恥ずかしいだろう。

 結局、原因がわからなかったようで、さっきの儀式をもう一度やり直す事になった。少し白けた空気になってしまったが、儀式はちゃんと真面目に行う。例の行為を再度繰り返し、また最後にファディールちゃんが、あの決め台詞を大声で叫んだ。

 だが、やはり鏡には何も映らないようだった……。

 なんだか気不味い雰囲気になり、ファディールちゃんもちょっと泣きそうになっている。最初に感じていたあの神秘的な印象は、見事なまでに崩れ去っていた。

「ぎょ、業者の方に一度、診てもらうしかないですね……。修理ができたらまたお呼びしますので、それまで待っていてもらっても構いませんか?」

 業者が診て修理できるような物なんだ。この世界の常識はよくわからない。


 という訳で、特になにも得ることもなく引き返す事になった。修理が済めば宿まで遣いを出して知らせてくれるらしい。

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