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中華大作戦③

 スメラギ神国から帰ってきてから、ワタナベさんは、王都に家を貰って住んでいた。

 家は王様から、スメラギ神国での活躍の褒美として与えられた。スメラギ神国で、将軍家や皇家から貰った褒美の分け前をワタナベさんは、王都でも手先の器用な職人に頼み、活版印刷機を製作させ、自分で書いた記事を載せた新聞をそれで刷り、街中で配っていた(まだページ数も少なく、7日に一度ぐらいしか配布できなかったが)。

 すでに似たような物を街中で配っている者はいたのだが、ワタナベさんの配っている物は、記事の内容が詳細で、真実味も高かった(他の物は怪しい伝聞や、商店の広告のような内容を書いた物が多かった)。

 しばらく経つと、ワタナベさんは従業員を3人雇い、2人が街中を取材して回り、その記事を書き、ワタナベさんがその記事をチェックしてオーケーを出すという形になっていった(もう一人は事務仕事をしていた。ワタナベさんは、会社の代表としての仕事に専念している)。

 街中で新聞を配る回数こそ他の業者よりは少ないが、配るとすぐに売り切れになってしまうぐらい、王都では人気になっている(新聞を街中で配るのは、アルバイトとして雇った売り子の仕事だった)。


 さっき玄関に顔出した女性は、ワタナベさんの奥さんだ。お腹にはすでにワタナベさんとの子供がいるらしい。奥さんは()()()()()で、ワタナベさんが俺に語ってくれた所によると、ある日の夜、ワタナベさんの家に突然彼女が現れたのだが、ワタナベさんの性豪っぷりに惚れた彼女は、ワタナベさんに求愛してきたという話だった(数ヶ月前からサキュバスが、王都に頻繁に現れるようになったらしい。たぶん()()()が復活してしまったせいかもしれない)。


 俺がワタナベさんの元を訪れたのは、サクラコの依頼の件で、俺が『戦士の国』に行く事になった事を報告する為だ。危険な道中を共に旅した仲間として、報告をせずに数ヶ月間も王都を留守にする訳にはいかない。

 ワタナベさんが、カルダモンまで付いてきてくれて、能力で助けてもらえると有難いのだが、事業を始めたばかりで忙しく、身重の妻がいるような人に助力を乞うのは、流石に気が引ける。


 そんな訳で、ワタナベさんには今回の事を報告だけして、家に帰ってきた。ワタナベさんは、自分が旅に付いて行けない事を申し訳なさそうにしていたので、何故か俺が(なだ)める形になった。

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