夜の訪問者⑤
なんか説明がフワッとしていた気がしたんだが、どうなんだろう?
「……どうしますか?正直、あんまり良い話ではないと思いますが?」
アーリエが言った。そりゃ、そうだろうな。
「まぁ、お主らがそう言うだろうというのは、わかっておった。しかし、本当にそれでよいのか?『聖杯』は使い方次第ではかなり危険な物で、『カルダモン』の連中がそれを使って、何かをしようと企んでおるという話も聞いておる。現在の勇者であるお主が、それ放置しておいてもよいのかのぉ?」
俺は別に構わないんだけど、勇者の評判としてはどうなるんだろうか?
「ですが、それでも勇者様がなんとかしなければ、ならない問題でもないと思うんですが……。そもそも、そんな危険な物をアナタに渡していいのかという疑問もあります」
「……実はすでに、この国の王から内諾は得ておる。これがその書状じゃ」
彼女は懐から、クルクルと巻かれた1枚の封書を取り出した。アーリエがそれを受け取って、内容を確認する。
「……確かにこれは、王様からのちゃんとした許可証のようですが」
なんと!また勝手に王様は俺の知らない所で話を付けているのか。別に俺に確認を取らなくても、王様が勝手に許可を出すだけなら問題はないのかもしれないが、正直困る。
「ワシはこの国の王族に、少し貸しがあってな。それに、もしお主らが首尾良く『聖杯』を手に入れた場合、それをちゃんとワシに渡すかはどうかは、お主らで改めて考えてもいいのではないか?」
「まぁ、そうですが。『聖杯』を持って帰ってくる為の計画なんかも、自分達で考えなければいけないんでしょうか?それに掛かる費用などについては?」
「掛かる費用については必要な分を、その都度支給するつもりじゃ。すでに『カルダモン』には、ワシの部下が入っておってな。そやつらと打ち合わをして、細かい計画は練って欲しい。『カルダモン』の連中は、『聖杯』の存在をまったく隠してはいなくて、伝説の秘宝である『聖杯』をお披露目するとの名目で、他の地域からいろいろな種族を集めて、祭りをしようとしている最中らしい。その準備で『カルダモン』の連中が忙しくしている間なら、『聖杯』を得る機会もあるやもしれん。その祭りが行われるのが、およそ三月程先の事じゃ」




