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夜の訪問者②
俺の首に刃を当てている人物が、
「動くな」
と、低い声で言った。
俺に言った訳ではなく、どうやらプロヴダに言ったらしい。
プロヴダですら、俺が首に刃を当てられるまで、何のアクションも起こす事ができずにいたのだが、俺よりも早く状況を理解したプロヴダは、なんらかの行動を起こそうとしたらしい。それを相手に制止された訳だった。
俺の首に当てられている物は、どうやら反り返った黒い刀身を持つ、所謂『刀』の様に見える。俺は驚愕するよりも、ただただ呆然自失となり、その場に不気味な沈黙が流れていた。
「──ふ~む、この程度か……。ガッカリじゃのぉ」
沈黙を破ったのは、俺に刀身を当てている相手だった。俺の首からスッと刃物を引くと、フワリと床に降り立った。物凄い速いスピードで動いていた割には、テーブルの上の物は何一つ崩れた様子がない。
「スマン、悪意があってやった訳ではない。少々、腕試しをさせてもらっただけじゃ」
そう言うと相手は、深々と被っているフードを脱いだ。
驚いたのはそこから出てきたのが顔が、少女の物だった事だ。




