花のような
彼の殊勝な態度を見ていると、なんだか責めるのも躊躇われてきた。話を聞くかぎりでは、悪気があってした事ではないように見える。ここは無難に話を治めるのが、一番良いのではないだろうか?正直めんどくさいし、早く風俗のお店にも行きたい。
「悪気があってやったという事ではないみたいですし、ここはこのまま市街地から出ていってもらうという事で、いいんじゃないでしょうかね……?」
回りの人達にそう提案してみたのだが、男性達からは特に不満の声は出なかった。だが女性達からは轟々たる非難の声が湧き起こった。
「女の敵を許すな」だとか、「奴のせいで自分のイメージがおかしくなった」だとか、そんな事を言って騒いでいる。
非難されている殊勝な態度だった彼は、そう女性達から言われても、ただ静かにしている。俺はなんだかイライラしてきていた。ただ通りすがっただけなのに、よくわからない騒動に巻き込まれて、その仲裁を任されたのに、俺の意見に全然従おうとしない。
「皆さん、いいですかぁ?彼はただ、この通りを歩いていただけに過ぎないんですよ!彼はただそこに咲いていただけの、花のような物に過ぎません!花に罪はあるのでしょうか!」
自分でもよくわからない論理で、そう訴えかけた。
「道に花が咲いてて邪魔だったら、どこかに避けるけどね」
誰かがそう言った。




