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ロバート・モリソン

 ロバート・モリソン、40歳。彼はこの店、『きまぐれキャッツ』のオーナーである。

 彼は王都から東南方向にある農村の出身で、実家は酪農を営んでいた。彼には兄弟姉妹が多く8人もいる。その中でも彼は上から5番目の子供だった。

 実家の暮らしは決して裕福とは言えず、彼が物心付いた頃から、毎日家の手伝いをして過ごしていた(村の他の住人も彼の家族と似たような生活をしていたが)。

 そんな暮らしの中で彼は、ある夢を抱いていた。それは、『いつしか自分も王都に出て商売を始め、たくさんのお金を稼いで裕福な暮らしをしてみたい』という物だった。

 その為に村に行商しに来た商人から、使い古るされてボロボロになった読み書きの本を貰い、仕事の合間にそれを勉強していた。

 年頃にまで成長した彼は、両親に自分の夢について語った。だが、兄弟の中にはすでに王都の商家や工房へ奉公に出ている者が何人かいた為、実家の労働力の低下を理由に反対されてしまった。

 夢を諦め切れない彼は、家出をするような形で村を飛び出してしまう。路銀も持ち合わせてはいなかったので、乞食のような真似をしながら王都までの道程を辿った。

 王都に着くと、すでに商家に奉公に出ていた兄を頼った。兄のツテでなんとか他の商家に雇ってもらう事が出来た彼は、そこで必死になって仕事を覚える事に精を出した。

 それから、十数年の月日が経った。すでに彼はその商家の仕事のほとんどを仕切る事が出来ていた。しかし、いつまでもここで働いたとしても、大した賃金は得られないと思った彼は、独立をして店を構える事を決めた。

 彼の勤めている商家は、小麦粉の卸売業を営んでいるのだが、その商売は流通販路も決まっており、小麦粉も農家からの買い取りが主で、売り上げを上げ続けるには限界があった(他の流通販路を乗っ取るか、農家に小麦の生産を上げさせるしかないが、王都の商家は持ちつ持たれつでやっているので、それを乱す者は淘汰(とうた)される)。ただ生活をしていく為だけなら、それだけでも不足はないが、彼が望むような裕福な暮らしをする為には、とてもではないが足りそうにない。

 考えた末に彼は違う商売を始める事に決めた。それは()()()()()()だった。風俗店なら商売のやり方一つで、大きな利益を期待できると考えたからだ。

 その彼の野望の第一歩がこの店、『きまぐれキャッツ』だった。

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