再び王都②
その人間に案内された店というのは、すぐ側にあった。
店の玄関の扉を潜ると、所々に灯りはあるのだが薄暗く、怪し気な雰囲気が漂っていた。
あまり広くもない店内は、L字に曲がったソファーが四つ、四方に向かい合うように置かれてあり、ソファーに座った客が、他のソファーの客を見えないように間仕切りとして、低めの長方形の台の上に植物を植えた鉢を乗せ、視界を遮っていた。間仕切りと間仕切りの間は開いており、そこを客達や従業員が通るようになっている。ソファーの前には、膝よりも少し高いぐらいのテーブルが置いてあり、その上にはキャンドルが灯されてあった。
私こそ魔王は、例の前歯がない人間に引き継ぎされた、人間の男性に案内され(こちらの人間はまだ若く、態度もしっかりした普通の人間に見えた)、一番手前の入り口に近いソファーの真ん中辺りに座らされた。
しばらく待っていると、嬌声を上げながら人間の女性が3人現れた。年の頃はわからないが、みんな素肌の見える割合が多い派手な服を着ている。
「ワ~ッ!お待たせ~!」
女達は耳障りな声を上げながら、私が座っているソファーに腰かけてきた。何故か距離が近い。
「お飲み物は何にしますか~?」
「キャ~!アタシ、フルーツ頼みた~い!」
いきなり現れては煩く騒ぎ立てる。私は思わぬ出来事にドキマギしながら、ただただ俯向いているだけだった。
「お客さんって、何してる人なんですか~?」
「お客さんの顔、全然見えな~い!フード脱いで顔見せてよ~!」
私はついに耐えきれなくなり、席を立ち上がろうとした。
「お客さんって、無口なんだね~!……ん?あれ?なんか変な感じがする……」
「え~!どうしたのよ、も~!まだお酒も頼んでないのに~!って、あれ?私もなんか気分が……」
女達が妙にソワソワとし始めた。




