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再び王都

 彼もはまた、かつては『魔王』と呼ばれていた者だった――

 100年前、確かに彼はその森の支配者だった。

 彼は100年間生きると、100年間眠りに入るとというサイクルを繰り返し、実に500年もの間生を永らえてきたのだった……。


 あれから彼は、王都にやって来ていた。

 例のフード付きのマントを(まと)い、顔はフードを深く被り、なるべく見えないようにしている。念の為に口元には布まで巻いていた。

 彼は昔、一度だけ王都を訪れた事があった。あの頃は他の魔王がブイブイいわせており、勇者なんかもバリバリに存在していた。

 彼はそんな事には、あまり興味がなかったので無視をしていたのだが、あの頃に王都の城下町で、()()()()()()()()()がある。苦い経験であり、消し去りたい過去の一つなのだが、それでも()()()()を知る為の貴重な記憶だった。


 町中も大きくは変わっていない様に、彼には見えた。

 しかし、妙な看板や広告がよく目に付く。勇者一行の活躍がどうとか書れている物達だ。勇者人形や勇者饅頭などの、よくわからない商品までもが店先で売られていた。

 この『勇者』をモチーフとした商品のキャラクターの顔の造作が、どう見ても崩れているようにしか見えないのだが、これでちゃんと商品が売れているのか疑問だ。その事を店の主人に尋ねてみると、「この不細工な顔がいいのさ!」と言われた。

 相変わらず、人間の趣味はよくわからない。


 市街地を一通り観て回っていたのだが、歩いていると妙な一角に迷い込んでいる事に気が付いた。

 人通りが少なく、他の区域とは違った雰囲気が漂っている。他の区域では見ない派手な装飾の看板があちらこちらに飾られており、人間の女性の裸を描いているような物まであった。昔、王都に訪れた時の記憶を辿ってみても、こんな通りは見覚えがない。

 珍し気に辺りをキョロキョロとしていると、

「ちょっと、そこのお兄さん!もう、お店に通いに来っちゃったの?アンタも相当なスケベだねぇ」

 誰かに声をかけられた。

 その誰かは、前歯が何本かなく、間の抜けた顔をした年配の人間の男性だった。何故か上着として、派手なピンク色の羽織を纏っている。

「まだ開店の時間じゃないけどさ。もうすぐお店が開く時間だから、特別に早めに中に入れてあげるよ!ちょっとだけお触りありの、二時間で3銀貨ポッキリ!どう?お得だよ!」

 どうやら、どこかに誘っているみたいだ。人間に誘われるなど初めての事だったので、かなり戸惑っていたのだが、ここまで積極的に誘ってくる事柄に興味も沸いてきていたので、人間達の常識を知る為の経験として、誘いに乗ってみる事にした。

「ハイッ、決まり!ウチは良い娘が揃ってるからね!お一人様、ご案ナーイ!!」

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