皇宮物語
ひたすら都を目指して、西へと向かい歩き続けている。獣子と出会ったあの山にも来ていたが、彼女は自分の家には帰らず、そのまま俺達に付いてきている。獣子も俺達と別れるのが寂しいんだろうか?そんな風にはまったく見えなかったが。
都に辿り着いた。途中、妖し達に襲われる事がなくなっていたので、行きよりかはだいぶ楽に帰り着く事ができている。都でも魔王が倒れた事は流石に知れ渡っている様だが、町の様子は落ち着いていた。俺達が帰ってきても、誰も騒ごうとはしない。やはり俺達が魔王を倒したという事は、都でも知られてはいないのだろうか?
都に入ると、そのまままっすぐ皇宮まで行った。建物内の例の待ち合い室で、また待たされる事になった。今回はあまり時間をかける事もなく、あの広い板間に通された。前と同じように、俺達が控えている正面の段の上手から、皇ノ命がお付きの少女を従えて、しずしずと現れた。段の左右には、ナムチさんとニニギも座っている。
皇ノ命は前回とは違い、微笑みながら懇ろに俺達の働きを賞賛してくれた。それから二二ギが魔王を倒した後、将軍と対面した時と同じように、俺達に授ける為の褒美の目録を読み始めた。砂金一貫と絹百反。この国の伝統工芸品である漆器類などがその褒美の内容だった。
謁見が終わると、何故か皇宮に泊まるように勧められた。前回は用事が済んだ後、皇宮を下がって町の宿に泊まっていたのだが、今回は何故かそう勧められた。特に断る理由もないので、その勧めに従う。俺だけがみんなと離され、どこかの個室に案内された。もう昼を過ぎていたので、とりあえず風呂に入るようにと促される。風呂では薄い肌着しか纏っていない女性が、身体の隅々まで丁寧に洗ってくれた。白い肌着は濡れてスケスケになるので、かなり際どい格好になっている。その様子を見て俺の『息子』も元気になっていたが、相手の女性はそれを見ても何食わぬ顔をしていた。
風呂に入り終わると白い小袖を着せられ、部屋へと戻った。しばらくすると、膳の上に載せられた食事が運ばれてきた。さっき身体を洗ってくれた女の人が、お付きで飯の世話をしてくれている。食事中その人に、「俺の連れは、どこの部屋にいるんですか?」と聞いてみたが、「さぁ……」と返された。食事が終わると、すぐに布団が敷かれ、特にする事もないので、枕元に置いてある行灯の火を消し、床に着いた。
夜中……。ぐっすり寝ていると、誰かが部屋の中に忍び込できた。俺はその事にまったく気が付いていなかったが、その誰かはそっと俺の布団に入ってくる。流石に気付き目を覚ましたので、「誰……?」と寝惚けた声で呟いた。
その正体はなんと……。




