表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/60

第7話 盗賊退治で外貨を稼ごう

「と、言うわけで君たちには盗賊退治を行ってもらう」


全体会議を終え、今度は外貨獲得のためのプロジェクトに抜擢する連中のみを呼び出して打ち合わせすることにした。


「いや、何がというわけでなのかさっぱりなのですが・・・」


イケメン剣士キース君は困惑した表情を浮かべる。


「何、実にシンプルな戦略なのだよ。外貨を稼ぐには仕事をすればいいのだ。

手っ取り早く稼ぐには冒険者稼業と盗賊退治なのだよ」


「はあ・・・、なんとなくわかるのですが・・・なぜ私たちに?」


「それも至ってシンプル。君たちがちょっと化ければ人間と見分けがつかないからだよ」


「そんなにうまくいきますかね?」


不安がるキース。大丈夫だよ。君は翼さえ出さなければ普通にイケメン剣士だ。


「シンプル、イズ、ザ、ベスト! 成果を上げれば向こうだって喜ぶからあまり突っ込んでは来ないだろうよ」


「そんなものでしょうか・・・?」

それでもまだ不安げなキース君。案ずるより産むが易しだよ。


「ラインハルト公国にはフルプレートに騎士仮面を装備した全身甲冑の格好で1グループあたり7~8名を選定、まずは3グループ程度でチャレンジしてもらおう。設定としては国に仕える騎士として辺境の村々を回っているが、国のやり方では辺境まで騎士を派遣できないため、休みを取って自発的に辺境のために活動しているという流れだ。自発的な活動のため、国から給料が出ないので冒険者や賞金稼ぎと同じく報酬を支払ってもらいたいと持ち掛けて盗賊や危険な魔獣を狩るのだ」


「なるほど、国の騎士だけど、休みの日に村のために働くから素材を買い取ってね・・・ということですか」


「まあそうだ。冒険者ギルドにギルド員として登録できれば、素材以外に依頼達成の報奨金も受け取れるかもしれないが・・・、まあ騎士グループでの活動は素材買取の方をメインとする。後盗賊の根城を殲滅する際には盗賊の貯め込んだお宝を根こそぎ奪ってくるように」


「了解です・・・なんだか火事場ドロボーな作業もありそうですね」


苦笑するキース君。気にすることはない。悪人に人権はなく、奪われて貯め込まれたお宝に悪意も無い。


「ウォルフガング王国では比較的亜人への偏見も少ない。そこでダークエルフを中心に亜人に扮することが出来る種族5~6名を数班に分けて冒険者ギルドで登録、冒険者活動をしてもらう。主な仕事は倒した魔獣の換金だ。特にどれくらいのレベルの魔獣がいくらになるのかよく調査したうえで、北の大地の奥の幻獣の森にいる魔物を狩って持っていく。レベルに差がありすぎると問題になるからよく調査することから始めてくれ」


「ははは、はいっ!がんばります!」


緊張しているのか、カミカミ気味の狸人族(りじんぞく)の少女リコ。


「まずは調査からだ。慌てることはない」


「はいなのです!」


「特に調査後は実際の冒険者として、地元でトラブルになっている魔物対策に協力、顔を売って出来る限り信用を得てから魔国内北の幻獣の森にいる魔物を退治、換金していく。だから地道な作業だ。急がなくていいからな。繰り返すがまずは調査、地元の魔物退治で信用を得ることから始めよ」


「ははっ!」


美人なダークエルフ達が声を揃える。


「ウォルフガング王国では手始めに魔国領に近い5つの村から始めるが、まず冒険者ギルドのある街で登録を済ませてから村へ移動する。ギルドで登録しないと身分証が手に入らないからな」


「身分証ですか?」


超美人のダークエルフ、エルファが尋ねてくる。

このエルファ、ダークエルフのグループの中ではナンバーワンの実力の持ち主らしい。且つ最も美しいと言う。彼女の事を才色兼備と言うんだろうね。完璧なり。



「私も実際に見ていないが、冒険者ギルドに登録すると必ず発行されるはずだ。名前や職業、冒険者としてのランクなどの表記が必要だからな。逆にこれがあれば町や村へ移動した際にギルドカードを見せるだけで身分が保証される」


「なるほど。こちらが魔国領の手の者とバレないで済むのですね」


「うむ、登録した際にどこから来たのか、出身地を聞かれるはずだ。言いたくない場合言わなくてもよいと言われるかもしれないが、できれば魔国領近くの辺境の村あたりを指定するか、ダークエルフなら魔国領近くの森で納得してもらえるかもしれん」


「わかりました」


エルファが頷く。この子マジでかわいいなぁ。


「ラインハルト公国へ向かう騎士団の方は、冒険者ギルドでのギルドカード発行が認められない可能性もある。その場合はカード無しでもかまわんから、ギルドの依頼書をみて魔物を狩り、ギルドに売れ。ギルド会員でないと買い取れないと言われた場合は町の肉屋にでも直接卸しに行けばよいが、できれば半値になってでもギルドで買い取ってもらうように交渉せよ」


「え? 半値になってもギルドで売る方がいいんですか?」


キースが理解できないといった感じで聞いてくる。


「そうだ。外貨を稼ぐという意味では効率が落ちるが、建前上騎士団の休暇中の対応であり、国家、言い換えれば町や村に住む国民のために奉仕することを前提に騎士団の枠を外れて冒険者稼業をする形になっている。金で揉めるのは建前上良くないし、できればギルドから信用を得たい。信用を得たうえで騎士団の腕前が本物だと分かればより上位の依頼をしたくなってくるだろう。それは必然的に効率の良い外貨獲得につながる」


「なるほど・・・、信用出来て腕も良い人物、たとえ半値でもOKと気風の良いところも見せれば、より報酬の高い依頼もしやすくなってくるというわけですね」


「そういうことだ」


「わかりました。しっかり稼いで来ますよ」

グッとサムズアップして準備に取り掛かるため移動しようとするイケメン、キース。腹立つほど絵になるねぇ。


「一つ忠告する。ウォルフガング王国の冒険者登録と違ってお前たちはラインハルト公国の騎士団を詐称することになる」


「・・・そうですね」


「その場合、一番の問題は実際の騎士団と直接遭遇することだ」


「あ、それは確かにまずいですね」


「実際、用意する鎧や剣はラインハルト公国の物に似せて製作準備するが、そのものそっくりの紋章は使わない。僅かに違いを持たせ、最悪は「騎士団にあこがれてたんですぅ」などと言い訳して騎士団のファンでしたという設定にするつもりだ」


魔王様の「ですぅ」に膝をガクッと折りそうになる


「だいぶカッコ悪いですね・・・」


「ただギルドは何だ、で済むかもしれんが、公国側はそれだけでは済まない可能性が高い。下手をすれは即刻死罪で切り捨てられかねん」


「そりゃヤバくないですか?」


「だから騎士団と直接接触することの無い様、辺境の町や村を回るのだ。本物の騎士団がわざわざ辺境の町や村まで行くことは早々ないだろう。辺境ならばそこで活躍しても公都まで噂が広まりにくいという打算もある」


「なるほど、わかりました。それでは早速部下の選定を行い、派遣するグループを準備します」


「うむ、すでにラインハルト公国の騎士団に似せた剣と鎧、兜を準備している。派遣する人員が確定出来たらそれを受け取って出発させてくれ」


「了解しました。必ずいい結果を出して見せますよ」


「期待しているぞ、キース」


「はっ!」


敬礼して準備のために退出していくキース君。去り行く姿もイケメンだね。

狸人族(りじんぞく)のリコ、ダークエルフのエルファにはいくつかの指示事項、予測される内容などを伝えて行く。そして彼女たちも準備に取り掛かるため退出していく。

さてさて、うまくいくといいのだが。


他にも投稿しています。


転生したらまさかのスライムだった!その上ノーチートって神様ヒドくない!?

https://ncode.syosetu.com/n2026ew/


ドラゴンリバース 竜・王・転・生

https://ncode.syosetu.com/n1684ew/


よろしければぜひご一読頂けましたら幸いです。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ