第45話 魔国留学スタート!
皆さま明けましておめでとうございます!
まおテンの年明け更新が遅れまして誠に恐縮です。
今年も皆様にご健勝とご多幸があります様お祈りするとともに、稚拙な作品ではございますが、皆様の生活の片隅に一服の清涼剤として楽しんで頂ければと思います。
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シルヴァーナ・ガルム・ソルテアは勉強していた。
勉強・・・と言っても魔国の歴史である。
魔国シャングリ・ラの歴史はスタートしてまだわずかであるのだが、魔族の歴史は非常に長い。人族、亜人と呼ばれる種族、そして魔族との歴史を魔族側からの視点で勉強しているのだ。
教師役のソーニャが説明する。
「というわけで、現在魔族は北の大地と呼ばれるこの不毛な地域へ押しやられてしまっているんですね」
人間族との戦争の歴史から、魔族が追いやられて来た流れを説明したのである。
なぜ、メイドのソーニャがシルヴァーナ姫の教育係をしているかと言えば、元々学者になりたかったソーニャが知識や教育に対して適任だと魔王新太が指名したからである。
「魔族の方々は人間を滅ぼす、などと言う事を考えていないのですね・・・」
シルヴァーナ姫は思わず感心していた。
先に魔国の現状をざっと学んでいた。
食糧難からジャガーイモを集中的に生産して国民に平等に配布している事。
魔獣の討伐隊が結成され、定期的に間引きされ国内に被害が出ない様にしている事。
国防のための兵士訓練を行っている事。それも人間国を攻める事を想定せず、防衛に専念するための防衛専門の兵士を鍛え上げている事。
外貨獲得のための貿易準備など、魔国が人間国と対等且つ平和に付き合って行けるための下準備を着々と進めているという事が理解できたのである。
そして、最後にあの「絵本」を読ませる。
そう、『異世界魔王様奮戦記 その①』である。
「グスッ・・・グスッ・・・」
シルヴァーナ姫は泣いていた。魔王新太の現状と絵本を重ねてしまったからだが、何より人間たちと仲良くしたい、という平和への強烈な渇望を絵本から感じとったのであった。
すっとソーニャがハンカチを渡す。
「あ・・・すみません」
そう言ってシルヴァーナ姫は目頭をハンカチで抑えた。
「お優しいのですね」
ソーニャが微笑みを浮かべて声を掛ける。
「え・・・そんなことないです。新太様にこんな秘密があったなんて・・・存じ上げませんでした」
絵本の中身を全力で信じているシルヴァーナ姫。
「まあ、あくまで絵本ですから」
ソーニャが苦笑する。ソーニャは魔王新太が製作したという絵本を見ているが、うまく人間の同情を引くような内容になっていると感心していた。この話が本当だなどと全くもって信じていない。
「それにしても、魔国シャングリ・ラは非常に活気のある国なのですね」
魔王城の一室。窓に視線を向けてその外の王空を見つめる。
まだ城下町に降りたことは無いが、魔国に来てから王城内をウロウロしているだけでも、城の中にいる大勢の人々と会うことができた。笑顔で掃除しているメイドさんたち。凛々しい顔で会議に向かう将軍クラスの武官たち。王城の窓から見える、鍛えあげられている兵士たち。
「すべては魔王新太様のお導きですかね」
ソーニャの笑顔を見ると、魔王新太への全幅の信頼を感じられた。
「いいなぁ・・・」
ぼそりと呟いてしまうシルヴァーナ姫。
「シルヴァーナ姫、元気かい?」
「ひゃっ! あ、新太様・・・」
部屋に入って来たのは魔王新太。その後ろのは秘書の様にドロステラが付いて来た。
「一区切りついたら、城下町を案内したいんだけど、どうかな?」
「ぜひ、お願いします!」
新太の誘いに、全力の笑顔で返事をするシルヴァーナ姫だった。
「わあ、これなんですか?」
屋台通りを歩きながら町の説明をしていた新太。
見るもの全てが目新しいのかキョロキョロと周りを見渡すシルヴァーナ姫。
ふと目に留まったのは揚げたジャガーイモの香りが香ばしいフライドポテトの屋台であった。
「ジャガーイモを油で揚げたホクホクする食べ物さ。最高に美味しいよ」
そうして屋台の親父にフライドポテトを2つ頼み、一つをシルヴァーナ姫の手に持たせる。
「ソルテア国産の岩塩をかけたフライドポテトだよ。新鮮な揚げたてのジャガーイモにソルテア国産の岩塩を振りかけて味を付けた物さ。すっごくおいしいよ」
新太の力の入った説明にドキドキしながら熱々ポテトを口に含む。
「ホフッ!ホフッ!」
口の中に噛んだ熱々のジャガーイモが広がる。
ソルテア国産の岩塩がアクセントになり、舌をキュッと刺激する。
「お、おいしいです! ホクホクでやめられないですね!」
「それは良かった」
新太が笑顔を向けると、より一層笑顔の輝きが増すシルヴァーナ姫。
その後ろでポテトをリスの様に一本ずつチマチマと齧っているドロステラが若干面白くないような顔をして二人を見守っていた。
「お、魔王様今日も美女とデートかい? 羨ましいね~、どうだい? 最近回って来たマンティコアの肉で出来たハンバーグをパンに挟んだマンティコアサンドだよ! 珍しいだろ~、どうだいひとつ?」
見ればなかなかボリューミーなハンバーグだ。マンティコアの肉は北の魔獣の森で魔物狩りを行い魔獣倉庫に保管してあったものを順次市井にも出している。
その中でも『ハンバーグ』を教えて広めてみた。
肉はステーキの様に焼くだけ、という料理法しかなかったので、肉を細かく切ってひき肉の様にして固めて焼く『ハンバーグ』を試したのだ。このハンバーグ、焼いただけの肉よりも柔らかく食べやすいとなかなかの人気だ。特にイカツイ顎を持っている獅子王ダルカスのような連中にもパンとよく混ざって美味いという評価だが、何より口が小さく、噛み切る力の弱い種族にはすごく好評だった。
今もハーピィ族の3人娘がマンティコアサンドを買って食べていた。
「おいしー!」
「柔らかくて食べやすいね!」
「野菜ばっかりだったけど、これならお肉も食べられるね!」
ニコニコと笑顔で喋りながらハーピィ3人娘がマンティコアサンドを頬張っている。
「新太様、お料理まで研究していらっしゃるのですね・・・」
シルヴァーナ姫が新太を感心したように見つめる。
「みんなの笑顔が見たいからね」
やたらとクサイセリフを吐きながら歯をキラリンと光らせる魔王新太。
「す、素敵ですわ・・・」
顔を真っ赤にしながら受け取ったマンティコアサンドを頬張るシルヴァーナ姫。
「わっ・・・おいしい・・・」
ハンバーグと呼ばれたお肉の塊はすごく柔らかく、その肉を噛めばホロホロと口の中で解ける。
そして口の中に広がる肉汁。
それが一緒に齧ったパンと相まってハーモニーを広げていく。
食事をすることの幸せ。改めて当たり前の幸せをかみしめるシルヴァーナ姫。
思えば、魔国へ留学を進められた時、自分は人質として魔国へ捕らわれに行くのだと、自分の幸せは考えない、全ては自国ソルテア国のためにと覚悟を決めて魔国シャングリ・ラへやって来たシルヴァーナ姫。だが、そんな覚悟は完全に杞憂であった。シルヴァーナは今、全力で幸せを感じていた。
「うふっ・・・幸せ・・・」
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