第36話 会議前の喧騒
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「・・・でよぉ、その女がおっぱい大きいんだよ!」
「ほう、それはなかなか興味深い」
「少し国の食糧事情が落ち着いて来たのか、おつまみも出る様になってなぁ」
「酒ばかりでは飽いてしまうか」
「まあ、おりゃあおっぱいがあればいいんだけどよぉ」
「ガッハッハ」
廊下を馬鹿話をしながら会議室に向かって歩いているのは魔国十二将軍序列十位のオーガキング・クーガーと魔国十二将軍序列十二位の獅子王ダルカスである。
「今度一緒に飲みに行こうじゃねーの」
「それもよいな」
ノックもせずにガチャリと会議室の大扉を開け放つ。
無防備に扉を開けたのは、序列が低い将軍程早く会議室に集まると言う不文律があったからだった。
「「!!」」
誰もいないと思われた会議室。
だが、信じられないことに円卓の中央に魔王様がすでに座っていたのだ!
「ま、ま、魔王様・・・」
「なんだ?どうした。来たのなら早く席に着くがいい」
真っ黒なシルエットのまま腕を組んで威圧感がハンパない魔王様。
よく見れば序列五位のドロステラまで着席済みだ。
「あ、あ・・・すみませんアニキ」
「申し訳ない」
慌てて席に座るクーガーとダルカス。
序列十一位のアトラスは体が大きくて会議室に入れないため、席が無い。
そのためクーガーとダルカスは隣同士の席となっている。
「(おい、なぜ魔王様が一番乗りで来ているんだ!)」
「(知るか!しかもここ一ヶ月くらい会議に出ていなかったのに何で急に今日に限って!)」
コソコソと話すクーガーとダルカスをドロステラが睨みを効かす。
ビクッ!として縮こまる二人。
そして序列六位のラミア族・ルーラ、序列七位のアークエンジェル、セーラ・ガルウイング、序列八位のメデューサ、イザベル・ド・メディチが立て続けに会議室に入ってくる。
一様に魔王様がデーンと座っているのを見て、ビクッ!と身を竦ませるとコホンと咳払いをして自らの席について行く。
「(ちょっと!一体今までどこに行ってたのよ!)」
序列六位のルーラが隣のドロステラに囁く。
「(それはもちろん人間国の調査と外貨獲得の作戦実行ですわ)」
「(何でアンタが魔王様と二人っきりで消えてんのよ!)」
「(それは魔王様のサポートに就いたからですわ)」
「(それを世の中では抜け駆けっていうのよ!)」
ルーラとドロステラが剣呑な雰囲気でコソコソ話をしているのをその隣に座っていた序列七位のセーラがチラッと見ていた。
「時に魔王様」
会議前の時間にセーラが魔王に問いかけた。
「何か?」
「先日ご用命頂きました歌い手の件ですが、推薦した者はいかがでしたでしょうか?」
「おおっ!セーラよ、素晴らしい推挙であった!」
「はっ!ありがたき幸せ」
恭しく頭を下げるセーラ。
これには両隣のルーラとイザベルが黙っていない。
「(セーラ!アンタも抜け駆けかい!)」
「(セーラよ、これはどういう事だ?説明を求めるぞ?)」
「(抜け駆けも何も、魔王様直々のご指示でしたから)」
しれっとすまし顔で説明するセーラに苛立つルーラとイザベル。
「セーラのおかげで大成功だ。見てみるか、このイラスト」
そう言って魔王様は席を立つとセーラの座る椅子の横までわざわざ歩いて来て、懐からイラストを見せる。
もちろんアークエンジェルのアーちゃんのイラストである。
もう一枚、モンスター娘3人が描かれたイラストも取り出す。
「あの子も随分と頑張っておりましたし、魔王様のお役に立てて何よりですわ」
ドロステラの推挙したサキュバスのサーちゃんもいるため、ドロステラも若干ドヤ顔である。
「ぬぐぐ・・・」
「むむむ・・・」
ルーラとイザベルが苦虫を噛み潰したような表情で唸る。
そこへ、会議室の扉が開かれて他の将軍たちがやってきた。
序列四位の死霊術師、ドルミア・ザ・ネクロマンシー、序列三位の大魔道、序列二位の“黒衣の騎士”ことナイトメアのシェタッフガルド。
宰相の竜人族、ドラグロア・フォン・ドラゴンナイトとメイド長のメリッサが揃った。
ここにいないのは序列十一位巨人族のアトラスと序列九位キース、序列一位のデーモンロードのみ。アトラスは会場に入れず、キースは現在外貨獲得のための作戦実行中、デーモンロードは現在在籍場所不明のため、常に席を空けている。
「おおっ!魔王様!やっと戻られましたか!この一ヶ月ドロステラと共に会議を欠席しておられましたので些か心配申し上げましたぞ」
宰相のドラグロアが魔王様に声を掛ける。未だにイラストを持ってセーラの隣で立っている魔王様に多少の疑問を感じながら。
「で、魔王様は席を立って何をなさっておられるのですかな?」
「あ、いや、外貨獲得のために協力してもらったセーラの知り合いのイラストをな・・・」
「ほう、なかなかに見目麗しいですな」
「だろ!セーラやドロステラの推挙してくれた娘たちが大活躍でな。後、ハーピィの女王にも挨拶に行かねばな。何せこのイラスト一枚で銅貨五枚だからな。ジャンジャン売れてガッポガッポ儲けさせてもらってるよ」
ホクホク顔で報告する魔王様。
今回の戦略で、人間に近い種族が活躍している。
ルーラやイザベルのような下半身がヘビ体形では今回のミッションは活躍のしようが無い。
それだけに歯噛みをしている状態だった。
「ほっほ、魔王様は現場最先端でご活躍だったのですな」
序列三位の大魔道が声を掛けてくる。
「大魔道よ、そちらの進捗はどうなのだ?」
魔王様は大魔道に問いかけた。
大魔道には遠くを見通せる魔道具の開発に専念させていた。当人が専念したいと言ったからだが。
情報収集と言った意味でも、大魔道の研究結果は非常に重要だった。
「ほっほっほ、魔王様ご期待くだされ。いいご報告が出来ますぞ」
「ほう、それは楽しみだ」
ニヤリと笑う魔王様。
だが、ドスンッ!とテーブルに資料を置いた人物が。
「おしゃべりはそのくらいにして、会議を始めさせていただきますよ!」
さらにパンパンッと手を叩いて魔国十二将軍たちに意識を向けさせる。
「席についてくださいませ。それでは報告会議を始めます」
魔王様は慌てて席に戻るのだった。
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