第32話 次の一手は「モー娘」で!
少々ネタとしてはタイミングが微妙な感じですが・・・
リーンハートのデビューコンサートは大成功だった。
満員御礼の上、入れないファンが殺到し、大混乱になりかけた。
コンサート前からリーンハート嬢の姿絵を売り出したのも大好評だった。
姿絵はイラスト紙の他、額縁タイプ、うちわタイプでコンサートでも使用できるものも用意した。これらはスカウトしたイラストレーターのエリーに原版を書き上げてもらい、魔道具で大量に複写した物を売り出している。エリーの腕前は素晴らしく、写真のようなイラストが一番人気だが、エリーに説明して書いてもらったSDタイプのデフォルメデザインもタイプもなかなかの人気だ。
「・・・と言うわけで、かなりの売れ行きなのですよ。想像以上ですな」
オースティン商会の会頭ゼブル・オースティンはウキウキした様子で話す。
新太とドーラ、ゼブルはコンサート後の打ち合わせでオースティン商会の事務所で打ち合わせを行っていた。
「あの、イラストというのですか? 姿絵3枚セットで買えば握手出来るという作戦! まさしく神の慧眼ですな!」
相当ホクホクしているのだろう。ゼブルの笑顔が止まらない。俺は神なんだ。魔王だけど。
「それはよかった」
そう、実はアップ、全身、上半身の3タイプのイラストをまとめ買いすると、コンサート後に握手できるという特典を付けたところ大ヒットした。
コンサート客がほとんど3種類買って握手に来るため、なかなかリーンハートにも負担が大きいかと思ったのだが、リーンハート自身もファンと接するのが楽しいのが、文句も言わずに握手をこなしていた。
「次のコンサートもチケットが完売ですぞ! いやー、笑いが止まりませんぞ。リーンハート嬢やダンサーの二人にしっかり給料も払っても我々にはかなりの利益が出そうです」
ゼブルはもう笑いが止まらないといった感じで捲くし立てる。
「それは何よりです。ところで、次の戦略に着手しようかと思いますが」
「なんと!絶好調のスタートを切ったのに、もう次の一手ですか」
新太の次の一手というセリフに前のめりになるゼブル。
「実は別の女性グループを売り出そうと思ってまして」
「何ですと!さらに別のグループですか・・・? 人気が割れて売り上げに影響が出たりせぬものですかな?」
ゼブルからすれば、現在ドル箱であるリーンハート嬢の人気が割れて売り上げが下がる事が心配なのだろう。だが、新太は続ける。
「その準備という事ですよ。3~4回はリーンハート嬢の単独コンサートで行きます。ですが、コンサートも同じ曲ばかりでは飽きますし、新曲の製作はおいそれと進みませんのでね」
「確かに・・・同じ曲ばかりでは飽きられますな」
「そこで、別の女性グループをライバルとして登場させ、歌だけでなく劇団のような演劇も少し混ぜていければと思っております」
「演劇ですか! それはまた盛り上がりそうですね!」
「ええ・・・ある程度準備は必要ですが、うまくいけば、第一部歌、第二部に演劇など2分割させて飽きさせないように出来ると思います」
「なんと! 正しく神の慧眼ですぞ!」
ゼブルが再び神を持ち出す。
「(魔王様・・・魔王様の事神様だと思ってますよ?)」
ドーラが後ろから内緒話でこそこそ伝えてくる。
いや、神だとは思ってないと思うけど。
「で、またオーディションを行うのですかな?」
「いや、私が直接スカウトしてくるつもりです」
「ほう!新太どの自らですか。ちなみにどういった娘をスカウトするのですかな?」
興味深々と言った感じで身を乗り出すゼブル。
「・・・実は、魔国近くの山村などでは、魔族との交流があるそうなのですよ」
「・・・まさか。魔族との取引などありえないでしょう」
いきなり魔族との交流などとトンデモない事を言い出す新太にさすがに顔を顰めるゼブル。
「いやいや、その山村では米俵3俵でガーゴイルが1年間村の用心棒を請け負ったという話ですぞ」
「なんですと!」
「(いやいや、米俵3俵で1年間も村の用心棒って安すぎません? 大体ホントの話ですか?魔王様)」
「(ウソに決まってんじゃん。万一調べられたら、本当にガーゴイルを米俵3俵で出向させよう。一応特別手当で給料もつければ大丈夫だろ)」
「(・・・魔王様って・・・)」
ドーラは溜息を吐いた。
「実はその村の情報で、魔族の中には非常に見目麗しい種族もたくさんいるようなのですよ。そこで、美しい娘に、魔族のコスプレをさせて歌を歌わせようという作戦です。」
「・・・コスプレとはなんですか?」
「魔族の格好を真似る・・・と言ったところです。ただカワイイ娘を歌わせるのではなく、魔族の格好を真似て、他では見ないような姿にすれば、忘れられないような衝撃を受けることでしょう。」
さすがにゼブルは困惑したようだ。
「魔族の格好ですか・・・どうも私にはピンときませんが・・・」
腕を組んでしかめっ面をするゼブルに新太はたたみかける。
「可愛さだけはピカイチですよ! 想像して見てください、可愛い娘たちが、ハーピィやサキュバスの格好をして歌い踊る・・・どうです?」
ゼブルは天井を見るように視線を上にさまよわせる。
「・・・イイですなぁ」
ニヤリと笑うゼブル。背徳感のあるエロスを想像したに違いない。
やはり魔族の姿自体はイメージ出来ているらしい。
「(魔王様。どこでカワイイ人間を探して来るんです? スカウトってどこかでオーディションとやらを開催するのですか?)」
「(何を言っとる。もちろんうちの国にいるサキュバスやハーピィやアークエンジェルといった綺麗どころの種族から選抜してチームを作るにきまっとろーが)」
「(えええっ!? 本物の魔族をデビューさせるんですか?)」
「(そうだよ。超可愛くて綺麗どころで攻めれば間違いないっしょ)」
「(本物の魔族って・・・大丈夫なんですかぁ?)」
「デビューは3人組! 名前はモンスター娘。略してモー娘だ!」
「おお!モンスター娘ですか、なんとも背徳感があっていいですなぁ」
「モームスと気軽に読んでもらっていいですよ!」
「モームスですか、モンスタームスメ、略してモームス! これはいい響きですな!」
「わざわざモンスターにコスプレするのにも訳があります。演劇でリーンハート嬢を正義の味方のヒロインにして、モンスター娘たちを退治するような話を毎回繰り広げるのです」
「おお!それはまたわかりやすい構図ですな!」
「子供受けも狙っていますよ。それにモンスター娘たちも憎めないキャラにして、何度リーンハート嬢に追い払われてもめげない可愛いキャラで人気を狙うつもりです」
「いやあ、それは楽しみですな! 早速演劇を含めた準備を始めるとしましょう!」
新太とゼブルは様々な意見を出し合いながら時々あくどい笑顔を見せつつ打ち合わせを行っていく。
「大丈夫でしょうか・・・」
ドーラは心配が尽きないのであった。
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