第29話 公開オーディションスタート!
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「まさスラ」に比べ更新間隔が長めですが、どうぞお見捨てにならずによろしくお願い致します!
「みんなー盛り上がってるかー!!」
「「「うおおーーー!!」」」
「紳士淑女の諸君!君たちの1票が彼女たちの歌い手人生を決めるんだ!覚悟は出来ているかー!!」
「「「うおおーーー!!」」」
会場は始まる前から死ぬほど盛り上がっていた。
「いやはや、とんでもない熱気ですな。こんなに盛り上がるとは正直思っていなかったのですが」
ゼブルが汗を拭きながらこちらにやって来た。ゼブル自身も会場の準備に追われていたのだ。
「はっはっは、何せ盛り上がるイベントが少なすぎますからな、お祭りのような感覚なのでしょう」
新太は会場の盛り上がりをステージの横から見ていた。
「ちなみにあの魔道拡声器を使って会場を盛り上げているスタッフの方は・・・?」
「あれは私がスカウトしてきた人間でして、非常に子供チックなのですが、実はもう大人なのだそうですよ」
「ええ!? どう見ても10代前半で成人前にしか見えませんが!?」
「当人はもう成人しておりますよ」
「なんと!」
今会場の600人を盛り上げているのは<小人族>のリリナだ。年齢は20・・・まあ、それくらいらしい。
リリナはとても人当たりがよく、元気な女性だ。
・・・見た目は中学生くらいだけど。
「みんなー、もう一度説明するよ! 今から未来の歌い手を目指す23人の美女が出てくるよ!彼女たちの自己紹介と歌を聞いて、この子に歌ってもらいたいと言う一人だけに投票が出来るからね! 入場する時にもらった木で出来た球は無くしてないかーい!」
「「「もちろーん!!」」」
大勢の人間が木の球を握りしめて手を突き上げる。
紙が高かったので木の球にして投票箱に最後入れてもらうというシステムにしている。
万一第2回なんて事になったら木の球システムはもう使えないがな。
今回来た人間が木の球を複製して持ってくるかもしれないし、候補者が球作ってくるかもしれないしね。
「全員の歌を聞き終わったら、誰に投票するか決めて出口にゆっくり向かってね!出口には23人の美少女たちの投票箱が置いてあるから、自分が歌い手になってもらいたい子の投票箱に木の球を入れてね!」
「「「おおおーーー!!」」」
「明日の公都の歌い手を決めるのは君たちだーーー!!」」」
「「「うおおーーー!!」」」
(しかしすげー盛り上げるのがうまいな、リリナは)
新太は舌を巻いていた。
新太はリリナを勧誘した時の事を思い出す。
・・・・・・
「寄ってらっしゃい見てらっしゃい!今日もいい野菜が入ってるよ!」
結構人だかりが出来ていたのでドーラと共に覗いて見た。
だが後ろから見ても声はすれども姿は見えない。
「あら、かわいい」
ドーラが見つけたのは中学生くらいに見える少女だった。
「このネギ見てよ!ツヤッツヤ!新鮮間違いなし!お鍋料理はもちろん、炒め物にも最適だよ!」
片手でネギを振り回しながら、元気よく野菜を客に売り込む少女。どう見ても中学生くらいにしか見えないが。
「うーむ、あんな子供が働かねばならんとは、魔国の改革を一層早めて行かねば」
「彼女は<小人族>ですわね。多分もう成人されてると思いますわよ?」
子供が働いていると眉間にしわを寄せる新太に、ドーラが大人だと諭す。
「えっ!? 大人なの?」
衝撃の新太であった。
彼女が大人であれば、確実に「合法ロリ」という単語で狂喜乱舞する輩が出てしまうだろう。
「ええ、そうですわ。<小人族>は大人でもあれくらいの体つきですわ。同じような種族でグラスランナー族とホビット族がいますわ。でもグラスランナーはウサギの耳のような特徴があり、ホビットはドワーフにも似た小柄でがっしりして髭が生えている者が多いですわ」
(物語によって呼び方が変わっているだけでみんな一緒だと思ってた~~~!!)
新太が地球時代いろいろ呼んだ小説にもさまざまなファンタジーの種族が出ていたが、みんな小人族の呼び名違いだと思い込んでいた。
もっとも、この異世界がそうだからと言って、他の世界でもそうだとは限らないわけだが。
野菜が一通り売れて商売が一段落したところで、少女(?)に声を掛ける。
「やあ、こんにちは」
「あ、お兄さんゴメンね、野菜は全部売れちゃったんだ」
ウインクしながら片手で謝る少女。実にかわいらしい仕草だ。
「いや、良いんだ。実は君自身に興味があってね」
「お兄さんゴメンね、私自身は売らないよ。そーいう事はしない主義なんだ。それともお兄さんはロリコンさんかな?」
茶目っ気たっぷりに聞いてくる少女。
「ちょっと貴女!新太様をロリコンとは酷い言いがかりですわ!訂正してくださいまし!」
ドーラがぷりぷり怒り出す。
「ええ、そう言われても、私自身に興味があるって・・・」
「貴女、<小人族>ですわよね?実際おいくつでいらっしゃいますの?」
「あら~、分かりますか。でも女性に年齢を行くのはエチケット違反ですわよ~」
「何ですって!?」
「まあまあ、ドーラ。実は私はこういう者でして」
そう言って新太は名刺を渡す。
「なんですか?コレ・・・って、魔王様!?」
「はいはい、魔王です」
「新太様、魔王様としての挨拶が雑ですわ・・・」
「すすす、すみません!魔王様とは気が付かず無礼な口をきいてしまいました!」
そう言って土下座する少女。
「ちょっとちょっと、そんなことしなくていいから、立って立って。ホントに君の野菜売りの口上が素晴らしかったから、魔王軍にスカウトしたくてね」
「ええっ!? 私闘いなんて全然できませんよ!?」
「うん、今募集しているのはね、MCかな」
「なんですか、エムシーって?」
「何かの集まりで司会をする人の事だよ」
「新太様、司会者を募集していますの?」
ドーラが首を傾げて聞いてくる。
「うん、喋りのうまい人はぜひ確保したいんだよね」
にこにこしながら説明する新太を見て、少し緊張がほぐれたような表情になる少女。
「私は<小人族>のリリナと申します」
そう言ってぺこりと頭を下げる。
「野菜売りって儲かるのかな?」
「実際は苦しいです・・・。新鮮な野菜を取りにいかなくちゃいけないから、早く起きなくちゃいけないし、町から畑までは結構遠いし、たくさんの野菜は運べないから効率も悪いしで・・・。でも村では働ける者達も少ないので、私が頑張らないと・・・」
俯きながら語るリリナ。
「よしわかった。リリナをウチで雇おう。村のみんなにも何が出来るか聞いて仕事にできるだけついてもらうようにしよう」
「ええ!? いいんですか!」
「いいともいいとも、その代わり君にやってもらいたい仕事ってのがね・・・」
目に涙を浮かべて喜ぶリリナにMCってのはね・・・と説明していった。
・・・・・・
「いやー、本当にいいスカウトだった。リリナは素晴らしい」
「リリナちゃん頑張ってますわ!」
「それでは早速行ってみよう!エントリーナンバー1番! 宿屋の看板娘!マナさんどうぞー!」
「「「わああーーー!!」」」
「1番!宿屋の看板娘、マナでーす! 17歳です! 私の歌、聞いてくださいねー!」
「「「うおおーーー!!」」」
そして公開オーディションは盛り上がりながら順調に進んで行く。
「次はエントリーナンバー16番! 正真正銘の貴族のお嬢様! リーンハート・フォン・エーデルバーグ伯爵令嬢の登場だー!!」
「「「うおおーーー!!」」」
「リーンちゃん待ってたよー!」
「リーンハートちゃん可愛いー!」
「リーンサイコー!!」
すでに固定のファンが出来ているらしい。
ぶっちゃけ、貴族の令嬢を目の前にできる平民はほとんどいない。
その姿を見せてくれるだけで平民からすればとてもありがたい事になるわけだ。
その令嬢がぶっちぎりで可愛いんだから、虜にもなろうというものだろう。
「リーンハート・フォン・エーデルバーグでございますわ。今年で16になりましたの。よろしければわたくしの歌を聞いていただけると幸いですわ」
そう言って歌いだすリーンハート嬢。
「・・・めっちゃうめぇ・・・」
新太は呻いた。美しく透き通るような歌声。あまりその場から動かないが優雅に手を回しながら朗々と歌い上げる。
「さすがにうまいですわ、素晴らしいですわね」
ドーラも唸る。
歌い終わった事には今日一の拍手が送られた。
悠々とステージを降りて裏手に戻って行くリーンハート嬢。
俺はドーラを置いてそっとリーンハート嬢の元へ移動した。
・・・・・・
「ふうっ・・・ふうっ・・・ぐ・・・」
リーンハートがしゃがみ込んで胸を押さえていた。
「つらいのかな?」
急に声を掛けられてびっくりしたらしく、慌てて顔を上げる。
「あ、貴方は・・・」
新太の顔を見て、一次審査の時に審査員席に居た男だと思い出す。
「だ、大丈夫ですわ・・・これくらい・・・」
立ち上がろうとするリーンハートの肩を手で押さえて制する新太。
「無理はしなくていい。呪いの発作は頻繁にあるのかな?」
「いいえ・・・、まだそれほど多くはないですわ・・・」
呼吸を整えながら声を絞り出すリーンハート。
「全員のパフォーマンスが終わればエントリーした全員が再度ステージに集まる。どうだ、行けるか?」
「もちろんですわ・・・。どうせ長く生きられない身。1人でも多くの方に「わたくし」という人間が存在していた事を覚えていて頂ければ・・・それに勝る喜びはありませんわ」
ぐぐぐっと下半身に力を入れて震えながら立ち上がるリーンハート。
そのリーンハートの肩に優しく手を掛ける新太。
「・・・?」
リーンハートはその真意を掴めなかった。
「<創造魔法>・・・<解析>」
(・・・くっ・・・これは・・・)
「<リフレッシュ>!」
パアーっと肩に置いた手から光が優しく溢れ、リーンハートの体を癒していく。
「か、体が軽く・・・貴方は一体・・・!?」
「とりあえず体調を整えて体力が回復しただけだ。原因が取り除かれたわけではない」
「それでも、これでステージまで戻れますわ!ありがとうございます!」
そう言ってステージ横まで戻って行くリーンハート。
「まあ、あの笑顔なら、優勝は決まったかな・・・」
新太はそう思うのだった。
今後とも「まおテン」応援よろしくお願いします!
(自分で愛称呼んでます(苦笑))
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