第28話 公開オーディションの裏側で
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「これほど人が集まるとは・・・! 新太殿の慧眼まさに神の如しですな!」
魔王たる俺が神の如しと褒められるのはむず痒い気もするが。
元々第2次オーディションは、非公開で歌と踊りを見て、最終選考を面接で行うつもりだった。だが町中を歩いて気が付いた。あまりにこの世界は娯楽が少ない。先日ゼゼコぺンギンを通じて売り始めた『魔王様の戯れ』(リバーシ)、『魔王様の嗜み』(チェス)、『魔王様の大戦略』(将棋)だが、滅茶苦茶売れている。全くもって生産が追い付いていないほどだ。ゼゼコペンギンのヘイジよりクレームが入っているほどだ。
そんなわけで、どうせなら宣伝も兼ねて公開オーディションとすることにした。
【第1回公都歌い手を決める最終公開オーディションを応援しよう】
と名打ったポスターを掲示した。
【入場料はわずか銅貨1枚。最終オーディションに残った美少女たちの歌と踊りを見て、一番良かった娘に投票!一番投票が多かった娘が優勝となります!
貴方の1票が優勝を決める!この瞬間を見逃すな!】
開催有料で観客を入れて(と言っても僅か銅貨1枚だが)一番気に入った娘に投票、一番投票が多かった娘を優勝とする。
優勝候補のリーンハート嬢を含め、4名程度の美人の絵を入れ、その他総勢23名から優勝者1名を決めると煽り文句を入れている。
これが功を奏したのか、張り出してからかなり話題になっていたようだ。
「600人以上入ってますよ。本当にびっくりです」
集まった人の熱気に驚くゼブル。
僅かな入場料とはいえ、ポスター以外に費用の掛かっていない状況でこれだけの金が集まる事にびっくりしているようだ。
-某時刻 舞台裏―
「お世話になっております」
そう言って非常に格式高い服装の執事らしき人物が優雅にお辞儀をする。
「いえいえ、もしかしたらこれからお世話になるのはこちらかもしれませんからね」
ニッコリ笑いながら答えるのは新太。
いつになく緊張しまくっているのが隣に座るゼブル。
ドーラは新太の後ろに立ってニコニコしている。
「(いやいや、新太殿はどうしてこんなに堂々としていられるのか・・・)」
緊張からか噴き出る汗をハンカチで抑えながらゼブルは心臓がドキドキと激しく鼓動するのを感じていた。
「(エーデルバーグ伯爵家の筆頭家令、エルフレッド・パルマー殿・・・。エーデルバーグ伯爵家を切り盛りする実質トップが何故ここに・・・)」
エーデルバーグ伯爵家は伯爵家の中でもトップクラスの規模を誇る。
直接取引を行っているオースティン商会も、エーデルバーグ伯爵家の筆頭家令エルフレッドと直接話したことは無い。それほどの相手が、今こちらに挨拶とはいえ頭を下げていたのだ。
「お互い忙しい身でしょうから、率直に行きましょうか」
そう言うとエルフレッドは持っていたカバンから、重そうな袋を取り出してテーブルに置いた。
「金貨で500枚です」
「ええっ!?」
エルフレッドの説明にさすがのオースティン商会の会頭ゼブル・オースティンも腰を抜かしそうになる。
金貨で500枚。商会を営むゼブルからしてもかなりの金額である。
それを、何の説明も無くテーブルに置いた。
「(一体、どういうことだ・・・? まさか、娘を見世物にするなんて、ということで迷惑料を払って連れ戻しに来たとか・・・?)」
ゼブルは困惑した。
「リーンハート嬢を面接させて頂いたんですよ」
ニコニコしながら新太がまるで別の事を話し出す。
「あ、新太殿・・・?」
一体急に何を言い出したのか、ゼブルには全く理解できない。
エルフレッドは表情を変えない。
「彼女にね、聞いたんです。このオーディションへの参加動機をね」
ピクリとエルフレッドの表情が一瞬だけ動いた。
「僕はね・・・彼女の夢を応援したいと思ったんですよ。例え彼女にどんな事情があろうとも・・・ね」
エルフレッドの目が一瞬細められ、その後ふっと笑みを浮かべた。
「堅実なオースティン商会が何やら面白い事を考えたと思いましたが・・・。どうやら会頭ゼブル殿には強力な懐刀が備わったようですな」
ニヤリと笑いながらゼブルを見るエルフレッド。
「いやはや、はは・・・」
額の汗を拭うハンカチをせわしなく動かしながらしどろもどろになるゼブル。
「今後、彼女たちの運営は、基本的にファンになる人たちの応援で賄われるんです。具体的には彼女たちのコンサートを見るために入場料を払ったり、彼女たちの姿絵を買ったりした費用が、運営費用及び彼女たちの御給料になるわけです」
「なるほど・・・実に面白い」
そのシステムを見越してニコニコしながら頷くエルフレッド。
「つまり、その金貨500枚はリーンハート嬢への応援費ということでよろしいですよね?」
ニコニコした表情を崩さず確認する新太。
「よろしくお願い致します」
笑顔を崩さず、再度頭を下げるエルフレッド。
「お任せください」
そう言って立ち上がり握手を求める新太。
エルフレッドも立ち上がりガッチリと握手を交わす。
とりあえず立ち上がるが、実は内容が良くわかっていないゼブル。
商人としての愛想笑いだけはギリギリ崩さず守っていた。
商人として海千山千の猛者を相手にしてきたゼブルをして、この2人には敵わないと思わせる。
2人は笑顔を崩さず握手を終えると、エルフレッドはそのまま部屋を出て行った。
そして公開オーディションの幕が上がる―――――
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(自分で愛称呼んでます(苦笑))
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