第22話 戸隠新太、冒険者ギルドで登録す!?
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聖女一行を放置して、ラインハルト公国首都まで来た新太とドーラ。
「それにしても失礼な方々でしたわ!」
ぷりぷりしながら怒っているドーラ。
まあ、確かに騎士たちの反応は少々異常だったな。
普通なら助けてくれた相手にあれほど敵対的な対応をするというのはどうなのか。
まして、盗賊を片付けてから騎士たちは起き上がって来たわけだが、どう考えてもあの時新太が救出に入らなければ聖女は盗賊たちに連れ去られてしまっただろう。
そう考えれば、聖女を救った英雄とまでは言わないにしても感謝があって然るべきだと思うのだが・・・。
「まあ、何か事情があるんだろうさ。俺たちにはあまりかかわりない事さ」
新太は軽く答える。
「そうですわね!」
にっこりと笑顔を見せながら新太の腕を取るドーラ。
このまま冒険者ギルドに入っていい物だろうか・・・?
比較的小柄な新太と、ヴェールとビキニ水着的な感じとしか言えないドーラの格好からすると、もう厄介事の匂いしかしない。
「うん、ギルドに行く前にドーラの服を買おう!」
新太は力強く宣言した。
「あら、どうしてですの?」
「ドーラが可愛すぎるからね。タチの悪い男たちが寄ってこないように、露出の少ない服と防具を買おうか」
「やだ!新太様ったら・・・。そうですわね、新太様なら全てをご覧になって頂いて全く問題ない、というよりか、全力でぜひとも見て頂きたいのですが・・・、他の男なんかに見られるのも面倒が起きやすくなりそうですわね。よろしければぜひとも新太様にお見立ていただけませんか?」
「お、俺が選ぶの?」
「ぜひ!」
にっこり笑顔のドーラには勝てない。俺にセンスなど欠片も無いだろうが、頑張るとしようか。
というわけで中古の服を扱う雑貨屋に来たのだが・・・。
「キャー!これも可愛いですわ!」
ドーラのテンションがいきなりMAXだ。
女性のファッションに対する熱意はやはりすさまじいものがある。
「新太様新太様!このキャミソールどうですか?」
(いや、ドーラよ、それを着ても薄すぎて何も隠れないぞ・・・)
「ドーラ、これなんかどうだ?」
無難なブラウスっぽいシャツを選んでみる新太。
「キャー!これも可愛いですぅ。いくつ選んでよろしいのですか?」
「着替えもいるだろうし、たくさん買って行こう。俺にも空間収納スキルあるしね」
「あら、新太様は<異空間収納>をお持ちなのです? さすがとしか言いようがないですわ・・・」
新太を見ながら関心を通り越してちょっと呆れたような表情を浮かべるドーラ。
魔王という立場、剣でも魔法でも圧倒的な戦闘力を保持、それでいて真の姿はベビーフェイスでスラッとしていてカッコイイと来ている。正直ドーラはこれ以上の男がこの世界のどこにもいないと確信している・・・恋は盲目とはよく言ったものである。
いちいち選ぶのも面倒臭くなった新太は、次々に服をドーラに押し付けている。
「新太様、こんなに買って頂いてよろしいんですの!?」
ドーラが目を白黒させているが、新太は選ぶのが面倒臭いとは言えないので、ドーラに似合う服がたくさんあるからって事にした。
「いいよいいよ。ドーラのいろんな服装が見たいしね」
「新太様・・・♡」
すっかりハートマークの目をしたドーラの持つ服をお会計して、店内で着替えさせてもらう。とりあえず普通の服装だが、服装が普通なだけに美人が際立つな。後、爆乳。胸の盛り上がりはもう言葉が出ない。
「さあ、冒険者ギルドへ登録に出かけようか」
(何かもう、テンプレ回避は無理な気がしてきたがしょうがない)
新太は諦めの境地に達した。
カランカラン
冒険者ギルドの大扉を押し開ける。
かなり大きな建物だ。扉を開けて正面には長いカウンターが。素材買い取り、依頼受理や報告、新規受付など、きちんと分かれていないようだ。よく見れば、美人の受付嬢の前に長蛇の列が。他も多少込み合っているようだが、一番左の丸眼鏡の受付嬢の前だけ人がいない様だ。
「あの方の前だけ空いておりますわね?」
新太は周りを見る。左手の壁には依頼票がズラリと張り出され、それを見る冒険者たちでごった返している。右手は大きな食事処となっているようで、いくつもテーブルが用意されている。現在昼過ぎの時間帯だから、朝一に冒険者ギルドに来て依頼を受けて行ったパーティが多いはずなのに、この時間帯でもこれだけの冒険者がギルド内にいるということ自体、組織的に相当大きいと感じることができる。
「・・・んんっ?」
右手の食事処、一つのテーブルに数名の人だかりが出来ていた。
「・・・チェックメイト」
「ぐっ・・・!」
「おい、また勝ったぞ!」
「だれかあの「嗜みの貴公子」を止められるヤツはいねーのか!」
「ブフォッ!」
新太は思わず噴いた。「嗜みの貴公子」って、どんな二つ名だよ!恥ずかしすぎるだろっ!っと心の中で全力のツッコミを入れていたのだが、噴いた新太は目立ってしまっていた。
銀貨を賭けていたのか、チェス盤の横の銀貨を全て自分の袋に入れて行くと、その男がこちらを見た。
「何か笑ったようだけど? まさか君のようなお子様には、この「魔王様の嗜み」は難しすぎて理解できないだろうね」
(おいおい・・・、もう公都で流行ってるの? ゼゼコペンギンの売込み、本気過ぎないか?)
新太は追加で作らせている遊戯アイテムの増産を職人に至急連絡せねばと後でメリッサへの報告書にまとめることにした。
「あら・・・、これ、「魔王様の嗜み」ってゲームですわよね? 魔王様が作った」
ざわっ!
ギルド内がざわつく。ゲームの名前自体が「魔王様の嗜み」と言っても、それ自体はシャレだったり売込み文句の一つだったりと、単なるイメージの一つとして処理すればそれほど問題にもならないが、本当に魔王が作ったとなると、若干話が違ってくる。え、マジで、みたいな反応がそこかしこで出てしまったので、話題を逸らすべく、新太は「嗜みの貴公子」に挑んでゆく。
「嗜みの貴公子とはまた大層な呼び名だな・・・。本当にゲームを嗜んでいるか俺が相手をしてやろう」
ガタリと椅子を引いて「嗜みの貴公子」とやらの前に座る新太。財布を取り出し、じゃらりと金貨を積み上げる。
「なっ!」
「おいおい、貴公子たるものが銀貨で勝負なんて、似合わない事しないよな?」
ニヤリと笑う新太。
「くっ・・・いいだろう!」
貴公子とやらも金貨を5枚積み上げる。
「じゃあ、まずは金貨5枚から勝負しようか」
そう言って二人はチェスならぬ「魔王様の嗜み」を始める。
「チェック・メイト」
ゆっくりと告げる新太。
「くっ・・・くそっ!」
貴公子とやらが机に拳を叩きつけた。
「勝ちましたの?さすがは新太様ですわ!」
手を組んでぴょんぴょん飛んで喜びを表すドーラ。どうもルールは理解していないようだ。
「おいおいっ!「嗜みの貴公子」を破ったぞ!」
「とんでもないルーキーが出て来たな」
「よしっ!次は俺とやろうぜ!・・・銅貨しかないけど」
次々と周りに人が集まってくる。
「この「魔王様の嗜み」ってゲーム、いつから流行ってるんだ?」
新太は情報収集を兼ねて聞いてみた。
「つい先日だよ。行商人のゼゼコペンギンのキャラバンが来ていてな。面白いゲームを取り扱い始めたって触れ込みで、3種類のゲームを売ってたんだけど、どれもめちゃくちゃ面白いんだよ!あっという間に売り切れて、次回入荷待ちの予約券まで出たって話だ。貴族たちも金と銀で出来た超高級なモデルを誰が買うかでオークションまで開かれたらしいぜ!」
(オークションとは・・・、ゼゼコペンギンの商売上手には舌を巻くな)
一ついくらでの契約にしてあるので、高く売れば売るほどゼゼコペンギンの儲けは大きくなる。
(あまりアコギな事をしないでくれると助かるが・・・)
新太は少し心配になるが、結局はゼゼコペンギンに任せるしかないため、どうしようもないと諦める。
「木で出来たこのコマだって、すごい精巧にできてるだろ? これも実は魔国で製作されてるって噂でさ。 真似しようとした商人も、ゼゼコペンギンの本気か冗談か魔王様に目ェ付けられてもええんなら勝手にし、みたいなこと言ったらしいぜ!」
(頭痛い・・・)
テーブルに突っ伏す新太。
「でも、マジでここだけの話、魔王って頭いいんだな~、こんな楽しいゲームを考えるなんて。戦争なんかよりずっと安全で楽しい勝負ができるよな、コッチの方がさ」
「違いねぇ!」
冒険者たちが笑い声をあげる。
「まったくその通りだよな!」
新太もまた笑った。正しく、自分の心が伝わったのだから。これほどうれしい事はない。
願わくば、国の偉い人物たちも同じように感じてくれれば言う事はないのだが、さすがにいろいろな利権の絡む立ち場の人間だとそう簡単にはいかないのだろうな・・・と思いを馳せる。
「さあさあ、勝負再開と行こうぜ!」
その後、何人もの挑戦者を無敗のまま退け続けた新太はついに「嗜みの大魔王」という恐ろしい(?)二つ名を頂くことになってしまった。
「アンタ、ホントに強ぇな・・・」
「ついに一度も勝てなかった・・・」
「やべぇ、今日の宿代まで負けちまった」
阿鼻叫喚とも言える負け続けた死屍累々の者達を尻目に、勝ち続けた新太はホクホクと賭けに勝った銀貨や銅貨を財布に納めていた。
「新太様? ところで、冒険者の登録は・・・?」
「あ」
すっかり冒険者ギルドに来た理由を忘れて「魔王様の嗜み」に没頭していた新太であった。
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