第16話 イラストレーターを採用しよう
トップクラスの威力を保った台風が上陸するようです。
皆様もお気を付けください。
「まだまだ魔王様とデート~♡ まだまだ魔王様とデート~♡」
るんたった~るんたった~と妖しい鼻歌を歌いながら魔王様の少し前を華麗なスキップで進んでいくドロステラ。
ドロステラとしてはパペット・マスターのトニーと怪しい打ち合わせを行っていた魔王様を少し心配したのだが、デートを再開して散策し始めればそのような心配も吹き飛び、ご機嫌で魔王様とのデートを楽しんでいた。
「ドーラ、ご機嫌だな」
2人っきりの時は愛称で「ドーラ」と呼んで欲しいと乞われた俺はドーラ呼びに慣れるため、こまめに話しかけることにする。
「魔王様と二人っきりでデートなんて、とっても素敵で夢見たいですわ!・・・でも魔王様、魔王様を魔王様と呼ぶのは人が多いと困ってしまいますし、私自身も少々寂しいですわ・・・」
と言って上目遣いに俺を見つめてくるドーラ。もちろん両手は顎の下でしっかり組まれている。ドーラさん、ムギュって!ムギュってなってるから。
「ふむ・・・、そう言えばお前たちに俺は個人情報を全く開示していなかったか?」
俺はとりわけ「そうだったっけ?」的な雰囲気で聞いてみる。
「そうですよ魔王様・・・少しシークレット主義が過ぎるのですわ・・・」
ちょっとぷっくりほっぺを膨らませるドーラ。くっ・・・かわい過ぎる!
「では、俺の真の姿を見せようか・・・」
と言って、魔王様真正形態をとる。戸隠新太の姿になった上で、角と翼が現れる。
「ふわっ!ふわっ!ふわわ~」
ドーラが俺の真の姿を見てあわあわしている。そのうちポーッとなって顔が真っ赤になる。
「ままま、魔王様カッコイイ・・・♡」
「え? そう?」
高校時代、野球部で野球ばっかりやってたから、あまり女の子と話したことないし、モテた覚えもない。そんなにかっこいいかしらん?
「魔王様のお名前を聞いても・・・?」
顔を真っ赤にして照れるドーラ。くっそかわいいぜ!
「俺の名は戸隠新太。アラタ・トガクシと言えばいいか?新太が名前だな。戸隠は家名だ」
「ア、アラタ様・・・新太様とお呼びしても?」
「ああ、いいよ。好きに呼んでくれれば」
「わかりましたわ!新太様! 早速行きましょう!」
いきなり俺の右腕を取って抱きついてくるドーラ。え、このまま行くの?
完全に腕を組んだまま歩いていく。
大通りからコレまた1本入り込んだ裏通りに露店がたくさん並んでいた。
「闇市ですわね・・・。現在前の魔王様が税金取り立てを厳しくしてたので正規のお店は見かけ上閉めていますわ。そして闇市で販売や物々交換を行っている様ですわ。食糧事情もご存じの通り厳しくなっておりますので、闇市でのやり取りも大変かと思いますわ。早く魔王様の食糧自給作戦にあるジャガーイモがたくさん採れるといいですわね!」
まぶしい笑顔を俺に向けながら俺の作戦に期待してくれるドーラ。
よし!ドーラには取れたてのジャガーイモを使ったジャガーバターを作ってやるか!
・・・この世界にバターってあるのかな?
それはそうと、前の魔王様って・・・。
まるっきり俺がちょっと前の魔王様と別人ってわかっちゃってる?
・・・まあドーラならいいか。
ドーラとともに闇市の露店を見て回る。
ふと見ると。絵描きと思われる少女が羊皮紙の切れ端のようなものに書いた絵を売っているようだ。
「ドーラ、あそこにいる絵描きの絵を見て見よう」
「新太様は絵が好きなんですの? それにしても闇市の露店で、描いた絵を売っているのでしょうか・・・? 今の時代ではとてもじゃないですが、絵を買って飾る余裕があるような国民が居ないかと思いますが・・・」
「ふむ、では時代が変わればどうかな?」
と言いつつ、俺はその絵を描いたであろう女の子の前にしゃがみ込む。
「絵、うまいね」
「え? あ、ありがとうございます! 絵にご興味がおありですか?」
にっこりとした笑顔で話しかけてくれる少女。
「めちゃくちゃあります」
にっこりし返す俺。その反応に少女は破顔する。
「ずっと、ここで何してるのか、とかそんな絵なんてお腹膨れないとか言われて・・・」
少し涙目になって状況を話す少女。
「少しいいかい? かなり写実に近い絵だよね。すばらしい技術だと思う。それとは別に、今すぐ僕とドーラの似顔絵を15分くらいで書くことは出来るか?」
「ええっ!? 15分で似顔絵ですか? それはかなり難しいですね・・・」
俯く少女に俺はアドバイスを送る。
「この似顔絵ってのは、写実的じゃなくてもいいんだ。特徴だけを掴んて、似てると思われることが大事なんだ。多少誇張したりして、そっくりじゃなくて、よく似てる、というイメージで描くといけると思うんだ」
「やってみます!」
と言って、少女の前にドーラと並んで座る。そして絵を描き始める少女。
そして約15分。
「できました!」
その少女が描いた絵を見てみる。
「わあ~、可愛いですわね!」
「ドーラ、その女の子は君だよ?」
「ええっ! あ、そう言えばその隣は新太様じゃないですか! こ、これって二人っきりで並んでいる絵ですわね・・・」
ちらっちらっと俺を見ながら何か言いたそうにしているドーラ。
「気に入ったのならプレゼントするよ。君、この絵はいくらで売ってくれるかな?」
少女は少し考えて、
「その絵はプレゼントさせて頂きます。似顔絵っていう絵の可能性を教えて頂きましたし」
にっこりして少女が言う。
「そうか、それではお言葉に甘えるとしよう。そして本題だ。ビジネスの話をしたい。君の名は?」
「え? あ、私はエリーと申しますが・・・」
「実はね・・・こうこうこういった絵をたくさん売り捌くつもりで・・・」
「同じ絵をたくさん描くのは・・・」
「その場合は魔道具などで負荷を軽減・・・」
「描くための道具の中では色味の調整が・・・」
またもコソコソと話を進める魔王様。
「またも新太様が怪しい取引をなされておりますわ・・・」
ドーラの心配は尽きなかった。
よろしければブックマークや評価よろしくお願い致します。
大変励みになります(^0^)
他にも投稿しています。
転生したらまさかのスライムだった!その上ノーチートって神様ヒドくない!?
https://ncode.syosetu.com/n2026ew/
ドラゴンリバース 竜・王・転・生
https://ncode.syosetu.com/n1684ew/
よろしければぜひご一読頂けましたら幸いです。




