第6話:ブラのジャーとパンのティー~洗濯物の取り込みと浴室掃除~
時計は午後五時を過ぎた。
そろそろ洗濯物が乾いた頃だろう。俺はベランダに出て洗濯物を取り込み始めた。
今朝のテレビの天気予報では夕方から激しい雷雨があるとの予報だったが、空模様を見る限りでは雨は降らなそうだ。
しかし、手早く洗濯物を取り込みハンガーや角型ハンガーも室内に仕舞いこむとしよう。
洗濯物とハンガー類を室内に取り込むと俺は間髪入れずに洗濯物をたたみ始めた。
洗濯物は取り込んだ後すぐにたたむに限る。そのままにしておくとたたむのが億劫になってしまう。
タオル、靴下、俺のTシャツ、俺のパンツ、ボスの衣類を黙々とたたむ。「メインディッシュ」は最後にとっておく。
俺の言う「メインディッシュ」とは、ボスの下着類、ブラのジャーとパンのティーのことだ。
メインディッシュを残し他の洗濯物は全てたたみ終わった。これからいざメインディッシュのたたみに入る。
まずは、ブラのジャー。ボスの豊満な胸をカバーする魅惑の下着。大学時代の先輩のお子さんがブラジャーのことを「おっぱいカバー」と呼んでいた。さすが俺が慕っている先輩のお子さん。なかなかのネーミングセンスをお持ちだと思う。
ブラジャーは我が家では基本的には二つ折りだ。いとも簡単に済んでしまう。
最後に残るはパンのティー。ボスのグラマラスなヒップをカバーするセクシーな下着。
たたんでいて毎回思うのだが、こんな小さい生地によくあのボスのヒップが収まるものだとつくづく感心してしまう。
パンティーは我が家では丁寧に三つ折だ。
友人や知人夫婦の話によると、奥さんの下着は旦那にはあまり触れさせないと聞いたことがあるが、ボスからの信頼の証であろうか、我が家では俺がたたんでも怒られることはない。むしろ「洗濯物をたたんでくれてありがとう」と喜ばれるくらいだ。
洗濯物をたたみ終えるとそれぞれをタンスの引き出しやリネン庫など、所定の置き場所に戻していった。
次に取り掛かるのは浴室の浴槽の掃除だ。
浴槽掃除用のスポンジに浴槽に残っている残り湯を含ませて浴槽を軽く洗っていく。ほぼ毎日行っている作業なのでほとんど汚れていない。
最後に浴槽の栓を抜き浴槽に残っていた残り湯を流し、シャワーでサッとひと通り水を流せば浴室の浴槽の掃除は終了だ。浴室全体の掃除はボスからの指令が下るまで放っておこう。
ボスに「竜作、あなたずっと家にいるのなら専業主夫やってよ!」と言われたが、今のところ昨日までの俺と今日の俺に大きな変化はない。洗濯や洗濯物の取り込み、洗濯物たたみ、浴室の浴槽の掃除はこれまでにもやってきた。今日から朝食作りが新たに加わったが専業主夫としての作業が増えるのは本格的には明日以降からだろう。
俺は少しの不安を感じながら洗面所の鏡で自分の顔をしばしの間見つめた。